「携帯料金を引き下げる」と言っていますが、どのくらい下がるのでしょうか?携帯料金を節約するにはどうすればよいですか?


今回、回答いただく先生は…
村井 英一先生(むらい えいいち) プロフィール
  • 政府の圧力による料金引き下げはすぐには期待できません。
  • まずは料金プランの見直しをしてみましょう。
  • 格安携帯電話会社への乗り換えも検討するとよいでしょう。

  加藤 正孝さん(仮名 30歳 会社員)のご相談

菅内閣で「携帯料金の引き下げ」が目玉政策として挙げられています。菅総理は以前、「携帯料金は4割下げられる」と言っていたそうです。本当に4割も安くなるのでしょうか?それでなくとも、携帯の料金を安くする方法はありませんか?

加藤 正孝さん(仮名)のプロフィール

家族構成
家族 年齢 年間収入
ご相談者 加藤 正孝さん 30歳(会社員) 年収350万円

大幅に携帯料金が下がることは直ぐにとはいかなそうですが、自分の携帯料金を安くする方法はすぐにでも実行できます。

1.消費者が品質やサービスを求めることも料金が下がらない要因

加藤様、こんにちは。菅内閣は、最重要課題の1つに「携帯料金の引き下げ」を掲げています。菅総理自身も「日本の携帯料金は海外に比べて高い」と、携帯各社に料金の引き下げを求めています。4割もの値下げが実現されれば、消費者にとっては大助かりです。
ただ、携帯電話各社にとっては、5Gなどの新しい技術の開発や全国の基地局の維持など設備投資に大きな負担がかかっています。携帯電話会社は民間企業であり、政府から要請されたからといって今の料金を大幅に値下げすることは難しいのではないでしょうか。
大手の携帯電話会社が3社しかない(2020年新たに1社が加わり、4社に)ことが、日本の携帯料金が高い理由と言われることもありますが、競合他社が少なくても価格競争が起きることはあります。消費者が価格を重視しているのであれば、価格が少しでも安い企業が顧客を集める傾向はあります。ただ、消費者は、価格だけで商品を選ぶわけではありません。携帯であれば、「つながりやすさ」が重要ですし、トラブルの際にすぐに対応してもらえるかも大切です。日本の携帯電話が高いのは、消費者が品質やサービスなどを重視していることも要因となっていると考えられます。

2.プランの見直しで料金が下がることも

では、それほどの値下げが期待できないとして、私たちが携帯の料金を安くする方法はないでのしょうか。実は、今の時点でも携帯の料金を引き下げる方法はあります。その方法をご紹介します。まずは、料金プランの見直しから取り組んでみましょう。
新規に契約する際は、携帯電話機やスマートフォンなどの通信端末を購入することになります。多くは2年間、端末代金の分割払いと通信料の支払いが続くことになります。以前は、通信端末の代金を分割払いしている間、その一部を割り引きする料金プランが一般的でした。その分は通信料を上乗せされているのですが、見かけ上は支払額が増えないようになります。
2019年から各社は、端末代金と通信料を分割するプランを導入しています。端末代金の割引はありませんが、その分通信料は安く設定されています。2019年より前に契約して、端末代金の支払いが完了している人は、この料金プランに見直すと、料金が下がるケースがあります。
携帯からスマホになりさらに高画質のカメラが内蔵されるなど、携帯端末の金額は上昇しています。以前のプランでは端末代金のことはあまり気にならなかったのですが、その一部は通信料金で払っていたわけです。料金プランを見直し、できるだけ端末を長く使い続けると、携帯料金を安くすることができます

3.格安携帯電話会社や格安ブランドへの乗り換えも

次に、携帯電話会社の乗り換えも検討してみましょう。仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator, MVNO)、いわゆる格安携帯電話会社です。大手の携帯電話会社は通信設備や基地局を自社で抱えています。それに対して、大手携帯電話会社の設備を借りて事業を運営しているのが格安携帯電話会社です。
格安携帯電話会社は、大手の携帯電話会社の設備を使っていますので、「つながりやすさ」は大手と基本的には変わりありません。それでいて、料金は大手の半額から7割程度となっています。ただし回線が混雑しているときに通信速度が遅くなったり、災害時など回線使用に制限がかかる時には、大手メインブランドの通信が優先されます。また、困ったときなどに気軽に立ち寄れる路面のショップがほとんどありません。契約や問い合わせもほとんどネットか電話になり、その点はデメリットです。

また、大手の携帯電話会社による格安ブランドもあります。大手の携帯電話会社が、メインのブランドとは別の名前で携帯電話事業を運営しています。メインブランドに比べて料金は2~3割安くなっています。政府の要請を受けての料金引き下げは、むしろこちらの方で積極的に行われそうです。もちろん通信設備は同じですので、つながりにくいという心配はありませんし、ショップも増えています。
※NTTドコモが発表したメインブランでの格安プランahamoは、ネットでの申込受付のみです。

携帯電話の会社を乗り換えるだけで、毎月の料金が安くなるわけです。乗り換えの際には契約の解除や新規申込みなどで手間と手数料がかかりますが、料金節約の効果はずっと続きます。もちろん電話番号も持ち運びできます。
問題は契約の解除期間が限られていたり、解約手数料がかかることです。総務省では、乗り換えを妨げる慣行をなくすよう業界に要望しています。乗り換えがしやすくなれば、安い会社への乗り換えが増え、価格競争へとつながるかもしれません。
もっとも、今でも携帯電話会社の乗り換えは可能です。この機会に、現在の契約内容をよく確認してみましょう。そして、プランの変更や携帯電話会社の乗り換えで料金を抑えられないか、タイミングはいつがよいかを検討してみましょう。


毎日の買い物で、ついついムダ遣いをしてしまいます。 ムダ遣いをなくす方法があれば教えてください。
キャッシュレスでの買い物は、お得?賢いもの?
「電気とガスをまとめてトクする」という宣伝をよく見かけます。本当にお得になるのでしょうか?