夫の扶養から外れると、もしもの場合に遺族年金を受け取れなくなりますか?


今回、回答いただく先生は…
森田 和子先生(もりた かずこ) プロフィール
  • 年収が130万円を超えるとご主人の扶養から外れます。
  • 扶養から外れても遺族年金は受給できます。

  安田 美希さん(仮名 38歳 パート勤務)のご相談

パート先からシフトを増やして働けないか相談されています。シフトを増やすと夫の扶養から外れてしまいます。保険料を払っても手取りの収入は増えるようですし、老後の年金も増えるならよいと思っています。ただ、私が夫の扶養に入っていない時に、夫にもしものことがあったら遺族年金がもらえなくなったりしないでしょうか。デメリットが心配です。

安田 美希さん(仮名)のプロフィール

家族構成
家族 年間収入
安田 美希さん(パート勤務)年収110万円
夫(36歳・会社員)年収550万円
長男(8歳)

公的な遺族年金は、健康保険や年金の扶養の条件と同じではありません。扶養に入っていなくても受給できます。

こんにちは、安田さん。ご相談ありがとうございます。収入アップにつながる良いお話ですね。心配されている公的な遺族年金を受給できる条件は、健康保険や年金の扶養の条件とは違います。安田さんの収入が増えてもすぐに遺族年金の対象から外れることはありません。詳しく確認していきましょう。

年収が130万円を超えるとご主人の扶養から外れます

安田さんは現在ご主人の扶養に入っているので、健康保険や厚生年金保険などの社会保険料をご自身では負担していませんね。今後シフトが増え、年収が130万円以上になれば、ご主人の扶養から外れて保険料を負担することになります。
実は、パート勤務で年収が130万円未満であっても、原則として下記の条件の全てに当てはまる人は扶養から外れ、自身で社会保険料を負担しています。

(1)勤め先の会社の従業員数が常時500人超
(2)1週間あたりの決まった労働時間が20時間以上
(3)勤務期間が1年以上の見込み
(4)1か月あたりの決まった賃金が88,000円以上
(5)学生ではない

今後、これらの条件が変更される予定です。(1)の従業員数については、2022年10月から従業員数が常時100人超に、2024年10月からは常時50人超になります。(3)の勤務時間については、2022年10月以降、2ヵ月以上の見込みで対象になります。現在は主に大企業で長時間働く人が対象になっていますが、今後は中小企業で短期間働く人も対象になっていきます。扶養から外れるのはもったいないような気がしますが、時期が早まっただけと考えることもできますね。

扶養から外れても遺族年金は受給できます

会社員の夫が死亡し、妻と子供が残された場合、夫に生計を維持されていたのであれば、妻は遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給することができます。夫と同居しており、年収が850万円未満(または所得が655万5千円未満)の妻であれば生計を維持されていると認められます(※1)。会社員の夫の扶養に入るには年収130万円未満が要件になることと比較すれば、夫が死亡した場合に遺族年金を受給する要件は大きく違うことがわかります。
安田さんの年収が130万円以上になり、ご主人の扶養から外れたとしても、年収が850万円未満であれば、ご主人に生計を維持されていると認められます。ご主人にもしものことがあれば、安田さんが遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給することができます。
(※1 生計維持関係は、別居でも、仕送りや健康保険の扶養親族であること等で認められます。)

遺族基礎年金は、子供が18歳の3月まで受給することができます。子供が1人の場合の年金額は1,005,600円です。
遺族厚生年金は、再婚などをしなければ受給し続けることができます。夫の収入や厚生年金保険への加入期間によって金額が異なりますが、加入期間が短い場合には300月で計算されます。例えば、平均標準報酬額(※2)が30万円であった場合の遺族厚生年金は369,968円なので、遺族基礎年金と合わせれば、およそ138万円の年金額になります。お子様が高校を卒業すると遺族基礎年金はなくなりますが、その時点で40歳以上であれば、厚生年金保険に別の加算(中高齢寡婦加算)があり、妻の受給する遺族年金が低くなり過ぎないようになっています。
(※2 社会保険料の計算に用いる加入期間における給与や賞与の平均額)

会社員の夫が死亡した場合に妻が受給する主な遺族年金

遺族基礎年金

国民年金・厚生年金保険に加入中・加入していた夫が死亡し、18歳の3月末までの子(または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子)がいる場合に受給できる。(保険料納付等の要件あり)

【年金額(2021年4月~)】
780,900円+子の加算(※3)
※3 配偶者が受給する場合の子の加算
第1子・第2子 各 224,700円
第3子以降 各 74,900円

遺族厚生年金

厚生年金保険に加入中・加入していた夫が死亡した場合に受給できる。(保険料納付等の要件あり)

【年金額(被保険者期間が2003年4月以降の場合)】
(平均標準報酬額×5.481/1000×被保険者期間の月数)×3/4

(被保険者期間の月数が300未満は300とする)

なお、勤務先によっては企業年金の制度があり、遺族年金などを受給できる場合があります。生命保険を見直す場合の参考にもなるので、この機会にご主人の勤務先の福利厚生制度を確認してみてください。


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