自営業ですが、国民年金保険料を払っていません。 このままでいいでしょうか?年金について教えてください。


自営業ですが、国民年金保険料を払っていません。 このままでいいでしょうか?年金について教えてください。

宮塚 達夫先生 (みやつか たつお) プロフィール
  • まずは国民年金に加入しましょう。
  • 未納期間分を追納しましょう。
  • 投資する場合は余裕資金の一定割合でしましょう。

磯野 隆さん(仮名 30歳 自営業)のご相談

将来の年金制度への不安もあり、国民年金を未納しています。
納めた方がいいのか、あるいは自分の運用で老後対策を考えた方がいいのか迷っています。
アドバイスをお願いします。

磯野 隆さん(仮名 30歳 自営業)のプロフィール

家族構成 : 本人 30歳 自営業
美穂 30歳 専業主婦
幸一 2歳

その他

  • ご主人は大学を卒業する22歳までは親が国民年金保険料を払ってくれていたが、卒業後は未納である。
  • 会社勤めをしたことはない。
  • 奥様は高校卒業後結婚する27歳までは会社に勤務していたが、結婚後は未納である。

実際に年金破綻していない現状では、
国民年金を上回る効率の投資先は無いと言えます。

国民年金は老後設計の大きな柱です

今日本は未曽有の高齢化社会を迎えようとしています。
総務省統計局「国勢調査」によれば、平成22年の高齢者1人に対する現役世代(15~64歳)の人数は2.8人で、約5人に1人が高齢者なのに対して、平成67年には高齢者1人に対する現役世代は1.3人となり、2.5人に1人が高齢者になると予想されています。
つまり単純に考えると、平成67年には2.5人で1人の高齢者の年金を支えなければならない計算になり、この先の年金制度は崩壊してしまうのではないかと考えてしまうのも、仕方がない一面があります。
しかし、老後生活を支えるもっと良い確実な方法があるかというと、現在国民年金制度を差し置いて、残念ながら一つも無いのが現状です。
何があっても困らない程の貯蓄がある、あるいは自分の運用能力に絶対の自信があるから国民年金なんか絶対払わないぞという方以外は、制度の崩壊を危惧して未納を続けるのは得策ではありません

国民年金制度を理解しましょう

現在の国民年金の保険料は毎月14,980円で、1年間で17万9,760円ですが、口座振替で1年分を前納すると17万5,990円となり、3,770円安くすることができます。
一方、20歳から60歳まで40年間続けて保険料を納付した人が受け取る老齢基礎年金は、年間78万6,500円となっています。
口座振替で前納した場合40年間で支払う保険料
17万5,990円×40年間=703万9,600円
に対して、65歳からの支給額を割ってみると
703万9,600円÷78万6,500円=8.95
となり、
65歳+8.95歳=73.95歳

つまり74歳まで生きていれば、元が取れるのです。
平成22年に厚生労働省が発表した「簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は男性が79.64歳、女性が86.39歳であり、ほとんどの人が元を取れることになります。

磯野様ご夫婦がお二人とも90歳まで生きたとした場合の支給額
78万6,500円×2人×25年=3,932万5,000円
になります。

国民年金に加入していないと、65歳時点で約4,000万円の貯金を上乗せする必要が生じてくるのです。

さらに支払った国民年金保険料は奥様の分も含めて全額「社会保険料控除」の対象となるため、ご主人の毎年の税金を安くすることだってできるのです。
磯野様の所得が仮に500万円で口座振替前納をした場合、所得500万円の所得税率が20%なので
17万5,990円×2人×20%=7万396円
住民税は10%なので、
17万5,990円×2人×10%=3万5,198円
所得税住民税合わせて
7万396円+3万5,198円=10万5,594円
税金が安くなるのです。

つまり1年間のご主人の実質負担額
17万5,990円-10万5,594円=7万396円
となり、40年間払った場合の実質負担額
7万396円×40年=281万5,840円
となり、65歳からの支給額を割ってみると

281万5,840円÷78万6,500円=3.58
65歳+3.58歳=68.58歳
ご主人に限っては69歳まで生きれば元が取れることになるのです。
そして所得税は累進課税なので、所得が高ければ高い程、お得度が増します。

追納しましょう

しかしながら磯野様の場合、過去に未納期間があるために今後60歳まで保険料を払い続けたとしても、満額支給とはなりません
そこで、できれば過去の未納分についても追納して穴埋めしたいところなのですが、時効の関係で、本来過去の未納分に関しては2年分しか追納できません。
磯野様の場合、奥様は3年間の未納なので2年追納すればさほど問題はありませんが、ご主人は8年間の未納期間があるので、6年間の未納期間ができてしまうことになります。
でもご安心ください。
磯野様はラッキーなことにすべての未納期間分を追納することができるのです。
3年間の時限立法ではありますが、今年の10月から年金確保支援法が施行され、過去10年分の未納保険料を納付することが可能になったのです。
つまり磯野様は今年の10月から平成27年9月末までに未納分をすべて納付すれば、満額支給を受けることが可能になったのです。
もっとも過去の保険料に一定の金額を上乗せして払う必要がありますが、特例が認められる3年間で何とか払ってしまいたいものです。

障害年金・遺族年金も大切です

国民年金には老齢基礎年金の他にも、障害状態になったときに支給される障害基礎年金と、ご主人が亡くなった時に遺族に支給される遺族基礎年金もあるのです。
一家の大黒柱に万が一のことがあった場合にこの年金は非常に大きな助けになります。
磯野様の場合この年金を受給するためには、最低でも初診日あるいは死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料を滞納した期間がないという要件を満たす必要があるので、まずはこの期間の追納をすることが大切です。

毎月400円保険料を多く払いましょう

追納によって老齢基礎年金の受給額を満額にした後に、更に受給額を増やす方法があります。
付加年金です。
月々400円の付加保険料をプラスして払うと、65歳から給付される老齢基礎年金に付加年金が上乗せされます。
そして付加年金の年金額は200円×付加保険料納付月数となります。
ピンとこないかもしれませんが、この付加保険料は通常の保険料と違って追納することができないので、磯野様の場合60歳までの30年間付加保険料を納付することができます。
400円×12ヶ月×30年=14万4千円
の納付保険料に対して、付加年金額は
200円×12ヶ月×30年=7万2千円

となり、たった2年で元が取れてしまうのです。
90歳まで生きたとした場合、
7万2千円×25年=180万円
の付加年金が貰えることになり、納付した付加保険料に対して
180万円-14万4千円=165万6千円

もお得です。
何がなんでも毎月400円払うべきなのです。

国民年金基金の加入も考えましょう

付加年金は毎月400円という手軽な保険料ですが、もう少し余裕がある場合に考えていただきたいのが、国民年金基金です。
ちなみに、付加年金を払っている人は加入できません
会社員や公務員など(第2号被保険者という)は、平屋建ての国民年金の上に自動的に厚生年金という2階部分が乗っかっており、その分将来貰える年金が増える仕組みになっていますが、磯野様のような自営業者(第1号被保険者)は、2階建てにするかどうかは各個人の任意になっています。
2階建てにしようとする場合に最初に検討すべき年金が国民年金基金なのです。
国民年金基金は1口目の終身年金を15年間の保証期間ありにするか、保証期間なしを選択し、2口目以降はどちらかの終身年金にするか、給付期間や支給開始時期が異なる5種類の確定給付年金(いずれも保証期間あり)を組み合わせるかを月々6万8千円の掛金を上限に自分で選択することになりますが、保証期間なしの終身年金だけを選択して支給開始前に死亡してしまった場合、遺族一時金として1万円しか支払われず、それまでの掛金がパーになってしまうので注意が必要です。
また原則中途解約ができないので注意が必要ですが、その場合は減額などで凌ぐことをお勧めします。

国民年金基金の最も大きな特徴が、国民年金保険料と同じく、掛金が全額社会保険料控除の対象となることです。
上限の月々6万8千円の掛金を払った場合、年間81万6千円の掛金に対して、所得500万円の場合、所得税20%、住民税10%が安くなるので、
81万6千円×(20%+10%)=24万4,800円も安くなるのです。
もっとも、国民年金基金は付加年金と同様、掛金によって給付金額が確定するので、将来設計を立てやすいというメリットがある半面、インフレになったときにその年金の価値が低下してしまうというデメリットもあります。
このインフレに弱いというデメリットを解消するために、月々6万8千円の上限(年間81万6千円)はそのままに、国民年金基金の代わりに個人型確定拠出年金(いわゆる401K)だけにする、あるいは両方加入するという方法もありますが、将来の年金受取額は運用成績に左右されるので注意が必要です。

個人年金保険の加入を検討しましょう

さらにお金に余裕があれば、民間生命保険会社で販売している個人年金保険への加入も検討してみてはいかがでしょうか。毎月コツコツ保険料を払って年金として受け取る、将来の為の貯金の一種だと思って始めてみるといいでしょう。
但し、貯金と違って一定期間で解約してしまうと、払い込んだ保険料を下回ることがあるので、無理のない金額で始めることが重要です。超低金利の現在、払込保険料に対する年金総額がかなり増えるのかというとそうでもありません。
それでもお勧めする理由は、やはり税金が戻ってくるからなのです。
ある一定の条件を満たす「個人年金保険料税制適格特約」がついていれば、年間10万円の保険料を払った場合、所得税4万円、住民税2万8千円の所得控除を受けることができるのです。
前例と同じ所得500万円の場合
所得税 4万円×20%=8千円
住民税 2万8千円×10%=2千8百円
合計 1万8百円

税金が安くなるのです。
年間10万円を投資して1万8百円のリターンがあると考えると、何と10.8%の利回りという見方もできるのです。
ちなみに所得控除は所得税4万円、住民税2万8千円が最大限で、年間保険料が8万円以上の場合どんなに多く保険料を払っても変わらないので、利回りという点から考えると年間保険料8万円の保険がベストであることになります。

まとめ

まだまだ余裕がある場合には、投資という選択もありますが、あくまでも資産の中の一定割合だけを計画的に運用するように心がけてください。必ずうまくいく保証はどこにもないのです。失敗した場合、一生懸命働いた後のバラ色になるはずだった老後生活が惨めなものになってしまいます。
まずは公的年金制度を上手に利用して土台を固めることが重要なのです。
10年間の追納ができるこのチャンスを是非活かしていただきたいものです。

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