大学院に通いたい社会人です。教育訓練給付金を使えますか?


今回、回答いただく先生は…
森田 和子先生(もりた かずこ) プロフィール
  • 専門実践教育訓練では一部の専門学校や大学院なども対象になります。
  • 事前にキャリアコンサルティングを受ける必要があります。
  • 45歳未満の生活費を支援する制度もあります。

  橋元 優祐さん(仮名 32歳 会社員)のご相談

学生時代から大学院に興味がありましたが、経済的なこともあって就職しました。できるなら今からでも大学院に通いたいと考えています。会社員は教育訓練給付金を使えるそうですが、大学院でも使えますか?

橋元 優祐さん(仮名)のプロフィール

家族構成 橋元 優祐さん 32歳 会社員 独身

制度の対象になる大学院は一部あります。受講料の最大70%が支給されます。

こんにちは、橋元さん。スキルアップを目指す気持ちを大切にしたいですね。会社員が加入する雇用保険には教育訓練給付の制度があり、大学院でも利用できる場合があります。制度の対象になれば、受講料などの最大70%を支給してもらえます。内容を確認していきましょう。

専門実践教育訓練では一部の専門学校や大学院なども対象になります

橋元さんのように、勤務先を通して雇用保険に一定期間加入している人は、資格取得講座などの費用の一部を支給してもらえる教育訓練給付の制度を利用できます。
教育訓練給付には3種類あります。簿記や Web デザイナーなどの講座が対象の「一般教育訓練」、 保育士や税理士、情報処理技術者試験などの講座が対象の「特定一般教育訓練」、そして専門学校・大学・大学院などの特定の学科・専攻などが対象になる「専門実践教育訓練」です。橋元さんの希望する大学院が対象になるのは「専門実践教育訓練」です。

教育訓練給付金制度を利用できるのは、受講開始日までの間に引き続いて雇用保険に加入していた期間が3年以上ある人※1 です。受講開始日前の3年以内に教育訓練給付を受給した場合は対象外です。橋元さんは、大学を卒業してからずっと今の会社で働き、これまで教育訓練給付を受給したことはないので、利用できますね。
対象になる講座は、中長期的なキャリア形成に役立つ専門的・実践的な教育訓練で、厚生労働大臣が指定する施設の講座です。教育学、法学、看護、MBAプログラムなどが指定されていますが、制度の対象になる大学院・専攻は限られているので注意が必要です。対象講座は、厚生労働省のホームページで確認できます。

この制度で支給されるのは、入学料や受講料などの一部です。上限金額は受講費用の50%、年間40万円、最大3年分の120万円となっており、6ヶ月ごとに申請をして受給します。また、教育訓練の修了後1年以内に資格を取得し、就職した場合は、さらに追加給付として20%、上限48万円が支給されます。受講中から資格取得後に就職した場合までの給付金を合計すると、受講費用の70%、168万円を限度として支給されることになります。※2 ※3

専門実践教育訓練給付金の内容
対象者 雇用保険の加入期間が3年以上あり、受講開始日に被保険者であるか、離職後1年以内の人
対象費用 専門実践教育訓練の入学料・受講料などの受講費用
支給額 費用の50%、上限年間40万円×最長3年※2

追加給付20%、上限20万円
対象講座の例 専門学校の看護学科・調理師科など
短期大学の保育科・歯科衛生士学科など
大学の社会福祉学科・助産別科など
大学院の中小企業診断士登録養成課程、MBAプログラムなど
  • ※1 当分の間、初めての場合は2年以上。
  • ※2 修業年限4年の場合の上限は、50%の40万円×4年=160万円、70%では224万円。
  • ※3 算出した金額が4千円以下の場合は対象外。

事前にキャリアコンサルティングを受ける必要があります

専門実践教育訓練の制度を利用するには、受講開始1ヵ月前までにキャリアコンサルティングを受けて職務経歴や免許などを記載したジョブ・カードを作成・提出する必要があり、ハローワークでも行うことができます。なお、受講開始日前1年以内に一定のキャリアコンサルティングを受けた場合は、2万円を限度に支給対象になります。
受講中は6ヵ月ごとに給付金の申請をします。資格を取得して就職したら、1ヵ月以内に申請することで20%の追加給付を受けることができます。

45歳未満の生活費を支援する制度もあります

専門実践教育訓練の対象になる講座の中には、平日昼間ではなく、平日夜間や土日に受講できるものがあるので、働きながら通うこともできるでしょう。しかし、仕事との両立が難しく、離職して受講するなら、受講中の生活費を支援する教育訓練支援給付金を利用できる場合があります。
雇用保険に加入していた人が離職すると基本手当(いわゆる失業手当)を受給できますが、基本手当の支給が終わるなどで受給できない期間については、教育訓練支援給付金として基本手当の日額※4相当の80%が支給されます。受講開始日に45歳未満で、初めて教育訓練支援給付金を受給し、受講する講座が通信制または夜間制でないなどの要件を満たす人が対象です。2022年3月末までの制度でしたが、2025年3月末まで延長されています。専門実践教育訓練の手続きと同時、またはそれより後に手続きをします。

社会人として働きながら次のステップを考えるのは大変なことですが、せっかくの機会ですから、前向きにこの制度の利用を考えてみてください。

  • ※4 離職する直前の6か月間に支払われた賃金の合計金額を、180で割った金額の45%~80%。

参考(2022年7月11日時点):厚生労働省「教育訓練給付制度」


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