子どもの医療費が無料の地域ですが小学校で勧められた保険に加入する必要はありますか?


今回、回答いただく先生は…
髙柳 万里先生(たかやなぎ まり)
プロフィール
  • よくわからないまま加入するのではなく、まずは内容を確認しましょう。
  • 重複している補償がないか、世帯で加入している保険の内容をチェックしましょう。
  • お住まいの地域の子ども医療保険制度について最新の内容を確認しましょう。

  小山 真由子さん(仮名 33歳 会社員)のご相談

長女の小学校入学時、学校から配布される資料の中に『こども総合保険』があり、締め切りが迫っていたため慌てて加入しました。強制加入の保険なのかと勘違いしていましたが、どうやら任意加入だったようです。私たちは子どもの医療費無料の地域に住んでいるため、果たして加入の必要性があったのか、最近疑問に感じています。子どもの保険について、どのように考えるとよいのかアドバイス頂けると助かります。

小山 真由子さん(仮名)のプロフィール

家族構成
小山 真由子さん 34歳 会社員(ご相談者)
小山 佑太さん 36歳 会社員(夫)
長女 7歳 (小学一年生)

重複して加入する必要はありません。ですがご家庭で加入している保険や共済等の契約内容をすべて確認したうえで、もしもカバーできていない補償があるならば、子ども総合保険や民間の保険等の活用も検討してみてください。

小山さん、この度はご相談ありがとうございます。
ただでさえ新生活の準備に追われる新年度、学校からの配布資料に期限内に対応しなければならないため、よく検討する時間もなく、とりあえず勧められた保険に加入されている方は多いようです。ただし、学校から案内されたものでも、任意加入であればあわてて加入することはありません。まずは『こども総合保険』の一般的な内容をおさえておきましょう。

『こども総合保険』とは

学校やPTA連合会より案内される『こども総合保険』は原則として任意加入の保険です。
小・中学生総合保障制度』とも呼ばれ、学校やPTA連合会が契約者となり、在籍中の子どもを被保険者として団体加入し、損害保険会社が制度引受保険会社となります。

主な補償内容

基本的にはケガや損害の補償です。
一般的な子ども総合保険の、主な補償内容をまとめました。
なお、学校により案内されるプラン内容が異なりますのでご注意下さい。

個人賠償責任

誤って他人にケガを負わせたとき

1事故あたりの支払限度額 無制限(国内)+3億円(国外)/2億円(国内外)/ 1億円(国内外)等

子どもやその家族が誤って他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりして法律上の損害賠償責任を負った場合の補償。
学校より貸与されたタブレットを子どもが管理中(自宅、登下校中、休み時間)に、誤って破損させ、法律上の損害賠償責任が生じた場合も補償。
育英費用 扶養者がケガをし、事故の日から180日以内に死亡または重度の後遺障害を負った場合の補償。
一時金 300万円/200万円/100万円等
傷害(ケガ)

ケガをして入院・通院したときや手術をしたとき

ケガによる死亡保険金 300万円/200万円/100万円等
ケガによる入院 日額2,500円/2,000円/1,500円等
ケガによる手術 入院給付金の10倍または5倍
ケガによる通院 1,500円/1,200円/1,000円等

授業中の事故・交通事故・レジャー中の事故など、様々な事故により子どもがケガをした場合の補償。
細菌性食中毒 子どもが細菌性食中毒・ウイルス性食中毒を発病した場合の補償。
熱中症 子どもが熱中症を発病した場合の補償。
地震・噴火・津波 地震・噴火またはこれらによる津波によるケガなどをした場合の補償。
学校管理下動産

授業・登下校中にメガネなど身の回りの物が破損したとき

保険年度あたり支払限度額 5万円等(自己負担額1000円等)

学校の授業・登下校中などに、子どもが携行している身の回り品に、破損・盗難・火災などの偶然な事故による損害が生じた場合、その損害額(修理費または時価額のいずれか低い金額)を補償。
病気死亡見舞金
(葬祭費用)
子どもが補償期間中に病気を発病し、発病から180日以内に亡くなった場合、実際に負担した葬祭費用を補償。
支払限度額 100万円等
疾病(病気)

病気で入院・手術をしたとき

病気による入院 日額 2,500円/2,000円等
病気による手術 入院給付金の10倍または5倍
60日以上の入院が必要とされた場合の一時金 10万円等

子どもが補償期間中病気を発病し治療を受けた場合

  • ●疾病入院医療保険金:1泊2日以上入院した場合、入院日数に応じて支払われる。
  • ●疾病手術医療保険金:所定の手術を受けた場合に支払われる。
  • ●疾病入院療養一時金:60日以上の継続入院が必要と医師に診断された場合に支払われる。
  • *損害保険会社の所定の条件により補償対象外となるケースがあります。
  • *選択プランにより補償項目が異なりますのでご注意下さい。
  • ※各地域の子ども総合保険の補償内容をもとに筆者作成

主な補償内容ですが、メインとなる補償は他人に対する損害賠償・保護者の災害死亡や後遺障害時の補償・子ども自身のケガの補償となっています。

個人賠償責任について

『個人賠償責任保険』は子どもが誤って他人にケガをさせたり、ものを壊したときに補償するもので、各世帯に必須の補償と言えます。こちらは自動車保険や火災保険に特約として追加されている「個人賠償責任特約」または『日常生活賠償特約』と同等の内容になります。重複して加入しても損害額によってはいずれか一方の保険契約からは保険金が支払われない場合があり、保険料が無駄になる事がありますので注意が必要です。また、近年社会問題化している自転車事故による高額賠償の事例を考慮すると、一事故あたりの支払限度額については、『無制限』または『3億円』程度備えておくことをお勧めします。

育英費用について

『育英費用』は扶養者が傷害によって死亡・重度の後遺障害状態になったときに育英資金として支給されるものですが、補償内容としては保護者の生命保険や学資保険と内容が重なります。小山さんのご家庭で、すでに学資保険やご夫婦の生命保険に加入しているのであれば、必ずしも加入必須というものではないでしょう。

傷害(ケガ)・疾病(病気)の補償について

ケガや病気の補償については、子ども自身の入院や手術を補償するものですが、自治体による子ども医療費助成制度により、原則として一定の年齢までは医療費が無料となるケースがほとんどです。しかし、医療費は無料とはいえ、子どもの入院や通院には原則として保護者の付き添いが必要なため、想定外の出費がかかります。
筆者の経験ですが、子どもが離島滞在中に左ひじを骨折したため緊急手術・入院となり、フェリーやタクシー、レンタカーなどの交通費や雑費、大人の食費等を含めると、ざっと50万円以上の出費となりました。医療費に関しては、子ども医療費助成制度の還付申請や、高額療養費制度の適用により後日還付されました。しかし、申請してから還付されるまでには3か月ほどかかりました。
幸い、民間の保険で子ども本人の医療保険と家族全員の傷害保険に加入していたため、治療がひと段落した段階で請求手続きをすると、数日で給付金が入金され、経済的負担が軽減されました。
ご家族の病気やケガの際の出費を貯金でまかなうか、保険等でカバーするかはご家庭の家計状況により判断する必要がありますが、治療にかかる費用以外にも差額ベッド代・交通費・雑費等の出費が意外と負担になることは知っておいて頂けたらと思います。

子どもの医療費助成制度について

小山さんのお住まいの地域は子どもの医療費無料とのことですが、お子様が何歳まで無料となるでしょうか。子どもの医療費助成制度は、全国各市町村が主体となり実施されていますが、全国統一の制度ではありません。都道府県、市町村ごとに制度が異なりますので、お住まいの市区町村のホームページなどで最新の制度概要を確認しましょう。ちなみに東京都中央区では、高校3年生相当(18歳到達後最初の3月31日)までは、東京都内の医療機関等の窓口に健康保険証と一緒に所定の医療証を提示することにより、保険診療の自己負担分を支払わずに受診できます。
お子様が医療費の助成を受けられる年齢の間は、医療保障は必要なのか疑問に思われる小山さんのお気持ちはわかりますが、若いからといって100%ケガや病気にならない保証はありません。可能であればお子様の医療費助成対象期間が終了する前に、無条件で加入できるタイミングで、シンプルで低コストな医療保障を準備されるのもひとつの方法だと思います。

小山さんの場合、まずは現在ご家庭で加入している保険や共済等の契約内容をすべて確認することをお勧めします。もちろん重複して加入する必要はありませんが、もしもカバーできてない補償があるならば、子ども総合保険や民間の保険等の活用も検討されてみてはいかがでしょうか。


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