円安で外貨建て生命保険が大幅にプラスになっています。解約をした方がいいでしょうか?


今回、回答いただく先生は…
村井 英一先生(むらい えいいち) プロフィール
  • 為替レートが円安ドル高に進むと、ドル建て資産の円での価値が上昇します
  • 保険商品の仕組みによって、為替の影響は異なります
  • 解約した場合のメリットとデメリットを比較して検討しましょう

  吉田 信也さん(仮名 42歳 会社員)のご相談

5年ほど前に、米ドル建ての終身保険に加入していました。為替相場が円安ドル高に進んだため、大幅にプラスになっています。今のうちに解約して、利益を確保しておいた方がよいのでしょうか?

吉田 信也さん(仮名)のプロフィール

家族構成
家族 年間収入
ご相談者 吉田 信也さん 42歳(会社員) 450万円
家族 妻 40歳(会社員) 400万円
長女 10歳(小学生)
次女 8歳(小学生)
貯蓄額 800万円

保険に加入した目的を再確認して判断するとよいでしょう

1.まずは加入している保険商品の内容をよく確認しましょう

2022年は、為替相場が円安ドル高方向に大きく動きました。昨年までの約5年間は、1ドル=110円前後で、為替相場は比較的安定していましたが、2022年3月から円安ドル高方向へ進み、一時は1ドル=150円までドルが上昇(円は下落)しました。その後はある程度、円高ドル安方向に戻っていますが、それでも2021年以前と比べると、まだまだドルは高い状況が続いています。

円に対してドルが上昇すると、ドル建て資産の円での価値が上昇します。1ドル=110円の時の1万ドルは日本円で110万円ですが、1ドル=150円だと日本円で150万円になります。為替相場の動きだけで、数十万円もの利益が生じることになります。(ここでは、為替手数料や税金を考慮していません。)
ただ、外貨預金とは異なり、外貨建て保険の場合はそう単純に解約して利益確保とはいきません。保険商品は、万が一の場合に保険金が支払われる保障機能があり、いろいろな仕組みが備わっているからです。為替相場がドル高に推移していても、解約した場合に受け取れる解約返戻金がそれほど増えていない場合もあります。まずは加入されている保険商品の内容をよく確認しましょう。

外貨建ての保険商品では、個人年金と終身保険が多くなっています。老後への備えである個人年金に対して、終身保険は死亡への備えが中心です。終身保険は、解約返戻金を受け取ることを前提に、老後への備えとして利用する人も多くいます。
保険料の払い方では、加入時にまとめて支払う一時払いのものと、毎月あるいは毎年一定の金額を払っていく平準払いがあります。
保険金あるいは解約返戻金の金額があらかじめ決まっている確定利率の保険商品では、ドルでの受取額が確定しています。保険期間中に利率が変動する利率変動型の保険商品は、金利状況でドルでの受取額も変動します。さらに、株式などの変動商品で運用する変額保険もあります。変額保険は積立額が大きく変動し、マイナスとなる可能性もあります。その中には、目標を達成すると安定運用に移行するものなどもあり、その内容は保険商品によってさまざまです。
いずれも外貨建て保険は、為替相場の変動によって円建てでは解約返戻金や保険金、年金が変動します。状況によっては元本割れすることもあり、損失を生じるおそれがあります。それだけに途中で解約して解約返戻金を受け取ることも選択肢となります。

2.外貨建て保険を解約した場合のメリット・デメリット

次に、解約した場合のメリットとデメリットを考えてみましょう。
メリットは言うまでもなく、為替差益を得ることです。為替相場が円安外貨(ドル)高に進むと、利益を手にすることができます。最近の急激な円安ドル高では、運用期間で考えた投資利回りはかなり高いものとなるでしょう。今後の為替相場の動き次第では損失となる可能性もあるだけに、今のうちに利益を確保しておけば安心です。
デメリットとしては、保険商品を解約してしまうことで、その後の保障がなくなることが挙げられます。外貨建て保険の場合は、高い利率や為替差益を目的に加入するケースもありますが、老後や死亡に備えるためという目的もあったはずです。保険を解約することで、その備えを自ら手放してしまうことになり、その後の保障をどうするか考えなければなりません。

それだけに、利益を得た解約返戻金を、その後どのように運用していくかも検討しなければなりません。本来の目的であった老後や死亡はまだ先のことです。円での預金に比べると、ドルなどの外貨の方が金利は高い傾向になります。円に換えて保有するということは、外貨の高金利を手放すことにもなり、円で保有する期間が長い場合は、為替差益があまりプラスになりません。
さらに、保険商品では、保険料には生命保険料控除、保険金を受け取る際には相続税の非課税枠といった税制上の優遇措置が受けられます。保険商品を解約してしまうことで、これらの優遇措置も手放してしまうことになります。

3.保険に加入した目的は何でしたか?

今一度、保険商品に加入した目的を再確認してみましょう。外貨での運用が魅力で、その手段として保険商品を選んだのであれば、タイミングよく解約して、為替差益を確保することが重要です。一方、老後や死亡に備えることが目的であったのでしたら、安易な解約は、たとえ利益を得たとしても、その後に頭を悩ますことになります。加入した際の目的を再確認して判断することが大切です。


外貨建て商品での運用に興味があります。どんな点に注意して選べばよいですか?
50代シングル女性です。老後にいくらあれば大丈夫なのか不安です。
自粛生活で増えた貯蓄で投資を考えています。海外投資はどのように始めたら良いですか?

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