コロナ禍で夫が失業し、子どもの進学費用が心配です。


今回、回答いただく先生は…
村井 英一先生(むらい えいいち) プロフィール
  • 2020年に「高等教育の修学支援新制度」ができました。
  • 「授業料等の減免」と「給付型奨学金」がセットになった制度です。
  • 高校3年生時に申し込む「予約採用」と、入学後に申し込む「在学採用」があります。

  山田 美里さん(仮名 48歳 パート主婦)のご相談

コロナ禍で夫が失業してしまいました。再就職のメドはまだ立っておらず、収入は私のパート収入だけになっています。長男が高校3年生で来年には大学に進学する予定ですが、このような事態になるとは予想もつかず、奨学金の申込みはしていませんでした。どうすればよいでしょうか。

山田 美里さん(仮名)のプロフィール

家族構成
家族 年齢 年間収入
ご相談者 山田 美里さん 48歳(パート主婦) 年収100万円
ご家族 52歳(失業中) 失業手当を受給中
長男 17歳(高校生)
長女 13歳(中学生)
貯蓄額 900万円

入学金と初年度授業料は準備する必要がありますが、授業料免除と奨学金の給付が受けられる制度があります。

1.採用されれば授業料等の減免と給付型奨学金がセットで

来年に大学進学を控えている中、ご主人様が失業されたということで、今後が心配ですね。貯蓄から初年度納付金を払うことができたとしても、その後の学費が心配です。ご主人様が早々に再就職ができればよいのですが、そればかりはわかりません。ここは、厳しい状況が続くものとして、奨学金の利用を考えていきましょう。

2020年から「高等教育の修学支援新制度」ができ、ご家庭の家計状況が厳しいお子さんの進学がしやすくなりました。これは「授業料等の減免」と「給付型奨学金」がセットになった制度です。従来からの貸与型奨学金も引き続き用意されていますが、ここでは内容が充実された新制度を見ていきましょう。
授業料等の減免」は、それぞれの大学・専門学校が窓口となっていますが、共通した国の制度です。「給付型奨学金」は返済が不要な奨学金で、日本学生支援機構が扱っています。どちらも採用基準が同じですので、どちらか一方だけが採用されるということはありません。採用されたら、授業料や入学金が減額あるいは免除となり、さらに奨学金をもらえるようになります。

2.住民税非課税世帯と住民税非課税世帯に準じた世帯が対象です

支援制度の採用基準には、「家計基準」と「学力基準」があります。家計基準では、住民税非課税世帯または住民税非課税世帯に準じた世帯となっています。詳細は細かい計算で判定されます。日本学生支援機構のサイト「進学資金シミュレーター」で試算ができます(貯蓄についても一定の基準があります)。

進学資金シミュレーター-JASSO(https://shogakukin-simulator.jasso.go.jp/)

学力基準」では、「高等学校等における全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること」だけでなく、「学習意欲を有すること」でも対象になります。レポートや面接などで、目的意識を持っていると確認できれば、今の成績は問われません。ただし、在学中に成績不良だと打ち切られてしまう場合があります。

具体的な支援制度について、まずは「授業料等の減免」を見てみましょう。
住民税非課税世帯であれば、国公立大学(昼間制、以下同じ)の場合は授業料で年額535,800円、入学金は282,000円が減免の上限です。実質的に学費免除と言ってよいでしょう。私立大学の場合は授業料が年額700,000円、入学金は260,000円私立の専門学校の場合は授業料が年額590,000円、入学金は160,000円が減免の上限です。授業料、入学金は学校や専攻によって異なりますし、そのほかに施設費などが必要になりますが、それでもかなり負担が抑えられます。住民税非課税世帯に準じた世帯は、上記の2/3または1/3となります。
奨学金の金額は、自宅通学か自宅外通学かによっても異なります。住民税非課税世帯であれば、自宅通学の場合で月額17,500~38,300円、自宅外通学で月額34,200~75,800円となっています。こちらも住民税非課税世帯に準じた世帯は、上記の2/3または1/3となります。

3.入学前の予約採用と入学後の在学採用があります

授業料等の減免の手続きは、入学時または入学後に学校を通じて行います。一方、給付型奨学金は、高校3年生の春に申し込む「予約採用」と、入学後に申し込む「在学採用」があります。「在学採用」は春と秋の2回あります。具体的なスケジュールは入学した学校に確認してください。
授業料等の減免で入学金が減免になるのは、給付型奨学金が予約採用された場合と入学直後の春に在学採用された場合です。予約採用されている場合は、合格後に給付型奨学金の認定候補者の通知の写しを提出することで、入学金及び授業料の減免が受けられます。入学直後の春に採用された場合は、すでに支払った入学金と授業料は採用決定後に減免分が返金されます。また、大学によっては春の在学採用の可否が決定するまで、入学金と授業料の支払いが猶予される場合もあります。

山田さんの場合は、すでにご長男の予約採用は終わっていますので、大学入学後に在学採用の申し込みをされるとよいでしょう。その際、採用・不採用に関わらず入学金と初年度の授業料は納入する必要があるので、準備が必要です。
なお、「家計基準」は、在学採用の春の申込みでは前々年の所得で、秋の申込みでは前年の所得で審査されます。ご主人様の失業が今年である場合は春の申込だと基準を満たさない(昨年は十分な所得があった)でしょうから、入学後秋の在学採用の対象になると思われます。秋の在学採用の場合は、給付型奨学金の支給は10月分からが対象で、授業料の免除も後期分からとなります。すでに払った後期授業料の減免分は返金されますが、入学金と前期授業料は減免の対象になりません


被災後の生活を立て直すのが大変で教育費を支払えるか心配です。今から申し込める奨学金はあるでしょうか。
子どもの可能性のために、できる限り教育資金はカットしたくないのですが、自分たちの老後資金も心配です。
奨学金を利用して大学に通っています。 将来、ちゃんと返還できるのか心配です。

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