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森田 和子先生(もりた かずこ) プロフィール |
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三上 有紀さん(仮名 31歳 会社員)のご相談
もうすぐ子供が生まれます。将来の教育費のための貯金もしなければと思っています。いくら貯めればよいのでしょうか。公立と私立ではどれくらい違うのかも知りたいです。
三上 有紀さん(仮名)のプロフィール
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教育費のピークは大学や専門学校入学の時。教育資金作りはまず児童手当を積み立てましょう。
こんにちは、三上さん。ご相談ありがとうございます。子供の教育費は成長するにつれて増えていき、大学や専門学校の入学時にピークを迎えます。入学時前の納付額が100万~200万円ほどかかることもあるので、教育費を前もって貯めておくことは大切です。ぜひ児童手当を利用して積み立てましょう。「教育費の話は子供が生まれた時に聞きたかった」と言う先輩ママさんの声もあります。良い機会なので一緒に考えていきましょう。
児童手当を全て貯めれば約200万円になります
お子様が誕生すると、児童手当を受給することができます。支給額は0~2歳が月1万5千円、3歳~中学卒業までが月1万円ですが、所得が制限額を超えると月5千円になります。所得の限度額は、手当を受け取る人の扶養親族等の数に応じて設定されます。三上さんは所得の多いご主人(世帯主)が受給されますが、扶養親族はお子様1人で、 収入の制限額875.6万円以下なので、原則の児童手当を受給できますね。
児童手当の支給額
0~2歳 | 15,000円/月 |
---|---|
3歳~中学生 | 10,000円/月 |
※第3子以降は3歳~小学生:15,000円/月
※所得制限世帯(扶養親族児童1人の場合:収入額目安875.6万円以上):5,000円/月
これを全て貯めると約200万円になります。児童手当が振り込まれる口座を分けておけば、教育資金用の口座に自動的にお金が積み立てられるので負担なく教育費を貯めることができます。
公立と私立では年間100万円以上の違いになる学年もあります
教育費がどれくらいかかるのかについて確認しておきましょう。文部科学省は幼稚園から高校までの学習費を調査しています。給食費や教材費などの学校へ納めるお金の他、文房具などの学用品にかかる費用や、塾や習い事の月謝なども含めた学習費について、公立、私立、学年別の平均額がわかります。
学年別年間学習費の平均額(公立・私立) (単位:円)
公立 | 私立 | |
---|---|---|
幼稚園3歳 | 188,342 | 551,652 |
4歳 | 217,121 | 491,275 |
5歳 | 243,625 | 541,850 |
小学校1年 | 350,860 | 1,892,002 |
2年 | 263,310 | 1,366,148 |
3年 | 292,950 | 1,415,910 |
4年 | 309,617 | 1,497,087 |
5年 | 339,132 | 1,630,684 |
6年 | 370,940 | 1,790,314 |
中学校1年 | 456,582 | 1,624,661 |
2年 | 436,183 | 1,230,122 |
3年 | 569,348 | 1,362,389 |
高校1年 | 507,980 | 1,160,016 |
2年 | 460,470 | 893,127 |
3年 | 403,622 | 851,087 |
(高校は全日制)
※文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」
公立と私立では学習費が大きく違うことがわかります。100万円以上の違いになる学年も少なくありません。公立でも、高校受験を控えた中学3年生では月5万円程度の教育費が必要になるので、公立なら負担が少ないとは考えない方がよいでしょう。なお、私立高校に進学した場合には、定められた所得制限以下であれば、「私立高等学校授業料の実質無償化」の制度が利用できます。しかし、私立高校では学校納付金や制服、補助教材や課外活動費など、公立高校に比べると何かと高額になることには注意が必要です。
大学の学費は進学先によって大きく違います
高校卒業後は専門学校に進学する学生も少なくありませんが、ここでは大学の学費を見ていきましょう。ちなみに専門学校への進学費用も大学と同じくらいになります。
国公立大学の学費には標準額が定められていますが、これよりも学費の高い大学もあります。私立大学については、進学する大学や学部によって大きく違います。文部科学省が調査する初年度学生納付金平均額が参考になります。
大学の学費の目安 (単位:円)
入学金 | 授業料その他 | 初年度納付金 | ||
---|---|---|---|---|
国公立 | 282,000 | 535,800 | 817,800 | |
私立 | 文・教育 | 227,979 | 1,063,796 | 1,291,775 |
理・工 | 243,687 | 1,363,822 | 1,607,509 | |
医 | 1,340,552 | 5,554,807 | 6,985,359 | |
芸術 | 245,998 | 1,530,191 | 1,776,189 |
※文部科学省「令和元年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査」より抜粋。国公立大学は標準額。(大学は昼間部)
入学する前には、入学金とその他年間授業料などの半分を支払う場合が多くなっており、初年度納付金の6~7割程度の金額になります。比較的に学費の高くない学部でも100万円程度はかかるものと考えておいた方がよいでしょう。
児童手当にプラスの積み立てが効果的です
毎年(あるいは毎月)教育費にかけられる金額はご家庭によって違います。毎年50万円(月4万円程度)までならかけられるとすれば、50万円では不足する年に備えればよいことになります。調査結果をもとにすれば、公立でも中学3年生と高校1年生、大学の4年間ということになりますね。
例えば、この表をもとに高校までは公立、大学は私立文系に進学する場合、年間50万円で不足する金額を合計すると約256万円になります。大学が私立理系ならば、約378万円なので、どちらにしても児童手当の200万円では不足します。
そこで、プラスの積み立てを検討しましょう。児童手当の他に、高校卒業まで毎月5千円を積み立てると、約110万円プラスすることができます。1万円の積み立てなら約220万円となり、児童手当と合計すれば約420万円の教育資金が準備できることになります。家計の負担にならなければ、積立金額を増やしても構いませんが、マイホーム資金や老後資金なども必要なので、不足する場合には奨学金などの利用も考えられます。
また、もしも経済的に困った状況になった場合には、公的な制度が利用できないか学校や自治体に相談してみましょう。就学援助やさまざまな奨学金、学費無償化の制度などもあります。お子様のためにお金を貯めておくのは大切ですが、思うような金額が貯められなかった場合には、さまざまな制度を利用して進学することも可能であることを覚えておいてください。
平成30年度子供の学習費調査 ダウンロード
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00400201&tstat=000001012023&cycle=0&tclass1=000001135827&tclass2=000001135828&tclass3=000001135839&tclass4val=0
子どもの可能性のために、できる限り教育資金はカットしたくないのですが、自分たちの老後資金も心配です。
子どもが専門学校へ進学したら、学費はどれくらいかかるのでしょうか?
高校生を育てるシングルマザーです。 大学無償化が始まると聞きますが、わが家でも利用できるのでしょうか。