奨学金を利用して大学に通っています。 将来、ちゃんと返還できるのか心配です。


奨学金を利用して大学に通っています。
将来、ちゃんと返還できるのか心配です。

今回、回答いただく先生は…

井上 信一先生
(いのうえ しんいち)
プロフィール
  • 受けている奨学金の内容を今から確認しましょう
  • 収支のやりくりをする習慣を身につけましょう
  • 税金や社会保険も考え、必要な手続きをおこないましょう

中沢 まりえさん(仮名 20歳 仮名)のご相談

奨学金を受けて大学に通っています。
この奨学金は働きだしたら自分で返還していかねばならないもののようですが、その返還額がいくらなのかがわかりません。きちんと返せていけるのかも不安です。
いまは、足りなくなったら、つど親から小遣いを貰っていて貯蓄も殆どしていません。また、少しまとまった使いみちがあるのでアルバイトをしようと思っていますが、アルバイトで収入があると税金がかかるのでしょうか?

中沢 まりえさん(仮名)のプロフィール

家族構成: 本人(20歳):学生
父(50歳):自営業
母(48歳):父の手伝い
妹(16歳):高校生
現在は家族4人暮らし

「支出を把握し、コントロール」する習慣を身につけましょう。
アルバイトの給与は、税金を引かれて支払われるのが普通です。

まずは、給付を受けている奨学金の把握から

中沢様、ご相談ありがとうございます。
学生で20歳になると、”子どもと大人のはざま”で、自分の将来への不安も生じてきますね。 人生の先輩方はみんな、そのような不安をいくつも乗り越え、絶えず新たな不安や葛藤と向き合いながら時間を過ごしてきた経験者です。一番身近で、一番の先輩は、お子様2人を立派に育て上げてこられたご両親でしょう。これからは、”家族”としてだけではなく、”人生の経験者”としても、ご両親と接してみてください。学ぶことは、きっとたくさんあるはずです。

さて、ご相談の「奨学金制度」を中沢さんのように利用されている方は、いまでは大学生等の学生の5割超といわれています。
奨学金には、返還義務のある「貸与型」と返還不要の「給付型」とがあり、さらに「貸与型」には無利子のものと一定の貸付利率がつく有利子のものとがあります。データによると、我が国で利用されている奨学金の9割超が「貸与型」で、その殆どが有利子であるようです。
また、奨学金は学校や企業、地方自治体や各種団体等で扱っており、どこのものを利用しているのかで、若干しくみも異なります。奨学金を利用している以上、申込時に契約書等を作成しているはずなので、まずは、以下のポイントを確認してみて下さい。

  • どこの団体組織の奨学金なのか
  • 給付を受けている毎月等の金額と期間から、総額がいくらになる予定なのか
  • 返還義務の有無や利子の有無
  • 有利子で返還の場合はいつ利率が決まるのか
  • 返還が始まる時期と返還予定期間がいつまでなのか

基本的に、奨学金の利用は学生本人が契約当事者として行うものですが、受験や入学準備等の慌ただしいなか、馴染みのない契約書の内容などを覚えていることは難しいものです。
しかし、気になられたこのタイミングに、一度調べてみましょう。
少なくとも、どこの団体組織の奨学金であるのかがわかれば、不明な内容を電話等で問い合わせたり、その団体のホームページ等で調べたりできます。

例えば、奨学金制度の約9割を担う「独立行政法人 日本学生支援機構」の、その大半が利用している「第二種奨学金(有利子)」の場合、給付(貸与)は、卒業時の3月に給付が終了し、その時点の機構が定める利率で返還額が決定されます。
具体的な返還のスタートはその年の10月からです。 卒業時にならないと毎月いくらの返還額が必要なのか具体的に決まりませんが、貸付利率の過去の推移が公表されていますし、たとえ金利が上がったとしても、適用利率の上限が固定(法令により年3%を上限)されています。
また、機構のホームページでシミュレーションをおこなえますので、おおよその返還月額や返還期間をイメージすることができます。

独立行政法人 日本学生支援機構 http://www.jasso.go.jp/

奨学金とはいえ返還義務があるものなので、無断で滞納してしまうと、社会的信用の喪失に係るペナルティは一般的な借金と同じ扱いとなってしまいます。
奨学金ならではの、困った時に返還を猶予してくれる措置もいろいろあります。今の時点で不安があるようでしたら、せめてどこの奨学金を利用していて、どこに問い合わせれば良いのかだけでも把握しておくと、不安も軽くなることでしょう。

出費を予算化して、日々意識する練習をしましょう

社会人になると毎月の給与等の収入で、自分で収支のやりくりをしていかねばなりません。 今月に必要なお金が足りなくなって来月の給与の前借りを会社に求めたり、民間の金融機関等から借金をしたりするような習慣は、是非とも避けるべきです。
そこで、中沢さんにいま身に付けて頂きたいのが、「支出をコントロールする癖」です。
いまは、お金が足りなくなったら親にお小遣いを求めて補てんしたり、アルバイトで補ったりして収入をコントロールする術があるのかもしれません。ですが、社会人になると収入を容易にコントロールすることはできないので、逆に支出を管理することが求められます。その習慣は今からでも意識することができます。

例えば、先月の昼食代や交際費、洋服代等でいくらお金を使ったのかを調べてみましょう。今月も同じようなペースで過ごすなら、同額程度のお金が必要になるはずです。
一方、先月にたまたま出費したものがあったのなら、今月は少なく済む計算ですし、今月たまたま出費する予定のものがあるのなら、先月より多くのお金が必要になります。 細かい家計簿のようなものをつける必要はありませんが、月初にいくらお金を持っていて月末にいくらになっているのか、あるいは、その月にいくら小遣いを貰って、月末にいくら残ったかさえ記録しておけば、ひと月の間でいくらのお金を使っているのかが容易に把握できます。
そして毎月末には、翌月の出費の予定・予算を立ててみて下さい。
「足りなくなったらつど貰う」という習慣ではなく、「いくら必要なのかを予め知っておく」という習慣に変えていくのです。

最初は蓄えがないので必要となる小遣いの額を月初めに申請しなければなりませんが、次第に2ヵ月先3カ月先までと予定を立てる期間を長くしていけば、今後に必要な出費を意識するようになります。それを賄うために、限られた収入の中でいくらまで使えるか、いくらずつお金を残しておくべきかを計算できるようになるはずです。
つまり、いま使うお金は2ヵ月前、3ヵ月前から予定され準備されていたものであり、2カ月先、3カ月先の出費はいま計画され、必要なお金を使わずに残しておく、といった状態をつくりあげていくのです。
この、使わずに残しておくという行為こそが貯蓄であり積立です。
数ヵ月先に旅行に行くための積立も、数年先に車を買うための積立も、十数年先に家を買うための積立も、数十年先に老後生活を送るための積立も、すべてこの延長に過ぎません。 貯蓄をするということは、計画的に出費をしていくということなのです。

税金や社会保険のことも考えましょう

生活資金目的で親からもらうお金(小遣い)で税金を支払う必要はありませんが、働いて給与をもらうと、その金額(所得)に応じた税金(所得税・住民税)がかかります。アルバイトやパートでも同じです。 税金は本来、1月から12月末までの1年間に得た所得に応じて計算されるものですが、月ごとにもらう給与から、みなし計算された税金が引かれます(源泉徴収税額といいます)。

通常、給与のたびに引かれている源泉徴収税額は多めなので、1年間に支払った給与を会社が年末に再計算し、多めに引かれた税金を戻してくれます(年末調整といいます)。 ただし、アルバイト等は年末調整をしてくれない場合もありますので、住所地を管轄する税務署に行き、自分で税金の計算をし、還付を受ける手続きをする必要があります(確定申告といいます)。 アルバイト先から給与明細をもらったら、税金が引かれているのかを確認してみましょう。もし引かれていれば、確定申告をすることで引かれ過ぎていた税金が概ね戻ってきます。

また、20歳を過ぎたら国民年金という社会保険制度の被保険者として、国民年金保険料を支払う義務が生じます。ただし所得が一定以下の場合は、申請することで保険料が免除される「学生納付特例制度」等があります。年金は老後だけでなく、障害状態になった場合や死亡した場合の大切な保障です。役所だけでなく大学等の窓口でも申請できますので、きちんと手続きをしておきましょう。