共働きの夫婦です。子どもが生まれたら保障の見直しが必要でしょうか。


今回、回答いただく先生は…
鈴木 暁子先生(すずき あきこ) プロフィール
  • 「必要保障額」の考え方を理解しましょう。
  • まずは社会保障、勤務先の制度でカバーし、不足する分を自助努力で準備しましょう。
  • 共働きの場合、稼ぐ妻が万一の場合のほうの影響が大きいこともあります。

  中井 有紀さん(仮名・33歳・会社員)のご相談

就職して10年。これまでは仕事優先でしたが、先月妊娠が判明しました。予定日は年明けで、出産後は復帰予定です。
現在はお互い収入があるので死亡保障がある保険に入っていませんが、よく「子どもができたら保障を見直すべき」と聞きます。私自身もある程度の収入があるので、夫の保障をそこまで手厚くする必要があるでしょうか?

中井 有紀さん(仮名)のプロフィール

家族構成
家族 年間収入
本人(33歳・会社員) 約700万円
夫(33歳・会社員) 約800万円
住居:賃貸

必要保障額を夫婦どちらの場合でも試算して備えましょう。お子さんが成長したりライフプランに変更があれば見直しも。

1.必要保障額を意識しましょう。

中井さん、こんにちは。これまでの10年はお仕事を頑張ってこられましたが、お子様を授かったとのこと。おめでとうございます。今度はプライベートの充実ですね。

確かに現在は共働きのご夫婦で、なおかつ有紀さんご自身も高収入でいらっしゃるので、特に死亡保障は必要ないといえます。しかしお子様を育てるにはこれまでにはなかった大きな支出が続きます。ご夫婦いずれも収入があるといって、死亡保障をそれほどなくても良いのではないかと感覚的に考えるのは危険です。

まず、「必要保障額」の目安を確認することをお勧めします。必要保障額というのは、稼ぎ手が万一の際、「その後の遺族の支出」から「その後の遺族の収入」を差し引いた時の不足分をいいます。差し引いた額がプラスであれば一応現状で足りていると考えられますが、不足している場合は一般的に保険などでカバーする必要があります。実はこの必要保障額を試算することは、不足している世帯には早急な対応が必要なことを気づかせることができるだけでなく、保険に入りすぎている世帯にも過剰な保障の見直しメリットがあるのです。本来保険に加入する前に、本当に必要な保障の目安を試算してから保険金額を決めるべきなのです。

2.社会保障、勤務先の制度を考慮した上で、不足分を自助努力でカバーしましょう。

それではまず支出を見ていきましょう。ご夫婦二人のどちらかが亡くなられた後の支出は概ね以下の項目です。

  1. ① お子様独立までの生活費(現在の生活費の7割程度)
  2. ② お子様独立後、配偶者一人の期間の生活費(現在の生活費の5割程度)
  3. ③ 教育費
  4. ④ 住居費

「生活費」「教育費」「住居費」が3大支出といえます。これに、家庭ごとの事情による支出があれば計上します。

次に収入を見ていきましょう。
社会保障として、2つの遺族年金があります。

  1. ① 遺族基礎年金
  2. ② 遺族厚生年金

また、ご夫婦それぞれの勤務先で保障があるかを確認しておきましょう。たとえば

  1. ③ 弔慰金、供花料
  2. ④ 遺族年金

などがあるかもしれません。ご自身の勤務先の福利厚生や保障などの制度を知らない方も驚くほど多いのですが、とても大事なことですので、ぜひ確認しておきましょう。

さらに以下のような収入も見積もります。

  1. ⑤ 配偶者の給与収入、退職一時金、企業年金
  2. ⑥ これまでの貯蓄
  3. ⑦ 配偶者自身の老齢年金
  4. ⑧ 既加入の死亡保険金
  5. ⑨ その他収入

これらの支出と収入をざっと試算し、差額を確認します。ちなみに、この試算に大きく影響を及ぼす可能性があるのは、教育費と住居費です。教育費はお子様の進路によって約1千万円~2千万円くらいの幅がありますが、お子様がこれから、あるいは幼少の場合は、念のため高めで見積もっておくほうが安心です。

また、住居費はマイホームか賃貸かで大きく異なります。というのは、マイホームであれば住宅ローン返済中に契約者が万一の場合にも、住宅ローン設定時に加入する団体信用生命保険で残債を相殺してもらえるので、ローンを無くして遺族に自宅を遺すことができます※。しかし、賃貸であればその後もずっと家賃はかかります。今は賃貸でも、将来持ち家をとお考えでしたら、どちらのケースも試算しておきましょう。
(※なお、住宅ローンは無くなりますが、固定資産税、管理費・修繕積立金などの維持費は引き続きかかります)

3.稼ぐ夫よりも稼ぐ妻に万一のほうがリスクは大きい場合も。

ところで、今回のご質問はご主人様の保障を大きくする必要があるかとのことでしたね。そのためにはご主人様が万一の際の必要保障額を試算していただく必要がありますが、同時に有紀さんが万一の際の必要保障額も試算してください。

先ほど「遺族の収入」に公的遺族年金が含まれていました。公的遺族年金は、夫を亡くした妻には比較的手厚いのですが、妻を亡くした夫にはあまり期待できるものではないのです。お子様が生まれたその後有紀さんが亡くなったと仮定してお話します。

遺族基礎年金の場合、受給資格は「子のある配偶者、または子」となっています。この場合の子とは18歳年度末までの間にある子です。該当する子がいれば配偶者と子は遺族基礎年金の受給権が発生し、子が18歳年度末になるまで受け取れます。

ところが遺族厚生年金の場合、妻が亡くなった時に夫が55歳以上でないと受給権が発生しません。現時点では有紀さんのご主人様は受給権がないということです。配偶者に受給権がないので、子に受給権が発生します。ただしこちらも18歳年度末になるまでとなります。

このように稼ぐ妻が万一の際は、場合によっては夫が万一の際よりも必要保障額が大きくなることもあるのです。そのことを念頭に置き、ご夫婦両方のケースで必要保障額を試算しておきましょう。

まだご出産までは時間があります。しっかり試算した上で必要な保障を確保しましょう。なお当初試算必要保障額も、お子様の成長にしたがって減少していきます。加入したらしっぱなしではなく、ライフプランの変化に合わせ見直しをしてくださいね。


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