クラウドソーシングの業務受託やフリマ、ポイ活から得る副業収入にも税金がかかるのでしょうか?


今回、回答いただく先生は…
井上 信一先生(いのうえ しんいち) プロフィール
  • 支障がないのであれば、本業以外に副業収入を持つことは大いにお勧めです
  • 収入があるからといって必ずしも税金がかかる訳ではありません
  • むしろ、確定申告をおこなうメリットも知っておきましょう

  宮下 冬香さん(28歳 仮名)のご相談

私は会社員ですが、勤めている会社の業績低迷で残業がなくなり給与も減ったので副業を始めています。といっても、登録しているクラウドソーシング提供サイトで簡単な文字おこしや資料作成を請け負ったり、ネットのオークションやフリマで自分の衣類やアクセサリー等を売ったり、ポイントサイトでポイ活をする程度です。
先行きが不安なので、今後は動画配信サイトやブログ等でのアフィリエイトなども考えていますが、お給料以外に収入があると税金がかかると聞いて驚いています。今まで確定申告などしたこともないのですが、私のような場合でも税金がかかってしまうのでしょうか?
また、ネットショッピングやスマホ決済で獲得したポイントの総額なんて把握していないのですが、これにも税金がかかるのか心配です。これまで税金のことは考えたことがなかったので教えてください。

宮下 冬香さん(仮名)のプロフィール

現在の収入概算
勤務先からの給与 年収280万円
WEB上のライティング作業 月1~2万円(不定期)
フリマアプリでの不用品の販売 月5,000円~1万円(不定期)
ポイントサイトでの各サービス利用による
ポイント収集
※獲得ポイント→換金による概算額
月1,000円~5,000円(不定期)

必ずしも税金がかかるとは限りませんが未納だけは避けねばなりません!
副業を第2の収入の柱として育てるためにも、収入でなく所得を意識しましょう

宮下さん、ご相談ありがとうございます。
最近では、ギグワークやクラウドソーシングといったワードをよく耳にするようになりました。運動不足の解消も兼ねられるデリバリーや、隙間時間に委託を受けネット上で完結できる役務提供のほか、趣味や日常生活の延長にあるような、実に多様な副業が可能です。就社やパート・アルバイトといった従来型の雇用や起業よりも手軽に始められますね。これからの時代、多様でかつ多角的な働き方による収入源を持つことはとっても大切です。会社員の方でも、本業に影響せず、勤め先の就業規則等に抵触しないのであれば、大いにお勧めしています。
でも、気になるのは「納税の義務」、税金の話ですよね。未納によるペナルティは小さくはありません。収入のありようも多様化してグレーな部分も多いですが、モヤモヤはできるだけ解消しましょう。

個人の収入に関係する税金は3つある

まずはザックリとした話から。
私たちがお金や財産を「収入」として得ると、基本的に税金が関わります。税金にはいくつか種類がありますが、私たち個人の収入に関わるのは大きく3つ。まず、ご存命の個人の方からお金や財産を無対価で貰ったら「贈与税」が、個人の方が亡くなったことで受け取ったものは「相続税」という税金が、それ以外の理由で得たものは「所得税・住民税」という税金の対象となります。
よって、個人から役務等の対価として受け取るお金や、理由を問わず法人から受け取るお金や財産「所得税・住民税」の対象というわけです。
これとは別に、お金を払ってモノを購入したりサービスを受けたりする際、一部の例外品を除きかかる税金が、「消費税」です。

すべての収入に税金がかかる訳ではない

ここで、ポイントになるのは、実際に納税しなければならない税金が生じるのか否かということ。
宮下さんからのご相談の副業収入は所得税・住民税に関係しますが、そもそもそれが非課税扱いであれば税金の心配はありません。また、非課税ではなくても課税所得が一定額以上でなければ税金は生じません。このあたりがポイントになりますね。

以下の場合には税金は不要です。

  1. ① 得たお金や財産が非課税扱いの場合
  2. ② 課税対象額が結果的に一定額以下である場合

贈与税も相続税も所得税・住民税も、得たお金や財産が社会通念上、例外的に非課税扱いと認められているものがあります。これに該当するなら、基本的には金額に関係なく税金の心配はありません。
次に、実際に受け取った「収入」から、一定の「控除額」が認められています。これを差し引いた「課税対象額」が一定額以下であれば、結果的に税金は生じません。
さらに所得税・住民税では、『「収入」ではなくそこから「経費」を差し引いた「所得」』から「控除額」を差し引くので、「所得(収入-経費)-控除額」の結果である「課税所得」が0円、または後述する一定額以下なら税金は生じません

フリマやポイントによる収入には注意が必要

では、それぞれの副業ではどうなのでしょうか。以下で一覧にまとめてみましたが、注意が必要なものもあり、ひとつずつ詳しく確認しましょう。

ギグワーク・クラウドソーシング 所得税・住民税の対象
フリマアプリでの不用品の販売 原則非課税
※所得税・住民税の対象となる場合もあり
ポイントサイトでのポイント活動(ポイ活)によるポイント収集 所得税・住民税の対象となる場合がある
ネットショッピング・スマホ決済で獲得したポイント 原則非課税
アフィリエイト 所得税・住民税の対象

まず、WEBライティング等のクラウドソーシングの業務受託やギグワークは、労働の対価として個人や企業から受け取る収入なので所得税・住民税の対象です。Youtube等の動画配信サイトやブログサイト等から広告収入等として受けるアフィリエイトも同様。これらは非課税所得とはなりません。働いて報酬を得るのですから納得がいくのではないでしょうか。

次に、オークションやフリマ(フリーマーケットの略)で販売して得る収入も、基本的には所得税・住民税の対象にはなるのですが、個人の税金について定めている所得税法において、次のように規定されています。

  • 生活に通常必要な動産(家具、じゆう器、衣服など)で政令により定めるものの譲渡による所得は非課税
    (所得税法第9条第1項第9号より意訳)
  • 譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲から、1個又は1組の価額が30万円を超える貴金属や美術品、書画、骨董などは除く
    (所得税施行令第25条)

つまり、宮下さんの場合、不要となった生活用品を売っているので非課税に該当すると思われます。
ただし、ここでいう生活に通常必要な動産に含まれないと考えられるものもあります。例えば、主に趣味、娯楽、保養目的で所有するもの等がこれに該当します(所得税法施行令第178条)。具体的にどういうものが当てはまるのかは法律に明記されていませんが、コレクター品やプレミア品、楽器等のほか、高価な腕時計や高級車など趣味・娯楽性の高いものは判例によって扱いが様々なので、気になる場合は税務署に相談すると良いでしょう。また、フリマやオークションであっても利益を狙って継続的に行う転売行為などや、ハンドメイドの品を販売する場合は税金の対象になるとされています。
今後は何を売るのか、どういう経緯でそれを売るのか、によっては所得税・住民税の対象となるケースもあると思っておくと良いですね。

最後にポイントサイトやキャッシュレス決済等で得たポイントはどうでしょうか。
こちらも明確に規定している法律はないので悩ましいのですが、獲得したポイントの性質によって変わってきそうです。近年、ポイントサービスは単なるスタンプラリーの域を出て一大経済圏を築いており、ポイントを現金や電子マネー・商品券等に交換できるものが殆どです。つまり、ポイントを受け取る方が享受できる経済的利益は無視できなくなっていて、国も真剣に法律の整備を検討している段階にあるようなのです。
現時点では、ポイントを獲得してもそれをポイントとして保有している段階では税金の対象にはならないと解釈されています。また、キャッシュレス決済で得るポイントバックは経済的利益のうち非課税とされる「値引き」に近いため、やはり税金の対象にはならないと考えられます。
ですが、ポイントサイト等でアンケート等に答えたり商品レビューを書いたりした対価としてゲットしたポイントは、それを現金や商品券等に交換するタイミングで所得税・住民税の対象となると考えておくと無難です。

最初に述べたとおり、私たちがお金や財産を受け取ると基本的には税金の対象になり得ます。実は企業の株主が商品券・割引券・サービス等として受け取る株主優待も、配当のような金銭ではありませんが、経済的利益のあるものとして所得税・住民税の対象になります。こう考えると、ポイントも似たような位置づけと納得できますね。

所得が一定額以下なら確定申告は不要、税金もかからない

これまで確認してきたように、宮下さんの場合、WEBライティングでの収入とポイ活で換金した収入のほか、将来的にアフィリエイトで得る収入は、所得税・住民税の対象となります。
ですが、次の①または②に該当する場合は、基本的に所得税については税金がかからず、確定申告も不要です。

  1. ① 給与所得のある方で、給与所得と退職所得以外の「所得の合計」が年間20万円以下の場合
    ※住民税の申告は必要
    ※主たる給与収入が2,000万円超の場合などは申告が必要
  2. ②フリーランスや個人事業等(給与所得はない)の方で、年間の「所得の合計」が48万円以下の場合
    ※住民税の場合は45万円以下の場合

会社員の方は、基本的にお勤め先が年末調整で納税までを代行してくれますので、手続きの煩雑化を避けるために少額の所得であれば課税を不問にしてくれます。一方、フリーランスや個人事業等の方は自身で確定申告が必要なのですが、「基礎控除」という所得のある全ての方に認められている控除額の最低額が48万円(住民税は45万円)なので、「所得-控除額=0円以下」となる場合は申告する必要がないというわけです。
宮下さんの場合、上記①のとおり、副業による所得が20万円以下でも住民税は申告が必要なので注意してください。また、クラウドソーシングのマッチング企業によっては収入から既に所得税が源泉徴収されている可能性があります。確定申告はひと手間かかりますが、怖いものではなく、むしろ取られ過ぎていた税金を取り戻せる場合もありますし、最近ではスマホからの申請もできるなど手軽になってきました。ポイント収入については大きな法改正がない限りナーバスになる必要はないと思われますが、副業生活の助走として、一度、申告手続きを試されてはいかがでしょうか。

4つのうちどの所得に当てはまるのかで収入が同じでも税金が異なる

税金の仕組みは複雑です。なので、このしくみをもう一度簡略した概算式で整理しましょう。


ただし、所得税ではその収入が生じた理由によって10種類の所得に分類されます。
ごく単純に振り分けると、副業収入で税金の対象となるのは、以下の4つのいずれかに当てはまります。

所得 収入を得る理由の概要 副業収入で想定されるケース
譲渡所得 税金の対象となる資産を売却した場合
※不動産等・上場株式等・その他資産等に3区分し、各々で税金の計算の取り扱いが異なる
非課税対象に当てはまらない動産をフリマ等で一時的に販売した時の収入
継続的に行っている場合は事業所得か雑所得
一時所得 非継続的かつ非対価的な収入を得た場合
法人から受け取った経済的利益など
※保険料を自分で負担した満期一時金・解約返戻金、懸賞金、競馬の当選金など(宝くじの当選金は非課税)
※労働等の対価や営利目的である場合は対象外
労働によるものでなく、ポイ活におけるポイント進呈のキャンペーンに当選するなど、一時的・偶発的に入る収入
事業所得 継続的に事業を営むための行動で得た場合
客観的に事業的規模と判断される場合
税務署へ主たる業務内容に関する開業届の申請等をした上で行う副業収入
事業として承認されることにより確定申告で各種税制上の恩恵を受けられるもの
雑所得 上記以外 譲渡所得・一時所得に該当しない収入のうち、事業所得として申告しない場合の副業収入

副業収入は、上記の4つの所得のうち、「雑所得」に該当するケースが殆どです。
「雑所得」は、これに係る収入を得るために費やした「経費」を任意で収入から差し引くことができるので、単純に「売上(収入)=所得」とはならず、また、確定申告の際の手続きも比較的簡単です。

次に、こうした収入について事業的に継続性をもって行っていたり事業的規模で収入を得ようとしたりする場合で、安定した事業として認識される時は「事業所得」となります。事業所得では事前の届出や確定申告の際の添付資料が増える等の手間はかさみますが、当年度の事業所得の赤字を他の所得と相殺したり、一定要件を満たせば次年度以降3年間の事業所得の黒字と繰り越して相殺させたりすることも可能です。また、雑所得よりも認められる「経費」の幅が広く、事業所得ならではの「控除額」もあります。「雑所得」との区別は曖昧ですが、「事業所得」として確定申告する場合は、面倒な分だけ恩恵も大きいといえます。

副業の場合、残りの譲渡所得や一時所得に当てはまるケースは少ないと思われます。

確定申告や税金に関わってくるのは収入ではなく、「収入からコストを引いた所得」です。税金を考えるということはご自身の本当の儲け(所得)を知るということ。副業による収入を頼れる2本目の収入の柱としてしっかり意識できるきっかけになるかもしれませんね。


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