離れて暮らす父が入院する予定です。介護離職も頭をよぎります。


今回、回答いただく先生は…
森田 和子先生(もりた かずこ) プロフィール
  • 介護をサポートする制度があります。
  • 雇用保険に入っていれば介護で休んだ場合の給付金制度があります。
  • 一人で抱え込まず、勤務先、病院、自治体で相談を

  竹本 大さん(仮名 41歳 会社員)のご相談

離れて暮らす父が手術を受けることになりました。一月くらいの入院が必要なようで、退院した後も心配です。既に母は他界しています。近くの親戚も高齢で、日常の世話を頼める人がいません。介護が必要になれば、実家に帰ることになると思います。介護離職になるかもしれないので、生活していけるか不安です。

竹本 大さん(仮名)のプロフィール

家族構成 竹本 大さん 41歳 会社員 独身
父 80歳

離職せずに介護できる方法を探しましょう。現役世代の介護をサポートする制度もあります。

こんにちは、竹本さん。大変な状況でご心配のことと思います。でも、介護で離職を考えるのはまだ早いです。今は介護離職を防ぐための法律もあり、介護する人をサポートする給付金の制度もあります。離職せずに介護する方法から検討していきましょう。

介護をサポートする制度があります

現役世代が減少する日本では、介護離職が社会問題でもあり、それを防ぐために介護をサポートする法律や制度が整えられてきています。育児・介護休業法では、介護をする従業員が仕事と両立できるように、事業者には介護休暇や短時間勤務といった以下の制度を整えることが定められています。

育児・介護休業法により定められた制度
介護休業 介護をする家族1人につき3回まで、通算93日まで介護のために仕事を休める制度
短時間勤務制度等の措置 短時間勤務などができる制度
介護休暇制度 介護をする家族1人につき年5日まで(2人以上は10日まで)、介護の必要がある日について仕事を休める制度
法定時間外労働の制限 残業時間に一定の制限を設ける制度
深夜業の制限 深夜(午後10時~午前5時)の就労を制限する制度
転勤の配慮 家族の介護をする従業員の転勤に一定の配慮を求める制度
不利益取扱いの禁止 上記の制度を利用した従業員への不利益な取扱いを禁じる制度

勤務先の福利厚生制度を確認して、上司にも相談しましょう。相談するのをためらう気持ちがあるかもしれません。でも、休業などを申し出た人を不利に扱うことは禁じられています。離職ではなく、これらの制度を使いながら仕事を続けることを考えてみましょう。

介護で休んだ場合の給付金について

竹本さんは勤務先を通して雇用保険に加入しています。雇用保険は失業した時などのために備えるものですが、加入している人が介護のために休業した場合には、介護休業給付金が支給されます。介護が必要な家族一人につき、3回まで、通算93日まで利用できます介護休業1日あたりの金額は、「賞与を除く介護休業開始前6か月間の総支給額÷180」の67%です。厚生労働省から目安の金額が示されており、収入が平均して月額30万円程度の場合、給付金は月額20.1万円程度になります。休みが長くなれば収入面が心配ですから、給付金があれば助かりますね。

介護休業給付金
対象になる介護休業 2週間以上、常時介護を必要とする配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、配偶者の父母を介護するための休業
対象者 介護休業を開始する前の2年間に雇用保険の被保険者期間が12ヵ月以上ある人※1
支給対象日 介護休業開始3ヵ月を経過するまでに、介護する家族一人につき3回が限度。通算93日まで
支給額 休業開始時賃金日額※2 × 支給日数 × 67%
  • ※1 疾病等がある場合、受給要件が緩和されます。契約期間の定めのある場合、別途要件があります。
  • ※2 賞与を除く介護休業開始前6か月間の総支給額÷180。

勤務先、病院、自治体で相談を

介護休業給付金の手続きは、事業主を通して行います。他の制度を利用するためにも、勤務先には早めに相談しておきましょう。
また、お父様が入院する病院の相談窓口を確認しましょう。医療ソーシャルワーカーがいると心強いですね。在宅復帰へ向けた支援や、転院先、施設など紹介、患者や家族の相談にも対応してくれます。
病院に医療ソーシャルワーカーがいない場合には、地域包括支援センターが頼りになります。自治体の窓口で相談しても最寄りのセンターを紹介してくれます。

大変な状況でご心配のことと思います。でも、介護=離職と考えなくてもよいのではないでしょうか。もしも介護が長期となった場合には、なおさら、竹本さんに安定した収入がある方が安心して生活できるのではないでしょうか。今は介護をする人をサポートするさまざまな制度があります。離職せずに介護する方法から検討していきましょう。
多くの専門家が言うことですが、介護を一人で抱え込んではいけません。周囲の人に相談し、利用できる制度を利用して、竹本さんご自身の生活も大切にしながら乗り切ってください。

参考(2022年9月1日時点):厚生労働省「Q&A~介護休業給付~」


今は元気な親。でも将来介護が必要になったらどれくらい費用がかかるのか心配です。
遠方で暮らす祖母に市民後見制度を活用したいと思っています。しかし、しくみがよくわからず不安があります。
認知症の父のために高齢者施設入居を検討しています。 費用はどのように考えればよいでしょうか。

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