パートの勤務先で、「10月から社会保険に加入することになる」と言われました。


今回、回答いただく先生は…
村井 英一先生(むらい えいいち) プロフィール
  • 労働者101~500人の会社では、10月に社会保険の対象者が広がります。
  • 社会保険に加入すると、健康保険料と厚生年金保険料が毎月引かれます。
  • 税金における「扶養」と社会保険における「扶養」は異なります。

  田中 彩さん(仮名 31歳 パート主婦)のご相談

主人の扶養の範囲内で、パートで働いていました。突然、上司から「10月から社会保険に加入することになる」と言われました。社会保険に加入する場合と、勤務時間を減らして社会保険に入らない場合と、どちらがお得なのでしょうか?

田中 彩さん(仮名)のプロフィール

家族構成
家族 年間収入
ご相談者 田中 彩さん 31歳(パート主婦)
家族 夫 33歳(会社員) 350万円
長女 2歳
貯蓄額 280万円
ご相談者のパート収入 時給1,000円、週25時間勤務

社会保険の対象以下に勤務時間を減らしても、手取りは変わりません。しかし老後までのことを考えると、社会保険に加入することをお勧めします。

1.週20時間以上、月収88,000円以上の人はパートでも対象になります

「会社勤めの正社員は社会保険に加入、パート社員は未加入」と思っている人は多いのですが、実際は労働時間などによってはパートでも社会保険への加入が義務付けられています。原則は正社員の労働時間の3/4以上(おおむね週30時間)であれば、パート社員でも勤務先の社会保険に加入することになります。
社会保険とは、健康保険と厚生年金保険です。国は社会保険が適用される範囲を広げようとしており、労働者501人以上の企業については、週20時間以上勤務する労働者であれば、社会保険の対象とするようにしました(学生でないこと、月収88,000円以上であることなど、いくつかの条件あり)。

今年の10月からはこの対象となる企業の基準が引き下げられ、労働者101人以上の企業が対象になります。2024年の10月からは労働者51人以上の企業も対象になります。田中様のお勤め先は、今回から対象となったのですね。
社会保険に加入しないようにするには、勤務時間を減らすことになります。週20時間未満であれば、対象ではありません。また、月収88,000円未満も対象外となります。田中様の時給だと、週22時間未満としなければなりません。

2.お二人目のお子さんを考えているなら、社会保険に加入した方がよいでしょう

では、勤務時間を減らさずに社会保険に加入した方がよいのか、勤務時間を減らしても加入しない方がよいのか、考えてみましょう。
まず、社会保険に加入すると、健康保険料と厚生年金保険料がかかり、給料から引かれます。勤務先によっても異なりますが、田中様の場合、健康保険料はおおむね4,800円程度です。厚生年金保険料は、9,150円程度です。今までは、ご主人様の扶養ということで、どちらもかかっていませんでした。給料が同じでも、手取り額は14,000円程度も下がってしまうことになります。勤務時間を社会保険の対象外となるまで減らしても、その時の給料は社会保険料を払ったときの手取り額(約86,000円)とあまり変わらない、ということになるでしょう。

では、社会保険に加入する場合のメリットを見てみましょう。まず健康保険に加入すると、出産手当金と傷病手当金の対象になります。出産手当金は、産前産後の休業をしていた期間に、支給されるもので、月給のおおよそ2/3の金額です。その後、子どもが1歳になるまでの間、休業していた場合に半額から2/3給付される育児休業給付金は、雇用保険から支給されます。雇用保険はどの企業でも週20時間以上の労働者が対象で、田中さんはすでに加入されています。
老後には、老齢基礎年金(国民年金に相当)に加えて、老齢厚生年金がもらえます。今から60歳まで現在のパート勤務を続けたとすると、年額で19万円ぐらいになります。(年金額はたびたび変わります。あくまで今の条件での試算です。)
お二人目のお子さんを考えておられるようでしたら、出産手当金がある社会保険に加入した方がお得です。それが必要ない場合も、老後までのことを考えたら、加入した方がお得といえるでしょう。引かれた社会保険料は、老後への貯蓄をしていると考えられます。さらに、障害年金や遺族年金でも厚生年金の方が、支給の対象が広いというメリットもあります。

3.ご主人様の配偶者特別控除は変わりありません

〝扶養〟ということでは、税金面の扶養も確認しておきましょう。配偶者を扶養していると、「配偶者控除」または「配偶者特別控除」が適用され、税金が少し安くなります。
収入がパート収入だけの場合、年収103万円以下であれば、ご主人様に配偶者控除が適用されます。パート年収がこれを超えても188万円までであれば、配偶者特別控除が適用されます。田中様の場合は、配偶者特別控除がご主人様に適用されています。そのために、ご主人様の税金は、所得税と住民税を合わせて、7万円程度安くなっていると思われます。
配偶者の収入が増えると、配偶者特別控除の金額は徐々に減少していきますが、188万円までは適用が続きます。

社会保障の面と税金の面で、複雑に制度が定められていますので、損得の計算は一筋縄にはいきません。これからの働き方をどうするか、という問題にも絡んできます。それでも老後のことまでを考えると、社会保険に加入することをお勧めいたします。


iDeCoのルールが変更になったそうですが、パート主婦の私にも関係あるのでしょうか。
夫の扶養から外れると、もしもの場合に遺族年金を受け取れなくなりますか?
ライフプランが大切なのはわかりますが、どこか漠然としていて「いま何をしたらよいか」がわかりません

[PR]生命保険の相談なら「ほけんの窓口」

保険のこと、やっぱりプロに相談してよかった!あなたに合った保険を無料でアドバイス! ほけんの窓口 生命保険の無料相談はこちら 保険のこと、やっぱりプロに相談してよかった!あなたに合った保険を無料でアドバイス! ほけんの窓口 生命保険の無料相談はこちら