目次
森田 和子先生(もりた かずこ) プロフィール |
|
松山 宏さん(仮名 49歳 会社員)のご相談
二男が大学受験です。長男もまだ大学生で家計が苦しく、入学金を出すのが厳しいので教育ローンを150万円利用するつもりです。調べてみると、ボーナス併用や、最初は利息だけの返済方法もあるようで、どれを選ぶべきか迷います。返済期間も自分で設定できるようなのでアドバイスをお願いします。
松山 宏さん(仮名)のプロフィール
|
長男が大学卒業するまでの2年間は、利息のみ返済する方法を選べば教育費と合わせた負担を抑えることができます。
こんにちは、松山さん。ご相談ありがとうございます。大学生が2人とのことですから、教育費の負担が最も重い時期だと思います。ここで無理をせず、最初は利息のみを返済する方法を選んではいかがでしょうか。給与が減額される60歳までに返済が終れば、その後の家計にゆとりが生まれます。
支払う金利が最も少ないのは低金利で短期間
使いみちが教育費に限られる教育ローンは、他のローンに比べて金利が低く設定されているので、受験生の親にとっては頼りになるローンです。ボーナス月増額返済や、在学中は利息のみ返済ができるなど、複数の返済方法から選べるので、どのように返済するべきか迷ってしまいますね。整理して考えてみましょう。
ローンでは基本的に、借り入れ金額が多いほど、金利が高いほど、返済期間が長いほど、支払う利息は多くなります。つまり、同じ金額を借りるのであれば、低い金利で、短い返済期間で借りると利息が少なくなるので有利です。ただし、教育ローンにも固定金利と変動金利があり、固定金利では返済額が同じままですが、変動金利では金利が上がれば返済額が増え、下がれば返済額は減ります。また、在学中に利息のみの返済を選んだ場合は、その間に借り入れた元金の返済は行われません。利息のみ返済期間が終った後から元金の返済が始まります。
借入金額150万円、固定金利1.95%、返済期間10年で、国の教育ローンを利用する例で考えてみましょう。在学中の4年間は利息のみ返済する場合と、利息のみ返済を利用しない場合では、利用しない場合の方が、総返済額は56,700円少なくなります。また、国の教育ローンでは、連帯保証人ではなく保証機関を利用する場合には、融資金額から保証料が差し引かれますが、この保証料についても利息のみ返済期間を利用しない方が18,476円少なくなります。どちらも、利息のみ返済期間を利用しない方が負担は少なく済みます。なお、ボーナス月返済増額を利用すると、総返済額が同じか数百円程度少なくなるので、ほぼ同じと言えます。勤務先のボーナスが安定して支払われ、家計をやりくりしやすいのであれば、検討してもよいでしょう。
教育ローン150万円の返済例(借入額150万円、金利1.95%、返済期間10年)
毎月返済額 | 13,900円 |
---|---|
総返済額 | 1,650,900円 |
保証料 | 46,192円 |
毎月返済額 | 在学中4年間(利息のみ) | 2,500円 |
---|---|---|
卒業後6年間 | 22,100円 | |
総返済額 | 1,707,600円 | |
保証料 | 64,668円 |
日本政策金融公庫「教育ローン用 返済シミュレーション」にて試算
参照(2023年1月23日時点):日本政策金融公庫 教育ローン用 返済シミュレーション
ライフプランを考えれば利息のみ返済期間にもメリットがある
利息のみ返済期間を使わずに、返済期間を短くするほど教育ローンをお得に利用することができますが、家計が厳しい中で大学生が2人になり、ローンも返済していくのは難しいかもしれません。奨学金とアルバイトで不足する分は松山さんが負担するとのことですから、少なくとも長男が大学を卒業するまでの間は教育ローンの返済額も減らしておきたいところです。そこで、長男が卒業するまでの最初の2年間は利息のみ返済する方法を利用してはいかがでしょうか。返済期間を10年にすれば、松山さんが59歳の時に返済が終了します。教育ローンでも繰上げ返済をすることができるので、2人のお子様が独立した後で、可能であれば利用するのもよいですね。勤務先の制度では60歳から給与が減額になるとのことですが、その前にローンの返済を終えることで家計にゆとりが持てるのではないでしょうか。
毎月返済額 | 在学中2年間(利息のみ) | 2,500円 |
---|---|---|
長男卒業後8年間 | 16,900円 | |
総返済額 | 1,679,800円 | |
保証料 | 55,430円 |
自治体や大学の制度は入学後も定期的に確認を
入学前後には奨学金や教育ローンについて調べると思いますが、その後も定期的に情報をチェックしましょう。在学中でも、大学や自治体で新しい奨学金や支援制度が開始されることがあります。例えば、自治体の中には、国の教育ローンの利子を補給する制度を持つところもあります。国の教育ローンを利用する人に対し、子供が在学中、自治体が利子分を支給してくれます。現在のところ松山さんのお住まいの自治体では実施されていないようですが、お子様の在学中に制度が設けられるかもしれません。お住まいの自治体やお子様の通う大学で利用できる制度があるかを時々チェックするようにしてください。
子どもの大学進学で貯蓄がほとんど残っていません。急な出費が不安です。
長女が推薦入試に合格したら11月に入学金が必要です。来年1月満期の学資保険は解約するしかないのでしょうか。
子供の教育費を貯める自信がありません。 もしも奨学金を使った場合、返済していけるでしょうか?