小学校入学を機に、子どもにおこづかいを渡すべきか迷っています。何歳から、どのようなやり方ではじめるのがおすすめでしょうか。


今回、回答いただく先生は…
髙柳 万里先生(たかやなぎ まり) プロフィール
  • 18歳成年の前に基本的な金融リテラシーを身につけることが必要です。
  • 子どもの個性に応じた方法が見つかるまで試行錯誤しましょう。
  • 日常生活の中にこそ、お金の学びや気づきがあります。

  高橋 めぐみさん(仮名 39歳 会社員)のご相談

4月から子どもが小学生となるため、そろそろおこづかいを渡したほうがよいのか迷っています。コロナ禍もあり、すっかりキャッシュレスに慣れてしまい、日頃、現金で支払う場面を子どもが目にする機会がほとんどありません。そのためか、どうもお金を支払っているという感覚が理解できていないようです。せっかく渡してもすぐに無駄遣いしそうですし、ゲームの課金トラブル等も心配です。何歳から、何円くらいで始めるのが良いのか、アドバイスをお願いします。

高橋 めぐみさん(仮名)のプロフィール

家族構成
ご本人(39歳)会社員
夫(41歳)会社員
長男(6歳)4月より小学1年生
次男(3歳)保育園

お金に興味を持ち始めたら始め時!子どもが管理しやすい金額からスタートし、子どもの成長段階や個性を見極めながら柔軟に改定しましょう。

お金に対するイメージの世代間ギャップ

高橋さん、こんにちは。ご長男の小学校入学、誠におめでとうございます。子どもの成長は何より喜ばしい事ですね。

おこづかいについて、無駄遣いしてしまうのではないか、きちんと管理できるか等ご心配なお気持ちはよく理解できますが、その上で最初にお伝えしたいことがあります。それは、親世代と子世代では『お金』に対するイメージが大きく異なるということです。

数年前から「おつりって何?」という子どもたちが増えていることをご存知でしょうか。親世代からしたら「おつりを知らないなんて!」と戸惑ってしまうところですが、急速なキャッシュレス化により、現金決済の様子を見る機会が減少したことによるものです。子どもたちが『お金』と聞いて思い浮かべるのは、いわゆる100円玉等の硬貨や紙幣などの『現金』ではなく、クレジットカードやプリペイドカード、スマホをレジにかざす場面となっているようです。レジではレシートが出てくるだけなので、おつりを目にすることはありませんし、高橋さんのおっしゃる通り、「お金を支払っている」感覚が理解できないのも無理はありません。そのため、小学生のうちはあえて現金を使う機会を設けることで、「お金は使えば減る」ことを体感させることが必要なのではと思います。

子ども自身にお金を使わせることには様々なご心配もあると思いますが、知識や経験が少ないと、将来お金のトラブルに巻き込まれる可能性が高くなります。

小中高校生によくあるお金のトラブル

「無断で親のクレジットカード情報を入力してオンラインゲームで課金し、高額請求が来た」「子どもが誤ってアダルトサイトにアクセスし、会員登録解除料等の名目で請求された費用を支払ってしまった」等の事例は高橋さんも耳にしたことがあるのではと思います。子ども自身はスマートフォンを触っているだけで実際にお金を使っているという認識が浅いようです。
国民生活センターの発表では、スマホの普及によりネットやSNSを通じてお金のトラブルにあう子どもたちの相談事例が増えています。お金のトラブルにあった場合、未成年であれば「未成年者取消権」という、保護者が契約を取り消すことができるしくみがありますが、成年になると保護の対象外となります。2022年4月以降は18歳成年となりましたので、18歳になるとクレジットカードやスマホ、賃貸契約等に保護者の承認が不要となりました。まだお金の知識や経験の浅い新成年は、詐欺の絶好のターゲットとなり、お金のトラブルに巻き込まれやすいため、成年となる前に基本的な金融リテラシーを身につけておく必要があります。

おこづかいの実践例

将来上手にお金を使うことができるようになるための「家計管理の練習」と目的を明確にしておこづかいを始めることが重要です。その為にはただお金を渡して終わりではなく、親が適度に見守りつつサポートする必要があります。
一般的には、小学校入学を機におこづかいを渡し始めるご家庭が多いようですが、お金に興味を持ち始める保育園や幼稚園の年長さん頃も、金銭教育に向き合う良いタイミングになります。年齢が上がれば段階的におこづかい額を引き上げる必要も出てきますので、まずは家計に無理のない金額で設定しましょう。
おこづかいの渡し方については3種類あります。

①報酬制(おだちん制)
「洗濯物たたみ〇円、お風呂掃除〇円」等、お手伝いの働きに応じて渡す方法。
②定額制(お給料制)
一週間や一か月単位など、一定期間に一定の金額を渡す方法。
③ミックス制(報酬制と定額制を合わせた方法)
会社員でいう基本給と歩合給を組み合わせた方法。

兄弟姉妹でも、一人ひとり性格や成長段階が違いますので、それぞれの子どもに適した方法をご家庭で話し合ってみてください。
また、おこづかいを管理するときに、お金を目的別に3つに分ける方法があります。例えば「自分の為に使うお金」「人の為に使うお金」「いざというときのお金(貯金)」という目的別に分けて子ども自身に管理させることで、一部を貯金しておくことや、気持ちよく人の為にお金を使うこと(親しい人への誕生日プレゼントなど)といった用途に応じたお金の使い方が、徐々に身についてきます。
ちなみに我が家では、長男が小学一年生の時から毎月おこづかいとして100円玉を9枚(900円)渡し、3つのガラス瓶に300円ずつ分けて管理させていました。硬貨を入れたら増える、使ったら減ることが一目瞭然ですので、参考にして頂けたらと思います。そして子どもが実際におこづかいを使う場面では、親はなるべく時間と気持ちにゆとりをもち、その商品やサービスが本当に欲しいのか、予算内に収まるか等を子ども自身でじっくり考えさせる時間を確保してあげましょう。「よく考えてから買う」習慣をつけることはとても大切です。

家庭の中での金銭教育

子どもたちをとりまく環境は急速に変化しており、各種電子マネー、モバイル決済等の新しいキャッシュレス決済が続々と登場しています。特に、『Buy Now,Pay Later』(=今買って、後で払う)の頭文字をとって『BNPL(ビーエヌピーエル)』は、海外の若い世代を中心に利用者が急増している決済方法のひとつです。一般的なクレジットカードの分割払いと違って与信の必要がなく、原則として未成年でも簡単に分割払いが可能となります。家計管理に慣れていないと支払い残高が膨らみ返済が滞るケースがあるため、注意が必要です。このように、新たな決済方法が続々と登場する傾向にありますので、親自身もお金の知識や情報をアップデートし続ける必要があります。

「金銭教育」と言うと難しそうなイメージがあるかもしれませんが、一緒にスーパーで値札を見ながら、なぜ同じ商品が店舗により値段が異なるのか、なぜ野菜や果物の値段が日々変動するのか、なぜ税込価格と税抜価格の2種類の表示があるのか等を子どもと話しあうことも「金銭教育」です。また、おつかいを頼んで予算内でやりくりする経験を積んだりすることは、子どもの金銭感覚を養うのに役立ちます。

親の金銭感覚は、子どもに多大な影響を与えます。親がどのような考えで、どのようにお金を使っているのかを、日頃から言葉に出して問いかけたり話し合うことで、子どもは消費者としての『生きる力』を日常生活の中で養うことができるようになります。また、消費者ホットライン188(いやや)」(最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等を案内する全国共通の3桁の電話番号)について教えておくなど、公的な相談窓口があることも伝えておきましょう。そして、困ったことや悩み事があれば、いつでも相談できる家庭の環境づくりも大切です。過度に失敗を責めたり心配しすぎると、子どもは親に相談しづらくなるので注意しましょう。

子どもとおこづかいの使い方やルールについて話し合うことは、必然的に親自身がどのようにお金と向き合っているのかを振り返ることになるため、きっと高橋さんご自身にも新たな気づきや学びがあるはずです。子どもが将来経済的に自立することは、親の今後のライフプランにも深く影響してくるところになります。ぜひ、おこづかいを通じて親子でコミュニケーションをとりながら、日常生活の中でお金のことを楽しく学ぶ習慣をつけてくださいね。


これから生まれてくる子に教育費はいくら貯めればよいでしょうか?公立と私立ではどれくらい違いますか?
子どもを授かりました。できるだけ長く育休を取得し、育児に専念したいのですが、その間の支出や減収が心配です。
高齢で授かった子ども。親としてできるだけのことはしてあげたいと思うのですが、教育費はどれくらいみておけば良いでしょうか。

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