自宅を購入しようかと思いますが、もう少し待った方がよいでしょうか?


今回、回答いただく先生は…
村井 英一先生(むらい えいいち) プロフィール
  • コロナ禍の影響で、都心部の方が地価は下がりました。
  • この流れが定着するかは、見方が分かれています。
  • ご家族の状況と今後の家計の見通しに基づいて購入時期を考えましょう。

  鈴木 慎吾さん(仮名 40歳 会社員)のご相談

そろそろ子供部屋が欲しくなり、自宅の購入を検討していますが、そのタイミングで悩んでいます。夫婦の勤務先の関係で都区内のマンション購入を考えていますが、リモートワークの広がりで、都心部はこれから地価が下がっていくのではないかと見ています。私はあと1~2年待った方が安く買えると思っています。ところが妻は「コロナ禍の今がチャンスだ」とばかりに焦っています。自宅購入のタイミングはいつ頃がよいでしょうか?

鈴木 慎吾さん(仮名)のプロフィール

家族構成
家族 年齢 年間収入
ご相談者 鈴木 慎吾さん 40歳(団体職員) 年収750万円
ご家族 38歳(公務員) 年収550万円
長女 10歳(小学生)
長男 8歳(小学生)
貯蓄額 1,200万円

家族の状況が求めていて家計の見通しが立った時が、ベストタイミングです。

1.コロナ禍での都心部からの人口流出が、地価に影響を与えた

鈴木様、こんにちは。ご自宅を購入するということではご夫婦の意見が一致しているものの、その時期をめぐって意見が分かれているのですね。
新型コロナ感染拡大防止のためのリモートワークの広がりを受けてか、東京を脱出して郊外や地方に移住する人が増えています。実際、昨年(2020年)の7月から東京の人口は減少に転じ、今年(2021年)2月には24年ぶりに対前年比で減少しました。
その影響は地価にも表れています。2021年1月1日時点での公示価格を見ると、住宅地は全国平均では対前年比で▲0.4%と若干の下落でした。それに対して東京、大阪、名古屋の三大都市圏は▲0.6%となっており、都心部ほど地価の下落が鮮明です。一方で都心からの移住が増えた軽井沢は10.0%の上昇となっています。

以前はなかなか浸透しなかったリモートワークですが、新型コロナの感染防止で多くの職場で実施されるようになりました。やむを得ずに導入したところでも、その後の慣れや工夫もあり、新型コロナの感染が収束した後でも多くの企業でリモートワークが定着しそうです。
すると勤務の頻度が少なく、あるいはほとんどなくなり、通勤を考慮して住まいを決める必要はなくなります。逆に自宅に仕事専用の部屋が必要になり、ある程度の間取りが欲しくなります。そのため、都心から離れた郊外、人によってはかなり離れた地方に移住する人も出てくるようになりました。

では都心部の人気がなくなったのかというと、そうでもありません。都心部のマンションの売買も活発です。けっして価格が下がったから、というわけではなく、やはり交通の便が良い都心の駅近くなどを選ぶ人も多いからです。リモートワークが増えたとはいっても、出勤が必要な人も多く、利便性が高い場所は依然として人気があります。住宅地は地価が下がったとはいっても、商業地の下落(全国平均▲0.8%)に比べると下落幅は小さく、一概に下落傾向にあるとは言えません。
昨年の地価動向では、今までと違う変化がありましたが、この流れが定着していくのかどうかは、業界でも見方が分かれます。長引く低金利と、住環境の見直しの必要性などで、自宅購入の意欲が高まっているとの見方もあります。そうなると都心や郊外に関わらず、住宅価格が上昇する可能性もあります。

2.自宅の購入を検討する理由を見直してみる

ところで鈴木様はご自宅を購入しようと検討している理由は何でしょうか?それを今一度振り返って考えてみてください。よく挙げられる理由としては、

  1. ① 子どもの成長やリモートワークなどで今の自宅が手狭になり、住み替えの必要が生じた。
  2. ② 仕事が安定して今後の収入の見込みが立ち、金利が低いので自宅を購入する環境が整った。
  3. ③ 不動産価格が下落している、あるいは今後上昇する見込みが強く、自宅を購入すると有利だと思った。

などがあります。

このうち、①は家族の状況による必要性です。②は資金計画の見込みです。そして③は不動産価格の見通しです。このうち、③の要素をはずして、①と②の要素だけで、自宅の購入の必要性について考えてみてはいかがでしょうか。
③は、不動産価格の今後の予想です。予想ですから当たることもあればはずれることもありますが、自宅という不動産は、株式や外貨などとは違います。安い時に購入すれば費用を抑えられますが、値上がり益を得るために購入するわけではありません。
①のように、家族の状況で自宅が欲しいと思った時、そして②のように購入しても支障がないと判断できた時が、購入のタイミングです。結果的に不動産価格の推移で見たらベストのタイミングでなかったとしても、①と②がそろった時が、ご家族にとってのベストタイミングです。
今一度、ご家族の状況と今後の家計の見通しを確認し、ご夫婦でお話をされてみてください。自ずと購入のタイミングが見えてくるはずです。


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