新しいNISA制度はどう変わる?これからNISAを始めるタイミングは?


今回、回答いただく先生は…
 
鈴木 暁子先生(すずき あきこ) プロフィール
  • 現行NISAと新しいNISAの違いを理解しておきましょう。
  • 新制度の開始にこだわらず、現行NISAを始めてみましょう。
  • 自分の投資スタイルを作っていきましょう。

  西野 亜紀さん(仮名 25歳 会社員)のご相談

社会人3年目でようやく貯蓄もできるようになってきたので、運用を始めたいと思っています。つみたてNISAを始めようと思ったところ、来年から新しい制度になるそうで、どのように変わるのかを知りたいです。
また、制度が新しくなるのであれば、始めるのは今ではなく新制度になってからのほうが良いでしょうか。

西野 亜紀さん(仮名)のプロフィール

家族構成
本人(25歳 会社員)

新しいNISAは使い勝手がよくなりそうです。基本的なラインナップも現行と同じですから勉強と思って早めに始めてはいかがでしょうか。

1.現行NISAと新しいNISAの違いを理解しておきましょう。

西野さん、こんにちは。貯蓄ができる余裕ができてきたので、投資をしていきたいとのこと。しっかり資産形成を考えていらっしゃいますね。つみたてNISAで始めようと思ったところ、NISA制度が2024年から変わるということで、始めるタイミングを計りかねているのですね。では、まず現行のNISA制度と新しいNISA制度の概要を理解しておきましょう。なお、西野さんは、ジュニアNISAの対象ではなく、また制度も2023年で終了となるため、ジュニアNISAについては割愛させていただきます。

【現行のNISAの概要】
つみたてNISA 一般NISA
利用者の条件 18歳以上
年間投資枠 年間40万円 年間120万円
非課税保有期間 最長20年 最長5年
対象金融商品 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託、ETFに限定 上場株式、公募株式投資信託、ETF、REIT等
その他 一つの口座で両方の併用は不可

(金融庁HPを基に筆者作成)

【新しいNISAの概要】
つみたて投資枠 成長投資枠
利用者の条件 18歳以上
年間投資枠 年間120万円 年間240万円
非課税保有期間 無期限化
非課税保有限度額
(総枠)
1,800万円(成長投資枠は1,200万円が上限)
枠の再利用が可
口座開設期間 恒久化
対象金融商品 長期・分散・積立に適した一定の投資信託(現行のつみたてNISA対象商品と同様) 上場株式、投資信託等
その他 一つの口座で2つの枠の併用も可

(金融庁HPを基に筆者作成)

現行のNISAは、一般NISAとつみたてNISAに分かれており、それぞれ売買することができる金融商品や、非課税保有期間が異なります。また1つの口座で両者を併用することはできません。さらに非課税投資枠や非課税期間も異なります。

これに対し新しいNISAでは、一つの口座に、現行の一般NISAに相当する「成長投資枠」と、現行のつみたてNISAに相当する「つみたて投資枠」があり、両者の併用も可能です。
また、新しいNISAでは非課税保有期間が恒久化となったことで、これまでは非課税期間の最終年を意識しないといけませんでしたが、その必要がなくなりました。さらに年間投資枠が現行の一般NISAでは最大600万円、つみたてNISAでは800万円だったものが、新しいNISAでは総額で1,800万円と拡大されました(成長投資枠は1,200万円が上限)。なお、従来のNISAでは非課税枠の再利用(売却することで枠に空きができた場合、その枠を再利用すること)ができませんでしたが、新しいNISAでは再利用も可能になりました(ただし年間投資枠の上限を超えて投資することはできない)。

このように、従来のNISAから要望されていたようなことが盛り込まれており、使い勝手が良くなったのではという印象を受けます。

2.現行のつみたてNISAでスタートしましょう。

来年から制度が変わるということで、西野さんは残り数ヶ月のために現行のつみたてNISAを始めるべきかどうか迷っていらっしゃるようですね。でも、これはもう現行のつみたてNISAから始めてかまいません。

現行のNISAで保有している資産を、新しいNISAに引き継ぐことはできません。ただし、新しいNISAの外枠で現行の非課税制度が適用されます。つまり、現行のNISAで積み上げた資産は、一般NISAであれば5年間、つみたてNISAであれば20年間非課税を適用してもらえるのです。今後積み上げていく新しいNISAでの資産以外に非課税で運用できるものがあるわけですから、たとえ数ヶ月分の積立であったとしてもやっておくことをお勧めします。

価格変動する金融商品は、今が安いと思って購入しても、本当に安かったのかどうかは、後になってみないとわかりません。ですから一番安いタイミングを狙って購入するというのは事実上不可能です。
たとえば、ある投資信託が1口1万円の時、今が一番安いと思って5万円購入すると5口買えます。その際の平均購入単価は1万円で確定します。しかし投資信託は価格変動しますから、その後、1口1万円以下となった場合は、損をしているという状態になってしまいます。
ところが、安いタイミングを追いかけることなく、たとえば毎月定期的に1万円ずつ5回に分けて購入(積立投資)した場合、表のように、価格が上がった時は少なく、下がった時は多く購入します。そして投資金額が同じ5万円にもかかわらず、5回に分けて購入したほうは、まとめて購入(一時金投資)した場合よりも多い口数となり、結果的に平均購入単価が下がっていることがわかります。

【一時金投資と積み立て投資の比較】
1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 投資金額 購入口数 平均
購入単価
株価 10,000円 11,000円 8,000円 12,000円 9,000円
一時金投資 5口 50,000円 5口 10,000円
1万円ずつ 1口 0.909口 1.25口 0.833口 1.111口 50,000円 5.184口 9,645円

つみたてNISA(新しいNISAでは「つみたて投資枠」)は、少額から始めることができ、定期定額で積立投資を行うスタイルです。このように、毎月購入するたびにご自身の平均購入単価が再計算されるため、値下がった時は平均購入単価も下がり、一時金投資よりも、値下がり時の購入にメリットが出やすいといえます。このように積立投資はコツコツ購入し続けることに意味があるのです。

ちなみに、現行のつみたてNISAを始めても、今年末までしか積立投資できないため、積立が終わる時点で現行のつみたてNISAでの平均購入単価は確定することになります。そうなると、あとは平均購入単価よりも値上がることを願うしかありません。
しかし、新しいNISAのつみたて投資枠でラインアップされる商品は、基本的に現行NISAと同じですから、新しい口座でも同じ投資信託をそれまで同様に購入していけば、事実上積立投資を継続していることになります。現行のつみたてNISAをスタートすることは、新しい制度で稼働するまでのトレーニング期間と考えてはいかがでしょう。

3.まずはご自身の投資スタイルを確立させましょう。

現行のつみたてNISAを始めたとして、現行では年間の非課税投資枠は40万円。毎月3.3万円程度です。新しいNISAでは年間の投資枠が大幅に拡大されますが、安易に投資金額を増やすことは控えましょう。

西野さんは、これから本格的に貯蓄していこうとする方です。まだ預貯金自体も少なく、生活費や急に必要になるかもしれない緊急予備資金の準備もしておかなければなりません。生活費や緊急予備資金はすぐに引き出せることが必要ですから、これらは換金しやすい普通預金や満期が短めの定期預金などで準備すべきです。まずは、毎月の収入からどれくらい投資に回せるのか分けて考えましょう。

また、ご自身の投資スタイルができていないうちに、投資にまわせる金額がわかったとしても、いくら非課税といっても、つみたて投資枠だけに資金を充てることが適切かどうかわかりません。

証券投資は株式や投資信託だけではありません。分散投資として債券や金を保有したいと思うかもしれません(ちなみに債券に投資している投資信託はNISAで購入できますが、個人向け国債など債券そのものをNISAでは購入できません)。ですから、投資にまわせる資金すべてをつぎ込んでしまうより、一部余裕資金として残し、購入したい商品を見つけたときに追加で購入できるようにしておいても良いでしょう。そうしていくうちに、ご自身のリスク許容度や希望するリターンなどもわかってくると思います。資金的にも、リスク許容度的にも、無理なく長期に継続できるスタイルを見つけていきましょう。
その意味でも、ぜひ勉強と思って、来年を待たずとも現行NISAで投資と向き合うことを始めてみてください。


今からだと、NISAとつみたてNISAは、どちらがよいでしょうか?
資産運用で「NISA」と「つみたてNISA」、どちらを選べば良いですか?
老後の自分年金づくりにイデコ(iDeCo)を検討しています。 そのメリットやコスト、運用上の注意点は?