生別(離婚分割)・死別(遺族年金)の額を比べてみた! ~平均額はあくまでイメージと知っておきたい


人生が長くなったからこそ、熟年夫婦が暮らしに区切りをつけ、残りの人生をやり直したいと考える人が増えても不思議ではありません。但し、人口動態統計によれば、約3組に1組の離婚は変わりませんが、婚姻件数の減少で離婚件数・離婚率は減少しています。(【表1】参照)

仕事柄様々な質問を受けますが、多くの皆さんは悩み不安を抱えている割に、統計による平均値で納得している人が多いのが残念。生別と死別では夫婦の加入年金制度や加入期間、別れの時期等で年金額・実際に受け取る時期も違います。平均値はあくまでイメージです。
いずれにしても、2人なら何とかなる家計も2人で分けると厳しくなるのは同じ。老後の経済の厳しさは長寿化で益々厳しくなりそうです。

今回は、セカンドライフの暮らしをイメージして、「生別」と「死別」の事例で受け取る年金額についてお話しします。多くのことに気づくことができれば、今の暮らしの修正も可能かもという期待を込めて・・・

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【表1】婚姻件数・離婚件数
令和元年 令和2年 令和3年
婚姻件数(婚姻率 人口千対) 59万9007組(4.8) 52万5507組(4.3) 50万1138組(4.1)
離婚件数(離婚率 人口千対) 20万8496組(1.69) 19万3253組(1.57) 18万4384組(1.50)

※参照(2023年3月15日時点):厚生労働省 令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況

厚生労働省 令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況

厚生労働省 令和元年(2019)人口動態統計(確定数)の概況

同居期間15年~20年、20年以上で離婚が増えてきた

同居期間20年以上で離婚の割合は、昭和25年以降上昇傾向にあり、令和2年は21.5%同居期間15年以上を含めると約3割となっています。一般的に同居期間が長い熟年離婚の年金分割の金額も増えますが、遺族年金に比べ金額的に不利です。
理由は簡単、年金分割は婚姻期間の保険料納付記録を按分、遺族厚生年金は死亡した人のすべての年金(報酬比例部分)を元に計算するからです。

離婚の同居期間別構成割合の年次推移(昭和25年~令和2年)

令和2年20年以上同居21.5%

※参照(2023年3月15日時点):厚生労働省 令和4年度 離婚に関する統計の概況 著者一部追加

厚生年金保険(第1号)における離婚等に伴う年金分割の状況

年金分割を受けて増える平均年金額は約3万円、厚生年金期間が長く報酬が高かった人と離婚した厚生年金期間が短い人の場合、婚姻期間が長いと月5万円くらいになることも。以下はあくまで平均値です。婚姻期間が短く共働きの人の分割年金額は少ないことも承知しておきましょう。

離婚分割  受給権者の分割改定前後の平均年金月額
第1号改定者 第2号改定者
平均年金月額(円) 平均年金月額(円)
離婚分割 改定前 改定後 変動差 改定前 改定後 変動差
144,951 115,492 △29,459 54,281 85,394 31,112
3号分割のみ 男性 女性
138,108 131,547 △6,561 41,197 47,196 6,000
  • 注1 第1号改定者とは、納付記録の分割をした者のことをいい、第2号改定者とは、納付記録の分割を受けた者のことをいう。
  • 注2 平均年金月額は、基礎年金が裁定されている場合基礎年金月額を含む。また離婚分割かつ3号分割を行った場合、3号分割に係る改定額を含む。
  • 注3 老齢給付に係る数を計上

【事例】夫:会社員(60歳 昭和37年4月2日生)・妻:専業主婦(57歳 昭和41年4月2日生)

<年金分割>の場合 夫・第1号改定者 妻・第2号改定者

按分割合→ 離婚分割は話し合いで決定、まとまらない場合は裁判等で決定(上限1/2)
ちなみに、統計上は1/2が多く、3号分割では強制的に1/2となる

妻が自身の年金を受給できるときから、年金分割分が加算されます。

結婚から離婚まで、婚姻期間の保険料納付記録を分割。年金分割の場合のイメージ図
厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額 老齢・障害年金と遺族年金
老齢年金 障害年金 遺族年金
145,665円 102,368円 82,371円
  • 遺族平均年金月額には、遺族基礎年金月額・加算含

※参照(2023年3月15日時点):厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

<遺族年金>の場合

遺族厚生年金額は報酬比例部分の3/4。死亡月の翌月分から遺族に支給されます。離婚分割と異なり婚姻期間の長短は問いません。厚生年金の加入期間が20年以上(長期要件)または在職中の夫が死亡した当時、妻が40歳以上なら65歳になるまで加算があります(以下事例)。

▼夫の年金加入歴(令和5年2月死亡と仮定) 厚生年金40年(報酬比例部分 120万円と仮定

妻がもらえる遺族年金のイメージ図
  • 注1 年金価格は令和4年度。事例の夫婦は年金の子なし。離婚分割・遺族年金いずれも受給要件を満たすとする。

まとめ

上記の例は、厚生年金期間(第1号)がある熟年世代が離婚・死亡した場合です。国民年金のみの人が離婚・死亡しても年金分割・遺族厚生年金は発生しません。年金分割の場合、毎年度の改定率による年金額の変動はありますが、離婚で受け取る年金額にほぼ変動はありません。
遺族年金の場合、夫と妻の厚生年金加入期間・妻の年齢・生年月日等で金額が変動します。
単に、年金額の多寡で人生を決めることはお薦めしませんが、仕組みを知っておくことは大切。
なにはともあれ、「貯金・貯筋・しなやかさ」が長い人生を最期まで豊かに暮らす決め手になりそうですね・・・

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