社会人になりました。貯金の目安とコツを教えてください。


今回、回答いただく先生は…
鈴木 暁子先生(すずき あきこ) プロフィール
  • 自分の家計として意識することが大切です。
  • 貯まるしくみを作りましょう。
  • 運用も経験が大事。少しずつ挑戦してみましょう。

  相田 彩さん(仮名 22歳・会社員)のご相談

4月から社会人になりました。きちんと貯金をしていこうと思いますが、毎月いくらくらい貯めれば良いでしょう?また貯金のコツを教えてください。

相田 彩さん(仮名)のプロフィール

家族構成
家族 年間収入
本人(22歳・会社員) 年収300万円
父(52歳・会社員)
母(52歳・パート)
※両親と同居、自宅通勤

まず天引き・自動振替で先取り貯蓄の仕組み作り。
長期で貯蓄を殖やす事を考えれば、早めに資産運用を。

1.経済的に自立することが社会人としての第一歩。

相田さん、こんにちは。この春から社会人になられたということ、おめでとうございます。
新型コロナウイルスの影響で入社式も大々的にはできなかったのではないでしょうか。
将来、思い起こすと記憶に残る社会人1年目になると思います。しっかりと過ごしていきましょう。

その意味で、「きちんと貯金をしていきたい」という心がけは素晴らしいです。保護者の経済力に頼らず自分の力で生きていけることが社会人としての第一歩。私はいつも新入社員の方には「資産形成は最初が肝心。社会人になった時から始めましょう」とお伝えしています。なぜならお給料とはいってもまだそれほど高いわけではありません。一方で、スーツやバッグ、靴など最初は物入りでもあります。また交際費も増えるでしょう。私もそうでしたが、入社1年目は意外とやりくりが厳しいのです。

一度使える分だけ使ってしまうと、その後予算に制限を設けることが難しくなります。厳しいからこそ最初の1年を乗り切れれば「やれる」という自信にもつながりますし、結果が数字となって表れますからモチベーションのアップにもつながります。

何より相田さんは自宅通勤です。自宅外通勤となる同僚より貯蓄をする環境としては恵まれていると思ってください。ただし、これまで生活費は保護者の家計でまかなってもらっていましたが、今後は同居といっても定職を持った社会人。相田さんご自身の家計として意識していきましょう。その意味で、食費や水道光熱費として一定額を自宅に入れるのが望ましいでしょう。

2.貯まるしくみづくりが最大のコツです。

次に貯蓄のポイントですが、誰でも貯金はしていらっしゃると思います。でもその方法によって貯蓄のペースに大きな差が出るのをご存知ですか。
お給料が支給され、生活費などを使い、「今月はこれくらい残った」と残った分を貯金している方が多いのですが、実はこれでは思うように貯まらないのです。

独身の間は自分の普段の生活に必要な物だけにお金を使うので、残るお金もあります。しかし、家庭を持ってマイホームのローンや子どもの教育費など、生活費以外にも支出が増えていくと、残らなくなるどころか一時的には赤字になる時期もあるくらいです。そうなるとその期間貯蓄ができないことになってしまいます。ですから残った分を貯金するのではなく、貯蓄分は先に確保し、残った分で生活する習慣をつけましょう。これを「先取り貯蓄」といいます。

× 「収入(給与)」-「支出(生活費等)」=「貯金」
〇 「収入(給与)」-「貯蓄」=「支出(生活費等)」

そのための便利な方法として「天引き」といって、振り込まれた給与からわざわざ自分で預けるのではなく、あらかじめ差し引かれる仕組みを作るのです。

まず勤務先に天引きの制度がないか確認しましょう。たとえば社内預金財形貯蓄持株会などがあれば簡単な手続きで天引きが可能です。勤務先によっては社内預金の金利が一般の金融機関の金利水準に上乗せや、持ち株会などで拠出分に対し一定割合の奨励金を出してくれるところもあります。天引き以外にもメリットがあれば一石二鳥です。
勤務先に制度がない場合は、給与振り込み口座にしている銀行などで自動振替をしてくれるしくみがあるので、申し込めば良いでしょう。

貯蓄の目安としては、自宅通勤であれば手取りの2~3割程度自宅外通勤であれば1~2割程度を目標にしましょう。

なお、今後昇給もあると思いますが、昇給分は貯蓄に回し、生活水準を変えないことが貯蓄を加速させるポイントです。

3.貯蓄の効率アップのために、運用も検討してみましょう。

まずは先取り貯蓄のしくみづくり、貯蓄習慣づくりが最優先ですが、併せて資産運用も取り入れてみることをお勧めします。
今の預金金利では貯めることはできてもまったく増えません。今から老後資金といってもまったくピンとこないとは思います。しかし、老後だけでなくこれから家族を持てば20年後30年後でもライフイベントや教育資金などで物入りです。
現役時代に使う資金を増やすのにも運用は有効な手段といえるでしょう。

基本は「まずは少額で」「定期定額で」「積立」「長期」です。
まずは毎月1万円でも十分です。また、定期定額で積立というのは、毎月決まった日に一定額コツコツ購入していく方法です(例:投資信託を毎月25日に1万円ずつ購入)。この方法だと、たとえば投資信託の価格が上がった場合、1口買えないこともある一方で、価格が下がった場合は1口以上買えることもあります。いずれにしても「買える分だけ買う。買える分しか買わない」というスタイルなので、無理がありません。

長期というのは、2~3年で結果を期待するのではなく、最低でも10年、本来は20年、30年と時間をかけて増やしていこうというスタイルです。あくまで統計ですが、単年度のパフォーマンスで見ると、大きな利益をあげられる年もあれば、大きく損失を出してしまう年もあります。これが5年平均、10年平均と時間をかけると、そのブレ幅が小さくなり、10年かければマイナスにはならないとなっています。それだけ運用には「時間」が大きな味方となるので、始めるのが早いほど有利です。

勤務先で持株会確定拠出年金が導入されていれば、まさにこの「定期定額」「積立」「長期」投資を実践できます。同様につみたてNISAもこのしくみですので、このあたりがスタートしやすいと思います。
なお、投資信託を選ぶ際は、コスト(販売手数料や信託報酬)の安いものを選ぶと良いでしょう。手数料の高いものよりリスクも低めです。

また、運用をしていると、今のコロナショックがまさにそうですが、世界中の株式市場でリーマンショック以上の大暴落を経験することもあります。このような時に投資家としてどのようにリスクと向き合うのか、どのようにメンタルを保つのかなどは本で勉強することではなく、実際に当事者になってみないとわかりません。これも勉強の一つです。将来資産が増えた時にいきなり投資家デビューするのではなく、今から経験を積むことで、投資家として必要な知識や情報の取り方、メンタルの保ち方などトレーニングしていきましょう。

それから新入社員の方には必ずお伝えしているのですが、ひょっとしたら1年目より2年目のほうが手取りは少なくなるかもしれません。

給与明細を見ていただくとわかりますが、1年目は住民税が課税されていません。なぜなら住民税は前年度の収入を基準に算出され、翌年の6月の給与から控除されます。つまり1年目の今年は前年度の収入がないので住民税が課せられません。しかし今年の12月までの収入に基づき、来年6月からは住民税が課せられます。これを知らず「あれ?どうして減っているんだろう」と思う方も多いのですが、ぜひ心づもりをしておいてくださいね。

まだしばらくは感染防止のためさまざまな制約もあるかと思いますが、どうぞ健康に気をつけてお過ごしください。


なかなか貯蓄ができません。勤務先には社内預金も財形の制度もありません。何か良い方法があるでしょうか。
今からだと、NISAとつみたてNISAは、どちらがよいでしょうか?
将来のライフプランが漠然としていて不安です。 目的も無く計画的な貯蓄などできるのでしょうか?

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