ライフプランが大切なのはわかりますが、どこか漠然としていて「いま何をしたらよいか」がわかりません


今回、回答いただく先生は…
井上 信一先生(いのうえ しんいち) プロフィール
  • 貯め上手を目指しましょう。
  • 使い上手になりましょう。
  • 使わずに貯めたお金はそのための収入と考えられます。

  関谷 美鈴さん(30歳 仮名)のご相談

ライフプランが大切なのはあちこちで見聞きします。ですが、具体的にいま何から始めればいいかわかりません。「いまこれをすべき」というのがあれば教えてください。
マイホームは将来欲しいと思うかもしれないし、お互いの実家もあるので特に希望を持っているわけではありません。漠然と将来には子どもはできるのだろうとは思うけど、今すぐ作りたいというわけでもありません。それより今はお互い仕事で精いっぱいですし、週末や長期休暇の過ごし方が大切です。
なんとなく貯蓄もしていますが、ほかに何をすればいいですか?

関谷 美鈴さん(仮名)のプロフィール

家族構成など
家族 年間収入 貯蓄額
本人 30歳 約320万円(会社員) 約500万円
夫 32歳 約400万円(会社員)

「貯める」は「使う」の裏返し、そして「将来の収入」でもあります。
人生の様々なプランに応用できるお金との付き合い方を、日常で身につけましょう。

関谷さん、ご相談ありがとうございます。
ライフプランを考えることは確かに大切です。ですが、ただ計画するだけでは意味がなく、考えた後に具体的に行動することが大切です。ではどのような行動をすればいいのか。遠い将来のことなど誰にもわかりませんが、少し先の将来のことを考えて行動することを、日々の生活の中で意識して取り入れてみてください。

マイホームを買いたい時には既に買える適正価格が決まっている

例えばマイホーム購入を意識した際、その選択肢は無限にあるように思えます。マイホームは通常、自己資金と住宅ローンで賄うわけで、理屈では頭金ゼロのフルローンを組むことも可能。しかし、ローンは収入に応じ、収入に対する年間返済額の割合に上限があります。それ以前に、返せる金額から借入金を逆算して考えねば、将来的に大変な事態になることもあり得ます。
つまり、マイホームを買いたいと思った時、その時の収入と、自己資金に充てるためにたまたま蓄えているお金(親等の援助を望める場合は除く)がどのくらいあるのかによって、適正な物件価格が既に決まっているのです。

教育資金は何故貯まりやすいのか?

人生の様々なライフイベントの中でも、教育資金は比較的、きちんと準備されることが多いようです。何故なのでしょう? 子どもにかけるお金の優先度が高いことや、教育費に関する情報を入手しやすいこと、貯蓄商品・保険商品・そして奨学金までを含めた準備手段が豊富にあることが理由として考えられます。
でも、最大の理由は、貯める目的と必要な時期が明確であり、貯蓄の計画が立てやすいことに尽きるでしょう。もちろん、優先度が高いからと何かひとつの支出が過大になると他の支出に影響しますので、教育資金だけに偏重するのも問題です。また、奨学金は基本的にお子さま自身が返還していく手段なので、卒業後の子の生活に負担にならないかどうかを慎重に検討すべきです。とはいえ、「使う目的や時期をミエル化して将来に備える」という行動は、他の様々なライフイベントにも応用できるのではないでしょうか。

貯め上手を目指しましょう

貯めるといっても、やみくもに貯めれば良い訳ではなく、お金との上手な付き合いを意識することが大切です。そのために、まずは、何かごく日常の中で「貯める目的を持つ」こと、そして「その目的と相性の良い置き場」にお金を置くことを意識してみてください。
例えば、毎年旅行に行っているのであれば、1年後の旅行を「貯める目的」にしましょう。つまり、1年後旅行に行く時に預金から引き出したりクレカ払いで旅行費用の分だけ貯蓄を減らすのではなく、1年かけて「お金を使わずに残しておく」ことをするわけです。

そのためのお金の置き場としては、毎月の積立でも良いのですが投資商品を活用するのも一考です。
一般的に投資というと長期の老後資金のためのものというイメージがあります。低金利なので預貯金に置いておくのは勿体ないからなんとなく始めるという方も少なくはありません。
本来、投資商品による資産運用においては、その目的と運用期間を必ず決め、大きな失敗を避けるためにも購入時期と換金時期を少額ずつ分散させることが重要です。そこで、仮に、旅行予算を夫婦で50万円とするなら、そのうち30万円を投資で、残りを毎月の積立で準備します。たとえ運用成果が良くなくても予定時期がきたらしっかり割り切って換金することがポイント。運用結果で予算が上下しても、旅行に行くという目的は果たせて予算に応じて楽しめるはずです。運用成果が良ければグレードアップも可能です。
こう考えると、毎年の旅行目的と投資とはあながち相性が悪いものでもないでしょう。こうした実経験の積み重ねが、もう少し運用期間の長い老後資金を目的に始める投資にも役立つはずです。

使い上手になりましょう

「〇〇費」という支出は「単価×回数」で構成されます。例えば、1カ月の外食費は1回当たりの食事単価と1カ月間に食事に行く回数で決まります。
お金の使い上手とは、活きたお金の使い方をすること。活きたお金の使い方とは満足感が高く充実できる時間やずっと大切に使える良質のモノを得られることです。
そのためには、「回数」を減らしてでも、単価を上げるという一点豪華主義的な使い方を心掛けると、その「〇〇費」は単なる「出費」でなければ、もちろん「浪費」でもなく、自分達への「投資(自己投資・ご褒美)」にすらなり得ます。
往々にして、「浪費は少なく投資は多く」といった使い上手な方ほど、全体的な出費は抑えられるもの。
「ファッション費」「美容・教養費」「外食費」「レジャー費」「旅行費」「耐久財購入費」といった家計の中の変動費は、大きくブレやすく、投資になり得るが浪費が生じやすく、何より家庭の消費性向に左右されます。1年間、1カ月間と、費目ごとに使える予算を設定し、「その予算の範囲でどう使うと充実できるか?」と考えてみるようにしてください。

使わずに貯めたお金はそのための収入と考えられます

今まで述べたことは、切り口こそ違えど、意味は同じです。
貯めることと使うことは表と裏の関係。お金と上手に付き合うということでは同じ行動です。外食に行く回数を毎週から隔週に減らす、その代り1回当たりの単価を上げる。これは、2週間後のためにお金を使わず貯めていることと同じです。さらにいえば、その貯めたお金は2週間後に外食に行くための収入と考えることもできます。

老後の生活資金を考える時、一体いくらあれば安心なのかがしばしば話題になります。ですが、老後にまとまったお金が必要になるのは、概ね要介護状態になった際の高齢者施設等の入居時です。長い老後期間の殆どの生活費も、年金以外の定期的な収入のしくみをつくっていれば、カバーは可能です。
ポイントは準備できている貯蓄額の多寡ではなく老後期間に渡る収入です。
1年後の旅行のための収入や、2週間後の外食のための収入という生活習慣が身についた方であれば、その応用として、老後のための収入をつくっていくこともできますし、自然とそうした発想になります。そしてこうしたお金との付き合い方こそが、大切な具体的な行動なのです。

「“いま”だけを考えて将来は偶然の産物」というライフスタイルから、「将来から“いま”を考える、将来は必然の結果」というライフスタイルを目指しましょう。
豊かな人生とは、究極には選べるオプション(選択肢)の多い人生だと思います。
しかし、“いま”が充実していることの、その先が将来です。
これだけを心掛けてやっているから将来は安心」という、“いま“を過ごされてください。


保険とか投資とかお金のことが全くわかっていません。このままではよくない気がします。何から始めればよいでしょうか。
夫婦ともに契約社員です。 このような状況で、将来の生活設計はどうなるのでしょうか?
将来海外移住を計画しています。移住しても年金はもらえますか? どんな手続きが必要ですか?