昇給したら保険を見直すべきですか?


今回、回答いただく先生は…
森田 和子先生(もりた かずこ) プロフィール
  • 収入に合わせて保険を見直す方法もあります。
  • 収入が増えると医療費の自己負担が増える場合があります。
  • 保険の見直しは、保険をチェックすることです。

  大木 孝博さん(仮名 39歳 会社員)のご相談

来期から、ポジションが上がって収入が増える見込みです。余裕ができれば貯蓄や投資もしっかり考えたいと思っています。先輩から、収入が増えると入院した時にお金がかかって大変だと聞きました。生命保険は長女が生まれた時に見直しています。収入が増えたら保険を見直すべきでしょうか。

大木 孝博さん(仮名)のプロフィール

家族構成
大木孝博さん 39歳 会社員 年収750万円
美弥さん(妻・パート勤務・36歳)
武さん(長男・10歳)
彩さん(長女・6歳)

収入が増えると医療費が高額になった場合の自己負担額が増える場合があります。この機会に保険をチェックしてみましょう。

こんにちは、大木さん。昇進されるとのこと、おめでとうございます。貯蓄や投資について考えているのは頼もしいですね。収入が増えると負担が増えるものがあり、医療費にも注意が必要です。確認していきましょう。

収入に合わせて保険を見直す方法もあります

生命保険の中心になるのは死亡保険です。家計の支出をもとにして保険金額を設定するのが一般的です。毎月の支出から遺族が必要とする生活資金などを計算して、それをカバーできるだけの保険金額を設定します。大木さんも、生命保険に加入する時にはこの方法で計算してもらったのではないでしょうか。一般的に、大木さんのように配偶者とお子さまのいる人に必要な死亡保障は、末子が生まれた時に最も大きくなり、年月の経過にしたがって減っていきます。大木さんも末子である彩さんが生まれた時に見直しているので、保険金額に不足はないと考えられます。
一方で、収入をもとに保険金額を計算する方法もあります。現在の収入をもとに、無事に生存していれば得られるはずの収入を計算して、保険金額を設定します。交通事故の賠償金の計算に用いられるのは、こちらの方法です。年齢などの条件にもよりますが、この方法で計算すれば、収入が高ければ保険金額も高くなります。そのため、収入が増えた時に保険を見直すケースもありますが、現在加入中の保険でも遺族の生活資金はカバーできるので、あえて見直す必要はありません。

収入が増えると医療費の自己負担が増える場合があります

注意が必要なのは、医療費の自己負担です。健康保険には、医療費が高額になった場合でも自己負担が重くならないように上限額を定める高額療養費の制度がありますが、この上限額は所得によって異なります。
大木さんの年収は750万円で、社会保険料の計算に用いる標準報酬月額50万円です。もしも今、医療費が100万円かかっても、1か月の自己負担限度額は87,430円です。収入が増えて標準報酬月額が53万円になると、医療費100万円の1か月の自己負担限度額は171,820円になります。入院すれば、1食あたり460円の自己負担もあるので、1日3食を30日であれば1か月41,400円がかかり、これらを合計すると213,220円です。差額ベッド代などがかかると負担はさらに増えます。入院が2か月にわたれば42万円以上です。「収入が増えると入院した時にお金がかかって大変」というのもわかりますね。
高額療養費の区分になる標準報酬月額は、給与明細に記載される場合があります。不明な場合には、勤務先に確認しましょう。

高額療養費制度 69歳以下の健康保険加入者の上限額
標準報酬月額 年収の目安 ひと月の上限額 多数回該当
83万円~ 1,160万円~ 252,600円+(医療費―842,000円)×1% 140,100円
53~79万円 770~1,160万円 167,400円+(医療費―558,000円)×1% 93,000円
28~50万円 370~770万円 80,100円+(医療費―267,000円)×1% 44,400円
~26万円 ~370万円 57,600円 44,400円
住民税非課税 35,400円 24,600円
高額療養費制度 70歳以上の健康保険加入者の上限額
標準報酬月額 年収の目安 ひと月の上限額 多数回該当
83万円~ 1,160万円~ 252,600円+(医療費―842,000円)×1% 140,100円
53~79万円 770~1,160万円 167,400円+(医療費―558,000円)×1% 93,000円
28~50万円 370~770万円 80,100円+(医療費―267,000円)×1% 44,400円
~26万円 156~370万円 外来・個人ごと
18,000円/年144,000円
外来・入院・世帯ごと
57,600円
44,400円
住民税非課税Ⅱ 外来・個人ごと
8,000円
外来・入院・世帯ごと
24,600円
住民税非課税世帯Ⅰ(年金収入80万円以下など) 外来・個人ごと
8,000円
外来・入院・世帯ごと
15,000円
  • ※直近12か月の間に3回以上高額療養費の対象になった場合の4回目以降の上限額。

保険の見直しは、保険をチェックすることです

大木さんが加入している医療保険では、入院1日あたり5,000円の保障です。30日であれば入院給付金は15万円です。収入が増えて1か月の入院に20万円以上の自己負担がかかるようになると、現在の入院保障では不足することになります。保障を増額することを考えてもよいでしょう。しかし、将来定年を迎えれば収入は減少するので、医療費の自己負担額もさがり、大きな保障を持ち続ける必要はなくなります。今の保険をそのまま持ち続けて、その時までの医療費は貯蓄でカバーする方法もあります。
保険の見直しというと、加入している保険をやめて、新しい保険に入りなおすイメージを持たれるかもしれません。しかし、必ずしも保険を変更する必要はありません。保障額が不足している部分は貯蓄で補うと決めてもよいのです。死亡保障でも入院や手術の保障でも、いざという時に必要な金額がいくらになり、それに備える方法を準備しておくことが重要です。保険の見直しは、「保険のチェックをすること」であると考えればよいでしょう。よい機会ですから、保険の見直しに取り組んでみてください。


共働きの夫婦です。子どもが生まれたら保障の見直しが必要でしょうか。
保険とか投資とかお金のことが全くわかっていません。このままではよくない気がします。何から始めればよいでしょうか。
物価が上がって生活が苦しくなっています。節約以外で家計を見直す効果的な方法はありますか?

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