自粛生活で増えた貯蓄で投資を考えています。海外投資はどのように始めたら良いですか?


今回、回答いただく先生は…
鈴木 暁子先生(すずき あきこ) プロフィール
  • 海外投資はまず外国為替のしくみを知ることから。
  • 分散投資の観点から外貨は組み入れる必要があるでしょう。
  • 国内外の動向に目を向けることも重要です。

  藤岡 太一さん(仮名・27歳・会社員)のご相談

コロナによってリモートワーク中心の生活が約1年続いています。飲み会もほぼリモートで、小遣いを使うことや洋服を買うことも少なくなり、気づいたら意外と貯金ができていました。勤務先はまだリモートワーク推奨を解除する気配もないので、せっかくならきちんと資産形成をするきっかけにしたいと思っています。
米国株の値上がり方や中国をはじめ新興国の成長性も気になり、円高の今、海外投資に興味がありますが、ハードルが高そうで・・・。どのように始めたら良いでしょうか。

藤岡 太一さん(仮名)のプロフィール

家族構成
家族 年間収入
本人(27歳・会社員) 手取り約310万円
現在の資産状況:預貯金:約80万円
勤務先の確定拠出年金の資産配分:定期預金100%

外貨での運用は円貨に替えるタイミングの為替リスクを理解すること。
分散投資先の一つとして考えるのが無難です。

1.海外投資といっても基本的なしくみは円建てと同じ。為替リスクがひとつ増えることです。

藤岡さん、こんにちは。昨年は本当に生活が一転しましたね。外でお金を使わない代わりに、プチ贅沢ということでネット通販やデリバリーにお金をかけてしまう方も多い中で、ちゃんと貯金が増えていたというのは感心です。今後もこの生活がすぐに元に戻るとは思えない状況ですので、ぜひご自分のための時間が取りやすい今、資産形成を計画的にスタートさせていただきたいです。

海外投資に興味があるけれど、ハードルが高い。確かに使い慣れていない通貨は不安ですよね。外貨投資は、円を外貨に替えて外貨建て商品で運用するものです。たとえば外貨預金、外貨MMF、外国株式、外国債券、外国投資信託、外国ETF(上場投資信託)、外国為替証拠金取引(FX)などがあります。こうして見ると、みな国内でもある商品ですよね。
外貨建て商品であっても、そのしくみは国内のそれと基本的には同じです。
(※なお、FXは外貨投資の中で特にハイリスクになりやすいため、今回のお話からは割愛させていただきますね)

ではハードルの高さの違いは何でしょう。それは為替リスクです。海外投資は購入時に「円を外貨に替えて」というステップがあります。逆に償還時、売却時は「外貨を円貨に替えて」戻ってきます。これらのステップは円建て投資には無いことです。たとえば1米ドル=100円の時に1株10ドルの株式を買ったとすると、その時の購入価格は1000円です。その株が11ドルに値上がりしたので売却しました。その時は1ドル=90円だったとすると、手元に戻る円貨は990円(税金は考慮せず)と、ドル建てでみれば利益が出ているのに、円建てでみると損をしています。為替相場によっては円換算した時に為替差損益が生じます。これが為替リスクです。
このしくみを理解していないと損益分岐点がわからず、海外投資はできません。

ただし、証券会社の口座、あるいは証券会社と提携している銀行口座では、売却、償還時に外貨のまま受け取り、外貨預金に置いておくことができ、買付けも外貨で行うなど、外貨のまま取引することも可能です。外貨を外貨のままで使う分には為替差損益は発生しません。もちろん、有利な為替相場になったときに円貨に替えることもできます。このように為替リスクを軽減する方法もあるので、運用資金の一部を外貨で用意しておいても良いでしょう。

2.リスクはあっても分散投資として外貨を組み入れることを検討しましょう。

為替リスクはあるものの、分散投資の観点からは海外投資は必要だと思います。その場合、さまざまな金融商品がありますが、私は投資信託がお勧めです。というのも、藤岡さんの勤務先では確定拠出年金が導入されています。入社時に加入し、何もわからないのでとりあえず定期預金に100%に掛けるという方も多く、藤岡さんもそのままほったらかしになっているようですね。

確定拠出年金には国内外の株式や国内外の債券などに投資できる商品もラインアップされています。ただしそれほど種類は多くないと思われますので、シンプルに国内外の株式、外国債券などに投資している投資信託を選ぶと良いでしょう。また、つみたてNISAも確定拠出年金同様に定期定額で積立投資していくものです。つみたてNISAは年間40万円まで(月額約33,000円程度)投資でき、商品ラインアップが豊富ですので、海外ETFなど確定拠出年金では買えないものを選ぶとより分散効果は高まります。ETFは市場に連動する値動きを目指す投資信託なので、たとえば日本の株式市場へ投資するタイプ、日本以外の先進国の株式市場に投資するタイプ、新興国市場に投資するタイプの3本を買えば、ほぼ世界中の株式市場に投資できているということになりますよ。

確定拠出年金もつみたてNISAも定額購入のため、商品の価格変動に応じて購入できる口数しか購入しません。平均購入単価を抑えることもでき、価格変動する商品の買い方としては王道です。また、確定拠出年金は掛け金が全額所得控除になりますし、運用期間中の利益は非課税。つみたてNISAも売却益、配当、分配金などが非課税です。したがって効率良く資産を育てることができます。なお、米国株式市場も堅調ですが、個別株式への投資はもう少し投資に慣れてからにしたほうが良いでしょう。

3.国内外の動向に目を向けることも重要です。

海外投資をしたいということであれば、国内はもちろん海外の政治、経済などの動向に目を向けることが重要です。コロナ関連をはじめ、今後は環境問題も世界的に大きな影響がありそうです。もちろん為替相場の推移をチェックするのは言うまでもありません。米ドルと円であればニュースの終わりには必ずテロップが出ますよね。せめてそれは毎日確認しましょう。

また肌感覚といいますか、生活者として世の中の動向に敏感になることも心がけてください。たとえば人気のある商品を見て、「最近これが売れているな」「こういうものがあったら便利だな」という感覚は意外と正しいものです。そこから、「なぜこんなに人気が出るのだろう」「原材料はどこから輸入しているのだろう」「工場はどこにある?」「輸送手段は?」など、連想ゲームをする中で、どこに(何に)資金が集まりそうかを推測したり、メディアから情報収集する習慣をつけましょう。海外の動向を知ることで、国内の株式市場への影響もわかるようになります。投資するエリアを広げることで、投資の意義も効果も高まるはずです。


保険とか投資とかお金のことが全くわかっていません。このままではよくない気がします。何から始めればよいでしょうか。
投資に関心がありますが、どのように始めれば良いでしょうか。
NISAにはどのような投資方法が向きますか?