年末調整の申告書を提出するように言われていますが、何に使われるのでしょうか?


今回、回答いただく先生は…
村井 英一先生(むらい えいいち) プロフィール
  • 所得税や住民税は、家族の状況によっても税額が変わります
  • 申告書を提出することで勤務先が税額を計算し、納税してくれます
  • 提出した後に変更があったら、修正の手続きをしましょう

  村上 浩司さん(仮名 56歳 会社員)のご相談

毎年この時期になると、会社から家族の収入や保険への加入を記入して提出するように言われます。会社が、プライバシーを調査しているようで、あまり良い気がしません。特に息子は学生でアルバイトをしていますが、その収入までは把握していません。正確に書かないといけないものなのでしょうか?

村上 浩司さん(仮名)のプロフィール

家族構成
家族 年間収入
ご相談者 村上 浩司さん 56歳(会社員) 750万円
家族 妻 55歳(パート主婦) 100万円
長男 18歳(大学生)
貯蓄額 1,500万円

正確に記入して提出することで各種控除が適用され、税金が安くなる可能性があります。

1.家族の状況などによって税金は変わってきます

お勤めの人の場合、所得税や住民税などの税金は、給与から源泉徴収されています。勤務先が、本人に代わって税金の金額を計算し、給与から差し引いて納税してくれるのです。
ところで、所得税の金額は、給与額だけで決まるのではありません。その人の扶養している家族や保険加入の状況なども考慮して決定されています。扶養している家族が多い人や保険に加入して将来のリスクに備えている人については、税金が安くなるようにしているのです。「○○控除」と言われているものです。
これらの状況を本人に申告してもらい、一人ひとりの正しい税額を計算するのが年末調整です。所得税は毎月の給与から差し引かれていますが、これはあくまで〝概算〟です。12月にきちんと計算をして、正確な税金額になるように差し引きます。毎月差し引いた金額が多すぎた場合は還付をします。そのために申告する書類が、10月から11月頃に勤務先から配られているわけです。きちんと申告することで、適正な控除が受けられます

2.申告書を提出することで、税金が安くなります

税金が安くなる制度で代表的なのが、配偶者控除または配偶者特別控除です。本人の所得が1,000万円以下の場合、配偶者の所得が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)だと配偶者控除が、配偶者の所得が133万円以下だと配偶者特別控除が適用されます。それだけに、配偶者の所得を把握する必要があるのです。また、扶養している子どもや親の年齢と所得によって扶養控除が適用されます。そのため、対象となる親族の名前や所得を記入します。

生命保険や地震保険に加入して保険料を払った場合も控除の対象になりますので、申告しましょう。国は税金を安くすることで、各自で将来のリスクに備えてもらうように促しているのです。保険会社からは「保険料控除証明書」が送られてきますので、それを添付します。この時点ではまだ、12月末までに払った保険料は確定していませんが、予定金額が記載されていますので、申告書にはそれを記入します。
子どもや親の社会保険料を払っている場合は、それも申告します。その分、所得税が少なくなります。個人型の確定拠出年金に加入していて掛金を払っているという場合もその金額を申告します。これらも控除の対象になっています。

3.後から修整の手続きをすることができます

申告書の提出は11月中が多いでしょう。村上様がご心配のように、12月の状況によっては申告書に記入した内容と変わってしまう場合があります。配偶者や扶養親族の収入が増えてしまい、控除の対象からはずれてしまう場合があります。また、年末に保険に加入したり、解約したりすることもあり、それによって支払った保険料が変わる場合もあります。申告書を提出した後に状況が変わったら、早めに勤務先に伝えましょう。翌年1月中であれば、勤務先の方で税金の計算を修正してもらえます。
ただし、「給与所得の源泉徴収票」が配布された後では修正はできません。その場合は、所轄の税務署で確定申告をするとよいでしょう。税金が少なくなる場合は還付があります。多くなる場合でも申告をして納税した方がよいでしょう。そのままにしておくと、後からやり直しの通知が勤務先に届くことがあります。勤務先をも巻き込んでの修正となりますので、避けたいところです。

現在は、本人はもとより、配偶者、扶養親族のマイナンバーも提出するようになっています。配偶者や扶養親族のパート・アルバイト先でも納税のためにマイナンバーが提出されています。マイナンバーの突き合わせで、控除の対象として申告していたのに実際は収入が多かった場合など、すぐに発覚してしまいます。配偶者はもちろん、お子さんのアルバイトについても、きちんと収入を確認しておく必要があります。


確定申告で医療費控除申告したいのですが、基準を満たしているでしょうか? また、親戚が昨年被災しましたが、こちらは確定申告をしたほうが良いと言われました。
年末調整で、加入している生命保険を記入しました。どれくらい税金が戻るのでしょうか?
被災地に寄附をしたいと考えています。税金が戻ってくると聞きましたが、本当でしょうか。

[PR]生命保険の相談なら「ほけんの窓口」

保険のこと、やっぱりプロに相談してよかった!あなたに合った保険を無料でアドバイス! ほけんの窓口 生命保険の無料相談はこちら 保険のこと、やっぱりプロに相談してよかった!あなたに合った保険を無料でアドバイス! ほけんの窓口 生命保険の無料相談はこちら