被災地に寄附をしたいと考えています。税金が戻ってくると聞きましたが、本当でしょうか。

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今回、回答いただく先生は…
森田 和子先生(もりた かずこ) プロフィール
  • 特定寄附金として認められると税金が還付されます。
  • 年間合計で2,000円を超える寄附が対象になります。
  • 会社員でも確定申告が必要です。

  長谷川 里奈さん(仮名 28歳 会社員)のご相談

災害のニュースを見ていると、私にも何かお手伝いできないものかと思います。被災地まで手伝いに行くことはできないのですが、せめて寄附をしたいと考えています。寄附をすると税金が戻ってくると聞いたことがあるのですが、本当でしょうか。どのようにすればよいのかを教えてください。

長谷川 里奈さん(仮名)のプロフィール

家族構成
家族職業
本人(28歳)独身会社員

寄附が特定寄付金として認められると税金が還付されます。
還付を受けるには、会社員でも確定申告をする必要があります。

こんにちは、長谷川さん。ご相談ありがとうございます。台風や事件による大きな被害の報道がいくつもあり、胸が痛みます。せめて寄附をと考える方が多いのではないでしょうか。寄附をすると税金が還付される(戻ってくる)場合がありますが、注意するべき点もあるので詳しい内容を確認していきましょう。

特定寄附金として認められると税金が還付されます

都道府県や市区町村などの地方公共団体や、独立行政法人、私立学校などに寄附をした場合、「特定寄附金」として認められると「寄附金控除」を利用することができます。寄附による控除と聞いて、ふるさと納税を思い浮かべるかもしれませんが、今回はふるさと納税とは異なる手続きの控除についてご紹介します。

寄附金控除は所得控除の1つで、税金を計算する時に所得から差し引くことができるものです。同じく所得控除の1つである生命保険料控除を思い浮かべると理解しやすいかもしれません。税金を計算するベースとなる所得が減ることによって、所得税や復興特別所得税が還付されます。
被災地を支援する義援金などのうち、寄附金控除の対象になるのは「特定寄附金」として認められる寄附です。国、地方公共団体、公益社団法人、公益財団法人、独立行政法人、私立学校、日本赤十字社、社会福祉法人などへの寄附で、一定の要件を満たすものが認められます。

【特定寄附金の範囲】
国又は地方公共団体に対する寄附金
(学校の入学に関して寄附するものは除く)
指定寄附金
公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金で、広く一般に募集され、かつ公益性及び緊急性が高いものとして、財務大臣が指定したもの(学校の入学に関して寄附するものは除く)
特定公益増進法人に対する寄附金
公共法人等のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものと認められた特定公益増進法人に対する寄附金で、その法人の主たる目的である業務に関連するもの(学校の入学に関して寄附するものは除く)
特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
主務大臣の証明を受けた特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与すると認められる一定の公益信託の信託財産とするために支出した金銭
認定NPO法人等に対する寄附金
特定非営利活動法人のうち一定の要件を満たすものとして認められたものなど(認定NPO法人等)に対する寄附金で、特定非営利活動に係る事業に関連するもの
政治活動に関する寄附金
個人が支出した次の団体等に対する政治活動に関する寄附金のうち、一定の要件に該当するもの
(1)政党(支部を含む)
(2)政治資金団体
(3)その他の政治団体で一定のもの
(4)一定の公職の候補者
特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額など

(国税庁ホームページより作成)

自然災害だけでなく、事件などの被害者を支援する寄附にも対象になるものがあります。例えば、2019年10月に甚大な被害の生じた台風19号で被災された方を支援する、日本赤十字社による「令和元年台風第19号災害義援金」や、2019年7月に発生した京都アニメーション放火事件による被害者や遺族の支援を目的とする京都府による「京都府で発生した放火事件に係る被害者義援金」など、その他にも多くの団体の義援金などがあります。
寄附金控除の対象になる特定寄付金として認められるかについて、ホームページ等に記載している団体もありますが、不明な場合には寄附をする団体などに確認してください。

年間合計で2,000円を超える寄附が対象になります

寄付金控除として認められるのは以下の計算で求める金額です。

その年中に支出した特定寄附金の額の合計額(※1)- 2,000円 = 寄附金控除額

※1:特定寄附金の額の合計額は所得金額の40%相当額が限度。

つまり、1月1日から12月31日までの1年間の合計で2,000円を超える寄附をした場合が対象になります。

具体的な例で考えてみましょう。例えば、特定寄附金として認められる義援金に、合計30,000円の寄附をすると、寄附金控除として28,000円が認められます。
30,000円 - 2,000円 = 28,000円
この28,000円が還付されるわけではありません。28,000円が所得から差し引かれて所得税が再計算されます(所得控除)。所得税率が5%の人であれば約1,400円が、10%の人であれば2,800円以上が還付される可能性があります。所得税率は所得が多いほど高くなるので、還付される金額も大きくなります。(※2、3)

なお、寄附先が認定NPO法人や公益社団法人等の場合には、上記の所得控除ではなく、納めた税金から直接控除される税額控除を選べる場合があり、以下の計算式で控除額が求められます。

(その年中に支出した寄附金の額の合計額-2千円)×40%=寄附金特別控除(税額控除)

※100円未満の端数切捨て。特別控除額の合計額は所得税額の25%相当額が限度。

税額控除の認められる公益社団法人に30,000円を寄付した場合の計算は以下になります。
(30,000円 - 2,000円)×40% = 11,200円
控除額は11,200円ですが、所得税額の25%が限度になるので、例えば、所得税が40,000円であれば、10,000円が限度になります。寄附先が税額控除の寄附金特別控除も認められる場合には、所得控除と税額控除を計算してから選ぶとよいですね。
※2 税額は様々な条件によって変わるので試算額は目安とお考え下さい。
※3 平成49年までは所得税に復興特別所得税を併せて源泉徴収されるため、実際の税率は「所得税率×102.1%」となります。

会社員でも確定申告が必要です

会社員であれば生命保険料控除などは年末調整で手続きが済みますが、寄附金控除については会社員であっても確定申告が必要になるので、この点には注意が必要です。
確定申告では寄附した団体などから交付を受けた寄附金の受領証(領収書)が必要になります。受領証ではなく電子証明書などで認められる場合もあります。
寄附先によっては団体を証する書類などが必要になる場合もありますが、確定申告書を提出するときまでに、書類が間に合わない場合は、「寄附金の領収書(写)」を添付して申告し、後日に書類を提出することが認められます。寄附をした時の領収書などは必ず保管するようにしましょう。
税金を還付してもらう確定申告を還付申告といい、通常の確定申告期間とは関係なく翌年1月1日から5年間提出することができます。忘れないうちに早めに申告するとよいでしょう。


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