最近、値上がりが多いのですが、一時的なものでしょうか?


今回、回答いただく先生は…
村井 英一先生(むらい えいいち) プロフィール
  • 世界的な需給のアンバランスや為替相場の状況も影響し、値上げが続くでしょう。
  • 物価上昇と同じぐらいのペースであれば、支出の増加はやむをえません。
  • 今までどおりの生活を続けていけば、それほど心配はありません。

  山崎 美樹さん(仮名 30歳 専業主婦)のご相談

最近、値上げが増えているように思いますが、ロシアへの経済制裁の影響なのでしょうか?停戦合意すれば、その分は値下がりするのでしょうか? 支出を抑えるにはどうすればよいでしょうか?

山崎 美樹さん(仮名)のプロフィール

家族構成
家族 年間収入
ご相談者 山崎 美樹さん 30歳(専業主婦)
家族 夫 35歳(会社員) 年収390万円
長男 3歳
長女 1歳
貯蓄額 340万円

値上げの分支出は増えますが、コロナ禍の生活スタイルを崩さなければそれほど心配はありません。

1.値上げが相次いでいるのには、3つの要因が考えられます

最近、じわじわと値上げが広がっているのが実感されますね。総務省が公表した、2022年4月の消費者物価指数は、前年同月比で2.5%の上昇となっています。前年同月比は1年前の同じ月との比較です。2.5%の上昇は、消費税が引き上げられた時を除けば、31年ぶりのことですが、実感としてはもっと上がっているように感じると思います。実は携帯電話の通信料が大きく下がっている影響で抑えられているためで、それを除くと3%近い上昇です。
特に値上げが大きいのは電気代やガス代、ガソリン代などのエネルギー価格で、前年同月比で19.1%の上昇です。食品でも多くの品目で上がっており、家計を預かる身としてはどう対処してよいのか、戸惑ってしまいますね。

値上げの要因としては、主に次の3つが考えられます。

  • ①世界的に需要が回復しているにも関わらず、供給はまだ回復していない。
    新型コロナのパンデミックで落ち込んだ景気も、昨年からアメリカを中心に回復してきています。ただ、生産や流通体制はまだ回復できておらず、いろいろな面で商品の不足が生じています。そのために価格が上昇しているのです。
  • ②為替相場が円安ドル高に大きく推移しており、輸入品の価格が上昇している。
    為替相場が円安ドル高になると、海外から輸入している商品は、ドルでは値上げをしていなくても、円では上昇してしまいます。今の日本は、原材料はもちろん、製品も海外からの輸入が多いので、値上げが相次ぐことになります。
  • ③ロシアによるウクライナ侵攻で、経済制裁が行われ、供給不足になっている。
    ロシアは石油、石炭、天然ガスなどのエネルギーの輸出大国です。ヨーロッパ各国は経済制裁でロシア以外の国から調達するように努めていますが、それが国際価格を引き上げています。また、ロシアとウクライナは小麦の生産地ですが、輸出が滞り、これも国際価格の上昇につながっています。

さらに、最近では昨年の天候不順の影響で野菜や果実も値上がりしています。
このように、ロシアのウクライナ侵攻への経済制裁以外にもさまざまな要因があり、多くの商品が値上がりしているわけです。ロシアとウクライナで停戦交渉が合意することができれば、経済制裁は解除されるかもしれません。しかし、そのほかの要因はすぐに解消されるとは限りません。しばらくは価格の上昇が続くことを覚悟する必要がありそうです。

2.この時期だからこその値上げ対策を考えてみましょう

では、相次ぐ値上げに対して、私たちはどのように対処していけばよいでしょうか。家計簿をきちんと付けて支出をチェックする、ムダな買い物はしないようにする、など節約をする方法はいろいろとあります。もちろんそれも大切ですが、ここでは今の時期だからこそ考えたいポイントをご紹介しましょう。

  • ①支出はどのくらい増えていますか?
    携帯電話の通信料を除いた消費者物価の上昇率は、前年同期比で2.8~2.9%程度です。つまり3%前後であれば、家計の支出増はいたし方がないということです。もしこれが、10%程度も増えているようであれば、〝値上がり〟以外の要素で支出が増えていることになります。「値上げしているから仕方がない」と思っているうちに、いつの間にかムダ使いが増えている可能性があります。特にコロナ禍が落ち着き、外出がしやすくなっただけに、急に外食や行楽の支出が増えた人もいるのではないでしょうか。
  • ②ある程度の支出増なら、それほど心配ありません。
    家計の支出がある程度増えていたとしても、ことさら目くじらを立てることもありません。もちろん、仕事や収入の状況によってまちまちですが、平均的に見ると多くの人がコロナ禍の2年間で支出を抑えて貯蓄を増やしてきたからです。支出を抑えたのは、がんばって節約に励んできたからではなく、コロナ禍で外食や遠出ができなかったからです。感染対策で楽しみをがまんしていた頃とくらべて少し支出が増えたとしても、許せる範囲なのではないでしょうか。
  • ③それでも心配なら、今までの生活を続けましょう。
    無理して倹約に励むということをしなくても、今までのウィズ・コロナの生活を続けていけば、それ以前の家計に比べて、支出は抑えられるはずです。2年間の自粛生活によって、以前とは価値観も変化しているのではないでしょうか。外食や旅行などの支出を、コロナ禍前と同じ水準まで戻さないようにすればよいのです。

世界情勢の変化が、私たちの家計にも大きな影響を与えています。最近の相次ぐ値上げは、ロシアによるウクライナ侵攻だけでなく、いくつもの要因が重なって起きていますので、しばらく続くかもしれません。家計簿アプリなどを活用して支出を見える化し、値上がりで増える支出をどこかで吸収するようコントロールしましょう。しかし、コロナ禍によって結果的に変わってきた生活スタイルのおかげで、それほどの負担なく乗り越えていけるのではないでしょうか。

参考(2022年6月20日時点):総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)4月分」


この1年で貯蓄が増えました。みなさんも同じなのでしょうか。
なかなか貯蓄ができません。勤務先には社内預金も財形の制度もありません。何か良い方法があるでしょうか。
家計簿を続けるコツはありますか?今年こそは挫折しないようにしたいです!

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