リフォームのため、貯蓄が大きく減ってしまいます。自営業ですが、経営状態は良いとはいえません


内田 ふみ子先生 プロフィール
家計簿は、5年10年あるいはそれ以上先にある目的を達成するために有効なツールです。
ゴールを確認したらまず資金計画。今の貯蓄ペースで実現できるか、難しければやりくりできるかをチェックします。ゴールは一つとは限りません。今しなければならないことや、先のことでも大事なことなど、優先順位を考えながらアドバイスさせていただきます。

寺岩 佐知子さん(仮名)のご相談

将来のことを考えて、現在の住まいから、事務所ビルの一部を住居にするためリフォーム中です。その費用が思った以上にかかってしまいました。自営業で売り上げは低下しており、現在の給与が維持できるかわかりません。子どもたちは2人とも私立で、長女は県外の大学を志望しており、今後の生活のことを考えると不安です。今まで、家計費は使途ごと細かく分けで管理し、貯金は絶対に崩さないようにしてきました。老後のためには貯蓄性の高い保険に加入していますが、これからどのように生活を変え家計の支出を減らしていったら良いでしょうか。

寺岩 佐知子さん(仮名)のプロフィール

43歳。48歳のご主人と自営業を営む。17歳(私立高校)と14歳(私立中学)のお子さんとの4人家族。

・家計状況

月収(税金・社会保険料を除いた可処分所得)
 夫 370,000 円
 妻 160,000 円
月間支出
 住居費 なし
 水道光熱費 30,000 円
 電話代 5,000 円
 食費 90,000 円
 教育費 99,000 円
 教養娯楽費 10,000 円
 日用雑貨・被服費 10,000 円
 雑費 3,000 円
 その他の支出 113,000 円
 生命保険 11,000 円
 学資保険
(長男、満期300万円)
12,000 円
 積立貯蓄 96,000 円
 その他の貯蓄 160,000 円
年単位の支出
 固定資産税
(リフォーム後は未確定)
150,000 円
貯蓄残高
 預貯金
(リフォーム代2500万円 差し引き後)
9,200,000 円
 有価証券 130,000 円
 学資保険満期金
(長女分、払込完了)
3,000,000 円

<<希望・予定>>

  • リフォームは来月完了。費用約2500万円。
  • 長女は県外の大学を志望。
  • 長男はそのまま私立高校へ進学。
  • 妻は、今後の状況によっては他に働きにいく可能性もある。
  • 将来、親がひとりになったとき引き取るつもり。

<<住居>>

  • 持ち家

減収の可能性はお子さんたちとも話し、奨学金の利用など協力を求めましょう

ご主人も40代後半。そろそろ後半生のことを考える時期です。老後の住まいの確保は大事な課題。手元に資金もあるこの時期に、大きなリフォームをされたのは正解でしょう。当分の間、教育費の負担と減収の不安が残ります。基本的な生活費そのものは、切り詰める余地はあまり大きくありません。これから支出の多くを占める教育費を抑えることが対策としては有効でしょう。お子さんたちに奨学金の利用など、協力を求めてみてはいかがでしょうか。

収入が現状維持なら老後資金にも余裕がありますが、大幅減収になる場合は、進路の見直しも必要

自営業の家庭では、会社員家庭より経営状態が家計にも影響しやすくなります。その点、これまで家計管理がしっかりされていたのは大変良かったです。充分な貯蓄があり、大きなリフォームができたことは、老後に向けた準備のひとつととらえることができるでしょう。
今後、受験を控えて支出が増えたり、経営状況に不安がありますが、収入と教育費以外の支出が変わらないと想定した場合、今後の収支見通しは下記のようになります。(お子さんは2人とも県外の私立大学に進学するとします。)

夫の年齢 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59
長女の
教育費(万円)
120 460 260 260 260            
長男の
教育費(万円)
60 60 60 460 260 260 260      
年間
貯蓄額(万円)
307 -99 97 97 -3(学資保険300含む) 167 167 167 427 427 427
貯蓄残高 1527 1347 1534 1631 1628 1795 1962 2124 2552 2978 3405

※教育費は平成14年度学生生活費調査(文部科学省)等より算出表には、成人式等のイベントや、高額消費財の購入費用等は含んでいない。

自宅外の通学は、受験や入学時も費用がかかります。また仕送りも平均すると月10万円以上と、保護者の負担が重いのが実状です。
ただ、収入が現状維持の場合、上のお子さんが大学卒業までが厳しいものの、老後の準備もできるものと思われます。
一方、経営状態が芳しくなく、月2~3割の減収が続いたり、ご両親の介護などが必要になってくると、お子さんが独立するまでは、現在の貯蓄残高を割り込むことも考えられます。
収入が減るかもしれないことへの対処法としては、教育費を抑えることがもっとも効果のある方法です。しかし、たんに自宅から通える学校に志望を変更するのではなく、希望通り志望校に進学させて、奨学金の利用やアルバイトなどで支出を抑える方法もあります。これはお子さんたちが納得することが大切で、進学の目的をしっかり持たせることと、家計の状況にも理解を求めていきましょう。

新しくなった奨学金制度の利用を検討してみましょう

平成16年度から日本育英会は廃止され、国の奨学金制度は、独立行政法人日本学生支援機構が引き継いでいます。

チェック!日本学生支援機構

無利息と若干規定の緩い有利子の2種類があり、留学の場合の制度も新たに設けられました。
また、家計が急変したとき、緊急・応急採用のしくみもありますので、困った場合はまず学校に相談してください。
最近は大学独自の奨学金や教育ローンを扱うところも出てきていますので、進学希望先の制度も調べてみましょう。