リタイア後の社会保障の負担が増える ~即現金化できるお金を増やしておこう!~


即現金化できるお金を増やしておこう!

私たちのリタイア後の生活の質に大きく影響する社会保障(年金・医療・介護)が、これまで以上に変わります。国は社会保障の継続的維持を目指し、団塊の世代が75歳以上となる2025年(平成37年)を見据えたプランを検討し実行し始めました。早速26年4月に消費税8%引き上げ、公的年金額の0.7%減額が話題になっています。但し、4月分・5月分の公的年金が金融機関の口座に入金されるのは6月、高齢者施設入居者4月分の支払いが口座から引き落とされるのは5月です。

高齢者やその家族は制度が変わったときでなく、通帳に記帳された額をみて収入が減り支出が増える現実に驚き、預貯金などを取り崩す額が増えることに気づきます。少子高齢化が進み高齢者といえども、能力に応じた負担が求められる時代になりました。今回は高齢者の一番の関心事である介護関係についてお話ししましょう。

「少子高齢化」を言葉では知っていたけれど、まさか自分の老後の生活にこんなに影響するとは知らなかった。もっと早くから危機感を持って、心とお金の備えをしておけば良かった!


自分が介護必要になったら、自宅で介護を受けたい人が46%

介護保険サービス利用者も434万人と介護保険スタート時の約2.4倍に増えています(平成24年4月現在)。着々と増え続けるサービス利用者の受け皿が追いつかないのが現状です。また、要介護(要支援)の認定者数は約533万人、介護保険スタート時約218万人の2.44倍に増加、軽度の認定者数が多いのが特徴です。


【介護保険サービス利用者の推移】 (種類別平均受給者 件数 年度平均)
~平均23 年度は434万人で、11年間で約2.4倍に~

【介護保険サービス利用者の推移】(種類別平均受給者 件数 年度平均)~平均23
年度は434万人で、11年間で約2.4倍に~

資料:厚生労働省「介護保険サービス利用者の推移」
※1 ( )は各年度の構成比。
※2 各年度とも3月から2月サービス分の平均(但し、平成12年度については、4月から2月サービス分の平均)。
※3 平成18年度の地域密着型サービス、施設サービス間の重複利用がある。
※4 受給者は、居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス間の重複利用がある。
※東日本大震災の影響により、22年度の数値には福島県内5町1村の数値は含まれていない。
対前年度の数値は福島県内、福島県内5町1村を除いて比較している。


ときに統計は回答者の本音を引出します。自分に介護が必要になった場合、家族に依存せず生活できるような介護サービスがあれば自宅で介護を受けたい人が46%と、自宅で介護を受けたいと希望する人が約2分の1。一方、両親が介護を必要になった場合、自宅で家族の介護と外部の介護サービスを組み合わせて介護を受けさせたいが49%、自分と両親の場合では微妙な気持ちの差がでています。


【介護が必要になった場合の介護の希望】

介護が必要になった場合の介護の希望

資料:厚生労働省「介護が必要になった場合の介護の希望」


  家族に依存せず生活できるような介護サービスがあれば自宅で介護を受けたい 自宅で家族の介護と外部の介護サービスを組み合わせて介護を受けたい
自分が介護を受ける場合 46% 24%
両親を介護する場合 27% 49%

資料:厚生労働省「介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集」平成22年5月



特別養護老人ホーム待機者52.4万人に!
 ~ 入所要件が厳しくなる


特養の施設の前に行列ができている図

今後は高齢化の増加で介護保険のサービスの受け手がどんどん増えます。その割に特別養護老人ホームなどの施設の増加は見込めません。じわじわと負担の増加が迫っている理由です。現実に特別養護老人ホーム(以下特養)の待機者が前回統計時より約10万人増えました。定員は前回より約7万5,000人増えていますが需要に追いついていません。
民間の介護付き有料老人ホームに比べ、入所コストが安いのが最大の魅力の施設に入所できるハードルはますます厳しくなります。

    要介護1~2 要介護3~4 要介護5
平成21.12
集計
全体 17.8万人(34.1%) 12.6万人(24.1%) 21.9万人(41.8%) 52.4万人(100%)
うち在宅 10.7万人(20.4%) 6.6万人(12.7%) 8.7万人(16.5%) 26.0万人(49.6%)
平成26.3
集計
全体 7.7万人(18.2%) 5.4万人(12.9%) 17.9万人(42.4%) 42.1万人(100%)
うち在宅 7.7万人(18.2%) 5.4万人(12.9%) 6.7万人(16.0%) 19.9万人(47.2%)

気になる近い将来の負担税の主な見直しは以下のとおりです。(平成25年8月1日)

  1. 特養への新規入所者を原則要介護3以上とする。
    但し、止むを得ない事情により、特養以外での生活が困難な場合は特例的に認める。
  2. 介護サービスを受けたときの自己負担一律1割負担を一定以上所得者は2割とする。 被保険者の20%に該当する合計所得額160万円(年金収入のみなら280万円)以上予定。
  3. 食費・居住費は原則本人の負担だが要件により負担軽減あり。但し一定の預貯金などがある場合対象外。世帯分離していても配偶子が課税されていれば対象外。
    遺族・障害年金も判定に考慮する。

【自己負担2割とする水準】(単身で年金収入のみの場合)

介護が必要になった場合の介護の希望

※年金収入の場合:合計所得金額=年金収入額 – 公的年金等控除(基本的に120万円)


消費税が8%に引き上げられた場合の負担増のイメージ
 ~ 介護付き有料老人ホームの場合

もはや限られた人にしか特養に入所できません。多くの人は介護が必要となった場合、介護付有料老人ホーム等に入居することになります。その場合の負担増も深刻です。消費税が8%に引き上げられたのに伴い、介護サービス事業者の負担を抑えるための対応が取られています。介護給付には消費税がかかりませんが、代わりに基本単位数が増えます。以下は、介護サービスを施設内の従業員で対応しているA特定施設に入居しているBさんの場合です。


<例>介護保険自己負担額 概算比較 ~131円増
~要介護2 地域区分3級地 諸加算あり 30日分
  ~26年3月 26年4月~
1. 月利用単位数 19,580単位 ※1 19,700単位 ※2
2. 介護職員処遇改善加算単位 587単位
(19,580単位×3% ※3)
591単位
(19,700単位×3%)
介護報酬総額(1+2)×10.54円 ※4 212,560円 213,867円
介護保険負担金額・1割 21,256円 21,387円
左表は、あくまで標準世帯。現実とは少し異なるよ。

※1 要介護2の単位628×30日+加算単位22×30日+加算80×1月
※2 要介護2の単位632×30日+加算単位22×30日+加算80×1月  各加算変更なし
※3 加算単位は月利用単位数×3%と決まっている。
※4 地域単価

以上は、介護サービス利用分です。今後は所得等が多い人は2割負担になる予定です。
月額利用料は他に家賃・食費・管理費・オムツや他の生活サポート代、日常生活費も必要となります。家賃とオムツ以外は消費税がかかります。入居時に想定していなかった消費税8%、平成27年10月には10%が予定されています。ちなみにBさんが施設に支払う4月分の月額利用料は約5,300円増、年63,600円増と相当厳しいです


税金・年金・介護・医療など制度は変わる
 ~ 柔軟に対応するには現金も大切

誰しも希望どおり長生きで元気に暮らし、持っているお金をきれいに使い切って人生の幕を閉じることができたら最高ですが、世の中そううまく行きません。特に制度がめまぐるしく変わる昨今では尚更です。だからこそ、制度のしくみを理解しつつゆとりのある資金計画が生きてくるのです。今後、高齢期の主な収入である公的年金収入の増加があまり期待されない今だからこそ、シビアな資金づくりがより求まられます。


変化に即対応できるよう、ゆとりを持って現預金をプールしておこう!


例えば、資産がたくさんある人が持ち金のほとんどで、相続税が変わるからと賃貸不動産を購入しても入居者が減れば、収入が減りローンの支払が大変です。将来は子に面倒をみてもらう心づもりで現金を毎年子どもに贈与したのに、子どもが先に亡くなれば贈与した分は子の妻と孫にいくだけです。

医療や介護などの保険料は恒常的収入(老後は主に年金収入)で決まります。今後退職金は一時金でいただく割合を多くする考え方も、退職所得控除等考慮すると有利になりそうです。くれぐれも単に長く生きたと仮定した受給総額だけで判断はしないことです。
資産のある人が自分の資産を減らし相続財産を減らす目的なら、一時払い終身保険の加入を検討してもいいでしょう。これまでも制度は変わっていましたが、今ほど変わることはありませんでした。未だ経験したことのない過度期の今こそ、何のためにどんな対策をするのか見極めた上で、何が起ころうと即換金できるゆとり預貯金などをある程度積立てておきましょう。