特別定額給付金や持続化給付金、小学校休業等対応支援金に税金はかかりますか?扶養からはずれることはありますか?


今回、回答いただく先生は…
村井 英一先生(むらい えいいち) プロフィール
  • 非課税の給付金と課税対象になる給付金があります。
  • 課税対象の給付金で所得が増えると税金が増える可能性があります。
  • 社会保険では一時的な所得は扶養の判断基準から除外します。

  山口 薫さん(仮名 35歳 デザイナー)のご相談

私はフリーランスのデザイナーで、夫の扶養の範囲内で仕事をしています。新型コロナの影響で仕事を抑えたり、依頼が減ったりで収入は減少しました。しかし、特別定額給付金や持続化給付金、小学校休業等対応支援金をもらったら、逆に今までの収入を上回ってしまいました。国から支給されるお金にも税金はかかるのでしょうか?このままでは夫の扶養からはずれてしまいそうですが、救済策はないのですか?

山口 薫さん(仮名)のプロフィール

家族構成
家族 年齢 年間収入
ご相談者 山口 薫さん 35歳(フリーデザイナー)
38歳(会社員) 年収480万円
長男 9歳(小学3年生)
長女 7歳(小学1年生)

<ご相談者の収入の状況>

昨年の実績 今年度の見込み
売上 120万円 60万円
経費 20万円 20万円

<今年受け取ったコロナ関連の給付金等>

  • 特別定額給付金:10万円
  • 小学校休業等対応支援金:9万4,300円(=4,100円×23日)
  • 持続化給付金:82万5,000円

持続化給付金や小学校休業等対応支援金は課税の対象になりますが、健康保険などの社会保険では判断基準になる収入に含めません。

1.山口様ご自身は課税対象になりますが、ご主人様の税額には影響しません。

山口様、こんにちは。
新型コロナの影響で売上は大きく減少しましたが、特別定額給付金と小学校休業等対応支援金、持続化給付金の3つを受け取ると、昨年の収入を上回る形になりました。もともと、ご主人の扶養の範囲ぎりぎりの収入だっただけに、給付金を受け取ったために扶養をはずれてしまうのかが心配になりますね。
扶養〟というのは、税金と社会保険では扱いが異なりますので、それぞれ別々に確認する必要があります。まずは税金の扱いから見ていきましょう。

新型コロナにともない国から支給される給付金などは、所得税や住民税の課税対象になるものと、非課税のものがあります。主なものでは、以下のようになります。

新型コロナ関連の給付金などの税務上の扱い

課税対象 小学校休業等対応支援金・助成金
持続化給付金
家賃支援給付金
非課税 特別定額給付金
子育て世帯への臨時特別給付金
低所得ひとり親世帯への臨時特別給付金
学生支援緊急給付金
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

山口様の場合は、小学校休業等対応支援金と持続化給付金が課税の対象になります。
売上から経費を引いた40万円に、小学校休業等対応支援金9万4,300円と事業化給付金82万5,000円を加えると131万9,300円となります。そこから青色申告特別控除を引いた金額が事業所得となります。事業所得または不動産所得で正規の簿記帳簿を記帳している人の青色申告特別控除は、今年(令和2年)から55万円となりましたが、e-taxによる電子申告をすると65万円です(それ以外の青色申告特別控除は10万円です)。山口様の青色申告特別控除を65万円とすると、事業所得は66万9,300円となります。
他に所得がなければ、ここから基礎控除48万円(今年から48万円となりました)を差し引いた18万9,300円が所得税の課税対象となります(他に所得控除がない場合)。昨年までは青色申告をすることで実際の課税はありませんでしたが、今年度は納税が必要になりそうです。住民税も課税の対象になります。

(60万円-20万円)+9万4,300円+82万5,000円-65万円=66万9,300円‥事業所得
66万9,300円-48万円=18万9,300円‥課税総所得(他に所得及び所得控除がない場合)

今までは、ご主人様には配偶者控除が適用されていました。配偶者の所得によって控除額は小さくなりますが、配偶者の合計所得金額が95万円までは控除額が同じですので、これによってご主人様の税額が増えることはありません

2.社会保険の扶養では、新型コロナ対策の給付金は除外します

次に、健康保険や国民年金などの社会保険の扱いについて見てみます。山口様は現在、ご主人様の扶養になっており、社会保険料の支払いは必要ありません。しかし、扶養からはずれると、ご自身が市区町村の国民健康保険に加入し、国民健康保険料と国民年金保険料の支払いが必要になります。
一般に、年収が130万円未満で被保険者(ご主人様)の年収の半分以下であれば、その扶養とされます。年収の半分を超えている場合でも、被保険者が生計の中心であれば扶養されていると認められます。いずれの場合でも年収130万円を超えると扶養からはずれますが、健康保険組合によっては月ごとに判定し、月額10万8,334円を超えた月が3ヶ月以上続くと対象外とするところもあります。

さて、新型コロナ対策による国からの給付金などは申請した際に1回だけ給付されるもので、毎月恒常的に入ってくる収入ではありません。このような一時的な収入は年収130万円の計算には含めません。よって、山口様の場合も事業収入などの恒常的な収入が年額130万円(月額10万8,334円)を超えない限り、このままご主人様の扶養からはずれることはないでしょう。念のため、健康保険組合または管轄の年金事務所(協会けんぽに加入の場合)に問い合わせるとよいでしょう。

このように、税金と社会保険では、〝扶養〟の扱いが異なり、そのためにコロナ関連の給付金などの影響が違ってきます。税金では、売上から経費を引いた所得に課税対象になる給付金等を加えます。その金額が青色申告特別控除額(10万円または55万円、65万円)や所得控除額(基礎控除だけであれば48万円)を超えてくると、所得税や住民税がかかります。さらに、その金額が95万円を超えてくると、扶養している配偶者の税額にも影響します。一方、社会保険ではこれらの給付金等は一時的な収入として扶養を判断する年収には含めません。そのため、基本的には扶養からはずれることはありません。


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