将来のライフプランが漠然としていて不安です。 目的も無く計画的な貯蓄などできるのでしょうか?


将来のライフプランが漠然としていて不安です。
目的も無く計画的な貯蓄などできるのでしょうか?

井上 信一先生 (いのうえ しんいち) プロフィール
  • お金を貯めるという行為は、お金を使うという行為の裏返しです
  • 貯め上手な人は、使い上手な人です
  • 数十年先を描くより、今は数カ月先、数年先を描きましょう

川合 奈津子さん(仮名 24歳 会社員)のご相談

よく職場の上司に、「若いうちからライフプランをしっかり考えておきなさい」と助言を頂くのですが、いまひとつピンときません。先行き不透明な世の中であることは理解していますし、それなりに将来に不安感も抱いています。要は「計画的に貯蓄をしなさい」ということなのだと思いますが、まだ独身で将来のプランが漠然としており、貯蓄の目的を明確に持つことができないのです。今はどのような生活を心掛ければ良いのでしょうか。

川合 奈津子さん(仮名 24歳 会社員)のプロフィール

収入 : 年収で約350万円
貯蓄 : 年間18万円 預貯金の額は約100万円
住居形態 : 賃貸マンション(家賃 月6万円)
その他 : 車の保有はなし

意味あるお金の使い方を習慣にすれば
無理なく計画的に貯蓄できるようになります。

川合様、こんにちは。
ライフプランが必要とわかってはいても、遠い将来までをイメージし、計画を立てていくのは中々大変なことです。全てが未知数の独身の方であれば、尚更のことでしょう。
ならば、今の生活に取り入れていけることを考えられ、今の生活をベターなものとなるよう心掛けてみてはいかがでしょうか。

やみくもに貯めるよりも意味のあるお金の使い方を

川合様は収入の中から少しずつでも貯蓄を行っていますね。とても素晴らしいことだと思います。既に貯蓄の習慣は身についているようですので、是非これからも継続して下さい。
ですが、それと同じか、むしろもっと大切なことは、意味のあるお金の使い方を意識することです。

―――お金とは使うためにあるものです。
そして貯蓄とは、将来使う時のために今使わずにとっておく作業に過ぎません。
使う目的(使途)が、そのまま貯蓄の目的なのです。何も、老後の生活や子どもの教育費やマイホーム購入資金といった、まだ具体的にイメージの湧かないことを計画しなければいけない訳ではありません。

例えば、思い立って欧州に旅行に行きたいと思ったとしましょう・・・。
そのための費用を、その時たまたま貯まっていた貯蓄から引き出すのではなく、ましてや、クレジットカードを切るのでもなく、少し我慢し、本やインターネット等で旅行プランを練りながらでも、旅費として収入の中から少しずつとっておくことを行ってみて下さい。
もし、旅行が2年後でも良いのなら月に1万円もあれば充分かもしれません。
1年後であれば倍の金額は必要となるでしょう。
でも、貯まるまではそれを叶えないよう、自分にルールを課してみましょう。

そうして毎月取り分けたお金は、その月内に使うわけではありませんが、少し先に時間軸を移しただけの出費であり、同時に、積立期間1年間の目的のある立派な貯蓄といえます。そして、ほんの少しだけでも先を見越して、「意味のあるお金の使い方をした」、といえるのです。

時間軸がもっと短い場合も同じです。
例えば、カメラやちょっとした家具を欲しいと思った時、たまには自分へのご褒美にと、心から美味しいと思えるディナーやエステに行きたいと思った時、それが数カ月先であれ、ほんの数週間先であれ、思い立った時にお金を出すのではなく、いったん収入やお財布の中から、できれば数回に分けてお金を別けて取っておく、そういう使い方の癖をつけるのです。
いつしかその癖は、目的ある貯蓄をおこなうための習慣となるはずです。

貯蓄と支出は、実は表裏の関係。
貯め上手な人は、得てしてお金の使い方が上手な人です。
使い上手とは、その使う意味や価値に応じてメリハリをつけ、使ったコトや買ったモノが、ずっと心に残るような使い方を心掛ける人だといえます。
逆に、使った時は“安いはず”と思った出費であっても、心や記憶に残らない支出の多い方は、その出費は“家計における使途不明金=ムダな支出”になってしまいます。

1本100円のボールペンを買った時の記憶や、買ったお店を覚えていますか?
そのボールペンをどこかに置き忘れたり紛失してしまったりしたことはありませんか?
でも1万円のボールペンならどうでしょうか?
購入した時のドキドキ感や、使うたびに味わう昂揚感は、ずっと続くものです。
これは例えのひとつに過ぎませんが、食事でも旅行でも、およそすべての出費に対して同じことがいえます。そういうお金の使い方が、心に残る使い方といえるのです。

人は、いきなり30年先や40年先のことを想像できるものではありません。
しかし、徐々に慣れていくことはできます。

まずは、数週間先の月末のお金の使いみちから考え、数カ月先、数年先と、次第に使う時までのスパンを伸ばしていけばよいのです。

確実にいえることですが、真に40年先の老後をイメージして貯蓄のできる人は、1ヵ月先の、一点豪華主義の美味しい食事のために貯蓄のできる人、といっても良いのかもしれません。

それでもお金の使いみちを見いだせない場合は?

無理矢理にお金を使うことに心労をかける必要はありません。
とりあえずは、2年先くらいを目標においてみましょう。
まず、この1年間は毎月、無理のないと思われる金額を新たな積立にまわします。
1年後、貯まったお金は1年満期の定期預金等に預けてみましょう。

【図表1】 教育資金、住宅資金、老後のための貯蓄も、この“ひし形積立”の応用



この際、低金利でも一向にかまいません。
そして、同じことを毎年繰り返してみましょう。
すると最初の満期は2年後。
満期に得たお金を、その時の臨時収入と捉えて、使いたいことのために、あまり深く考えず思い切って使ってみてはいかがでしょうか。いざ、使ってしまえば、いろいろと反省点や思い返えされることも出てくるもの。次の臨時収入は、その1年後にまたやってきます。前年の反省も踏まえ、今度はもう一年、貯蓄として据え置くことを選ぶかもしれません。

実はこの方法は、老後生活資金を最も効率よく準備するための“ひし形積立”に応用できます。
老後は、殆どの場合でまとまったお金が一時に必要になることはなく、年金だけでは不足しがちな定期的な収入を得る仕組みをつくることが要となります。
仮に“老後”と捉える時期が今から41年後の65歳とした場合、今年1年間で積み立てたお金を、40年後の65歳時の臨時収入に充てられるよう、40年満期でお金を運用します。来年も、その翌年もずっと同じことを続けていけば、66歳以降も毎年、運用の満期を迎え、まるで定期収入のように老後生活資金に充てることができるのです。
こうした、ほんの2年後に満期を迎える臨時収入をつくるしくみが癖になれば、誰にでも共通する、ライフプラン上で最も重大な資金形成の習慣を早期に身につけることができるのです。

先ほど述べたことの裏返しですが、1か月後の、出費(一点豪華主義の美味しい食事など)のために貯蓄のできない人は、きちんと40年先の老後をイメージして貯蓄をすることはできません。この先、とても大事となる貯蓄(=お金の使い方)を、自分の習慣となるよう経験を積んでおくことは、今からでもできるのです。

いまは必要となる時の助走期間です

この先、川合様が結婚をされ、子供を授かり、マイホームを持ちたいと思う時が来て、やがて老後生活を迎えるときが来たら、どのように今の時期を振り返るのか、それは、人生の諸先輩方が語って下さっています。
皆、一様に感じるのが、「あの頃が、一番お金を貯められたはずの時だった」と。

【図表2】 独身~老後までの貯蓄ライフプラン



繰り返しになりますが、“お金を貯める”という行為は、“お金を使う”という行為の裏返しです。ほんの些細な、ほんの少しだけ先の出費に対してでも、“意味がある”、“満足できる”、“心に残る”といったお金の使い方の習慣を今身につけておくと、必ずや将来に役に立つはずです。

今はその時のために、“本当に価値のあるお金の使い方”を、ほんの1カ月先や1年先の使い方だけを考えていても結構です。来るべき人生の節目を迎えたとき、そのような習慣を積み重ねてきた方は、必ずや、“本当の意味でのライフプラン”を描くことができるはずです。
今は、そのための助走期間に過ぎません。

逆に、昨今よく見聞きする、“賢い家計”のためのテクニックを弄するだけの方、ある時期での生命保険の見直しや住宅ローンの見直し、節約や運用などを一朝一夕で家計に取り入れた方は、まず間違いなく、次の壁に当たります

“お金に好かれる方”、
“お金の貯め上手な方”、
そして“人生設計を本当の意味で描ける方”とは、
お金を上手に、心に残るように、使える方” なのです。

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