第5回:大学生とクレジットカード


クレジットカードを持つ大学生は、90年代前半までは少数派でしたが、最近ではインターネットショッピングの普及に伴い、学生の間でも広く普及しつつあります。また、クレジットカード会社も学生向けに、年会費無料のカードやポイント還元がつくものなど、さまざまなカードを発行しています。クレジットカードは現金を持たずに買い物ができるためとても便利なのですが、その反面、使い方を間違えると金銭感覚が狂いかねないなど、様々な難しい問題も抱えています。そこで今回は「クレジットカードと大学生」というテーマでお話したいと思います。

学生へのクレジットカード普及率は上昇傾向

学生のクレジットカード保有率・利用率が上昇しており、とくに2003~2005年にかけて上昇しているのがわかります。近年では、例えばインターネットプロバイダと契約をする際や、インターネットショッピングなどにおいてはクレジットカード決済が増えてきており、また海外旅行に行く際には身分証明書として提示を求められることも多いため、学生の間でも利用が広がりつつあります。学生用カードの中には年会費が無料のものやポイント還元が得られるもの、また国内外の旅行保険が付帯されているものも多く出ています。

一方、クレジットカード会社にもメリットがあります。学生が卒業して社会人に出た際に、学生から使っているカードをそのまま切り替えてもらえれば、将来の会員増に繋がります。そのため、クレジットカード会社側としても学生向けカードに力を入れているのです。

クレジットカードの危険性を認識する

しかし、クレジットカードは学生にとっても大変便利である反面、気をつけなければならない点も多いのが実情です。
以下の3点が主なポイントです。

(1)金銭感覚が狂いやすい

現金をその場でもっていなくても、クレジットカードでモノが買えてしまうということですから、しっかりと管理をしないと使いすぎてしまう可能性があります。現金払いであれば、自分の財布にいくらお金が入っているかを気にする必要がありますが、クレジットカードの場合は後払いの仕組みですので、自分がきづかないうちにたくさん使ってしまうと、後で請求書が送られてきて困ってしまうということにもなりかねません。収入が少ない、或いは全くない学生にとっては、一定の収入がある社会人と比較しても金銭感覚をつかみにくいため、分割払いやリボ払い、キャッシングなどの安易な利用はルーズな管理へと繋がっていきやすいので注意が必要です。

(2)クレジットカード詐欺や偽造に巻き込まれやすい

クレジットカードによる被害は年々増加しており、例えば、クレジットカード自体は盗まれていなくても、カード番号や有効期限がわかると、悪意のある人がなりすまして商品を勝手に購入するということがありえます。また、クレジットカードの情報を特殊な機械で読み取り、偽造するという事件も相次いでいます。また最近では、銀行等企業からのメールを装い、実在する企業の偽ホームページにアクセスさせて、そのページにおいてクレジットカード番号やID、パスワード等を入力させるなどして不正に個人情報を入手しようとする、「フィッシング詐欺」も深刻な問題となっています。

(3)自分の個人情報が漏洩する可能性がある

インターネットショッピング等において、クレジットカード番号を含めた個人情報を入力した際、販売事業者側に悪意があると、その個人情報を第3者に売られてしまい、自分とは関係のない人に住所や電話番号、生年月日なども含まれた個人情報が渡る恐れがあります。

このように、クレジットカードに潜む危険性はたくさんあり、このことを使う前にしっかりと認識しておくことが必要です。

クレジットカードによる危険から身を守るためには?

では、学生がクレジットカードを使用するにあたり、どんなことに気をつけておかなければならないのでしょうか。以下に主な3点のポイントを挙げておきます。

(1)カードで支払った領収書は必ず残しておく

自分が何に支払ったのかについては把握するということは大切なことです。クレジットカードで一番怖いのは、「何に支払ったか覚えていない」ということですので、将来的に金銭感覚を身につける上でも、必ず実行しましょう。また領収書を保管しておくことで、身に覚えのない請求かどうかをチェックすることができます。ネットショッピングなどで領収書がもらえない場合は、証拠となるメールや画面コピーなどを保存しておきましょう。万が一身に覚えのない請求が来た場合、クレジットカード会社に電話を入れ、警察に届出を行えば、不正使用から60日以内のものについてはカード会社が補填してくれるため、被害を防ぐことができます。

(2)カードの支払い方法には充分に注意する

カード払いには大きく分けて「一括払い」「分割払い」「リボ払い」の3つがあります。

一括払いの場合は、カード会社が立て替えた請求を1~2ヶ月後ぐらいに支払う方法ですが、手数料や利子がかからないため、こちらの支払い方法がベストでしょう。分割払いの場合は、2回払いまでであれば、同じく手数料や利子がかかりませんが、3回以降は手数料がかかります。また、回数が多くなればそれだけ支払う手数料も多くなります。

そして、最後にもっとも注意をしなければならないのがリボ払いです。リボ払いとは、カードの利用金額や回数に関わらず、毎月自分で決めたある一定の額を支払っていく方法です。高価なものがたくさんあるけど月々払える額がある一定の額に限られている、という場合に有効な支払い方法なのですが、手数料が年利で大体15%前後と高いのです。リボ払いを使っている人でも、これだけ多くの手数料を取られていることを知らない人も多く、自分で管理できていないと取り返しのつかないことになってしまいかねず、充分な注意が必要です。

支払方法を分割払いもしくはリボ払いにする際には、支払方法とその特徴を予めよく理解するようにしましょう。

(3)クレジットカードに対する安全対策を忘れずに

以下の4点が主に注意すべきポイントです。

  • クレジットカードを受け取ったらすぐに裏面にサインをする。
  • 暗証番号は他の人が容易にわからない番号にする。
  • ICチップを搭載したクレジットカードを選ぶ
  • 怪しいと思われるサイトでのクレジット購入は極力避ける

まず、クレジットカードの裏面へのサインについては意外と忘れている人も多いのですが、これを怠ると、ほかの人に使用されてしまう可能性があります。またお店によってはサインがない場合は支払いに応じてくれないところもあるので注意が必要です。

次に、暗証番号については自分の誕生日や電話番号などと同じにしないようにしましょう。こちらも、誰かに使われないように防ぐ上で大事なポイントです。3点目に、ICチップ搭載のカードについては、偽造されにくくセキュリティが強固であるという特徴があるからです。最後の怪しいサイトへのアクセスを避けるという点においては、自らの個人情報漏洩を未然に防ぐという観点から有効です。

学生向けクレジットカードは親の信用であることを忘れずに

クレジットカードは所持者の信用を元に発行されるものであり、発行前に必ず事前に審査があります。そのため、収入がなければ通常は審査がおりません。それにも関わらず、学生がクレジットカードを発行できるのは、「親の同意」があるからであり、つまり「親の信用」によりクレジットカードが発行されているということなのです。したがって、親の責任においてカードが発行されている以上、カードの使い方や注意点をしっかりと子供に教えるのは親の大事な役割であるということも言えるのではないでしょうか。

学生になると親元を離れ、開放的な気分になる学生も多くいらっしゃるかと思いますが、お金の管理をしっかりと身につけないと後々困るのは子供たち自身です。クレジットカードは便利なものである一方、知らないと危険なことも多いということも事実です。

子供にカードを持たせるときには、気をつけるべき点を予め子供とよく話し合い、カードを使用する子供自らがその特徴をよく理解した上で、充実した学生生活に役立てて欲しいものです。

執筆:坂本光(さかもと ひかる)CFP
一級ファイナンシャルプランナー・CFP®、心理カウンセラー。2006年5月週末起業を決意し、通信事業者に勤務しながら合同会社FPアウトソーシング代表を務める。ファイナンシャルプランニングに関する個別相談・セミナー講師としても活動中。

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