国語力の低下は若者だけの問題ではない~コミュニケーション不足が老後に一気に表面化~


先日、日本の若者(高校1年相当学年が対象)の読解力低下を嘆く統計が掲載されていました(経済協力開発機構 OECD 2019年12月3日 公表)。本が売れない・新聞購読者が減少している昨今。結果に驚きはありませんが、改めて日本の未来に対する危機感を感じさせられました。読解力低下はコミュニケーション能力の低下にも関係するからです。
統計から浮き彫りになった結果は若者だけでなく現在の高齢者にも重なり、高齢者の未来の姿を暗示しています。

豊かな老後を送るには、益々意識改革が求められそうです。今回は、既に熟年の私が家庭や仕事や地域の仲間との生活を通して感じた事例を交えてお話したいと思います。
若者も生存していればやがては中高齢者。自分の未来像と親等の顔が頭をよぎった人へのメッセージとなれば嬉しい限りです。
前回2015年調査からコンピュータ使用調査に移行。

日本における読解力の平均得点の国際比較

日本の読解力の順位は、前回8位から2018年は15位へと急落。他国に比べ低下が著しいです。読解力の問題で正答率が低い理由と、課題について以下の3つがあがっています。

  1. テキストから情報を探すことができない。
  2. テキストの質と信憑性を評価することができない。
  3. 自分の考えを他者に伝わるように根拠を示して説明することができない。

また、生徒質問調査から、「読書は、大好きな趣味の1つだ」と答えた生徒ほど読解力の得点が高い傾向にあることがわかっています。
参加国数等は31(2000年)から77(2018年)に増加。ちなみに2018年の数学的リテラシーは6位、科学的リテラシー5位と、引き続きトップレベルです。

全参加国・地域 (79か国・地域)における比較 (2018年)
順位 ( )※1 参加国・地域 平均得点
1 ( 27 ) 北京・上海・江蘇・浙江 555
2 ( 1 ) シンガポール 549
3 ( 12 ) マカオ 525
4 ( 2 ) 香港 524
5 ( 6 ) エストニア 523
6 ( 3 ) カナダ 520
7 ( 4 ) フインランド 520
8 ( 5 ) アイルランド 518
9 ( 7 ) 韓国 514
15 ( 8 ) 日本 504

※1 ( )内は2015年順位
※2 2015年は北京・上海・江蘇・広東で参加 平均得点は、2018年 487点/2015年 493点 経済協力開発機構 OECD 2019年12月3日 公表

セミナー受講で感じたこと 

私はいろんな人のセミナーを受講するのが大好きです。専門知識を深める目的もありますが、私の思いつかない切り口・視点の話が聞けたときや、声のトーンや話し方から講師の素敵な人柄が伝わってくると、とくに受講に熱が入ります。
セミナーの目的は知識の伝達だけではありません。主催者が求めていることを理解し、受講対象者の年齢、環境等も確認したうえで、難しいことを受講者に分かりやすく伝えようとするといった態度(気持ち)も、講師に必要なコミュニケーション能力です。

先日参加した1時間ほどのセミナーでも、そんなイキイキ講師にお会いしました。福祉の現場や複雑な状況について自分の言葉で分かりやすく説明し、困っている人の役に立ちたいと言う気持ちが伝わってくるセミナーでした。お話を聞いて終了でなく、受講生の気持ちの整理や次の行動に繋がるセミナーがベストです。とは言え、実際にセミナーをする身として上記の実践は、自分をさらけ出すこともあり、私なども毎回反省の連続ですが・・・。

行間を読みとり、全体を読みとって判断批評ができるか

仕事では多くの人と会話を交わしているし、老後も不安はないという人がいますが、意外と業務上の連絡事項の「伝達」や、自分のことだけ話していることが多いのです。現役時代は子育てや仕事、家庭のことなど職場・地域・夫婦等で役割分担して動くのに忙しく、コミュニケーション不足によって、お互いの間に溝が出来ていても、気付かず過ごしてしまいがちです。

一方、時間がたっぷりある定年退職後の、地域や家庭でのトラブルを避けるには、些細なことを話題にして「会話を交わせるか」が幸せ度の決め手になりそうです。ニュースの話、家族や夫婦の共通の趣味などを話題にでき、相手の話しをじっくり聞いて次の会話を引き出せるか。相手や話題に興味を持たないと会話が続きません。要は一緒にいて互いに心地良い関係と環境づくりの必要性に気づいたら、コミュニケーション能力磨きに本腰を入れましょう。

読解力を磨くには新聞(ネット上の文含)や本を読む、文を書くことが役立つと知られています。しかし、本当に大切なことは、活字になった内容を自分で判断できる批評力をつけることです。なぜなら、活字になったものが全て正しいとは限らないからです。取りあえず好きなジャンルからでいいので、多読することも必要でしょう。

私は推理小説好きですが、他のジャンルも気楽に手に取って読む日々です。活字好きになれば様々な情報も得られますし、興味を持てば深掘りも可能です。一例ではありますが、私は、「自立とは」から臨床心理学者・河合隼雄 氏の以下の持論にたどりつきました。

「自分で独立してたった上でお互いに認め合って繋がるのが自立」。親子でも夫婦でもしんどいと思ったところからお互いの関係を変えていく努力が大切。

私流に付け加えるなら、その潤滑油(手法)となるのが、コミュニケーション能力(相手を思いやる気持ち)と言うことでしょうか。これは努力する甲斐がありそうですね。
「自立」とは、成年になることや経済力を身につけることだけではないのです。しかし、現実は1ヵ月に読む雑誌の量は、以下の通り、年代に関係なく60%以上が0冊。ちなみに電子書籍は70%以上が0冊と寂しい限りです。

1ヵ月に読む雑誌の量は年代に関係なく60%以上が0冊
国立青少年教育振興機構 2019年12月23日公表

「読書習慣」を身につけ勘違いを減らして生き方上手に・・・

よくあるのが、相手が反論しないから賛成なのだと解釈することです。言っても無駄と思い、何も言わなかっただけかも知れません。我が家の場合、私が気になったことを何度も話題に上げることでサインを送っても、鈍感な夫は何にイライラしているか気づかず無力感が募りました。今思えば一方的に話すだけでお互いを理解しあえる程、話し合えていなかったのでしょう。親子・夫婦間で起こる、介護に関するトラブル・事件などのニュースに触れるたび、当事者の心情を思うと人ごととは思えません。

受けたアドバイスを生かせるかもポイント。他者からのアドバイスは本人にとって聞きたくないことが大半ですが、言われる理由があるのだと理解し、同じ失敗を繰り返さないよう学習能力を磨くことも大切です。例えば、「まず人の話を聞け」と上から目線で言われたことを怒る前に、話しを遮ったり、理論でやり込めたりしていないか振り返る。話しを聞いてから判断する必要があると気づく謙虚さと、アドバイスを受け止めて次に繋ぐ努力が大事です。

最近は作家が小説を書きにくくなったと、言われています。例えば、携帯がなかった頃は、好きな人に電話をしたいけど、親がでたらどうしようと、どきどきしつつ電話をした経験がある人もいるでしょう。そんな時代は男女のすれ違いの切ない恋愛小説も成立し、行間を読み取る力を養ってくれたものです。今は、携帯・スマホの普及で便利さを得たのと引き替えに、大事なことを失った気もします。家族や配偶者、他者と快適に暮らすために、長くなる老後を見据え、行間を読み取るといった心の機微を養う必要性と、手法の気づきと実践が、今求められているのですね。

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