令和2年度の年金額は昨年度より0.2%のプラス改定だが・・・~我が身に関係する年金のこと、読み流さないで欲しい~

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令和2年(2020年)度の年金額が厚生労働省から発表されました(令和2年1月24日)。
昨年度より0.2%増えましたが、厚生年金(モデル)世帯の令和元年(2019年)度年金額が昨年度発表された金額と異なっていました。年金相談などを仕事とする身としては、気になる数字なので、改めて厚生労働省のホームページで確認したところ、昨年度発表の金額とやはり違っています。

これは一大事!何故なら年金相談の現場で男女問わず多い「ところで他の人たちはいくらくらい受給しているの?」という質問に対し、分かりやすいため、このモデル世帯の年金額を使って私は説明しているからです。実際の受給額の平均は、性別・厚生年金の加入期間・報酬等で異なり、自分の受給額と対比しにくいということもあります。ただし、標準的な世帯(モデル世帯)の年金額なので少し高めということは一言添えています。また、私は気になることがあると眠れなくなるタイプなので、睡眠不足解消のためにも調べてみました。

不思議なのは、令和2年度発表の厚生年金世帯の年金額が、修正した前年度の金額を元にして年金額を0.2%増と示している点です。マスコミや年金冊子、厚生労働省等も事前に一言も触れていません。そんな訳で今回は、ちょっと複雑ですが、発表された年金額の計算をしてみました。

異なっていた年金額~厚生労働省発表

2019年度の年金額(2019年1月18日発表)は前年度より0.1%増の改定、厚生年金世帯の年金額は221,277円が221,504円(+227円)と0.1%増になっています。

2019年度の新規裁定者(67歳以下)の年金月額の例 2019年1月18日発表
2018年度 2019年度
老齢基礎年金(満額)1人分 64,941円 65,008円
厚生年金※
(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)
221,277円 221,504円 ①

※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含月額換算))42.8万円で、40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準。

2020年度の年金額(2020年1月24日発表)は前年度より0.2%プラスの改定、厚生年金世帯の年金額は220,266円が220,724円と確かに0.2%増になっています。しかし、よく見ると2019年度の金額が221,504円から220,266円に減額されているのが分かります。
金額が修正された理由は、財政再計算が5年に1度(平成26年と31年)あり、前年度の再評価率が変更になったからとのこと。確かに年金の計算は複雑でわかりにくいのですが、前年度の流れを踏まえるなら、一言入れる等何らかの説明があるべきだと思うのですが・・・。

2020年度の新規裁定者(67歳以下)の年金月額の例 2020年1月24日
2019年度 2020年度
老齢基礎年金(満額)1人分 65,008円 65,141円
厚生年金※
(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)
220,266円 ③ 220,724円 ②

※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含月額換算))43.9万円で、40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準。(43.9万円は438,860円で計算とのこと)

厚生年金世帯の年金額を計算してみました

  1. ①221,504円
    • 夫の厚生年金(報酬比例部分)の年金月額
      平均標準報酬428,000円×(前年度の再評価率0.974×1.001を0.975で計算する)×5.481/1000×480月=1,097,866円(年) (月91,488円)
    • 世帯の年金月額=夫婦2人の国民年金(65,008円×2)+夫の厚生年金91,488円=221,504円
  2. ②220,724円
    • 夫の厚生年金(報酬比例部分)の年金月額
      平均標準報酬438,860円×(前年度の再評価率0.938×1.002を0.940で計算する)×5.481/1000×480月=1,085,313円(年) (月90,442円)
    • 世帯の年金月額=夫婦2人の国民年金(65,141円×2)+夫の厚生年金90,442円=220,724円
  3. ③220,266円
    • 夫の厚生年金(報酬比例部分)の年金月額
      平均標準報酬438,860円×(前年度の再評価率0.938)×5.481/1000×480月=1,083,004円(年) (月90,250円)
    • 世帯の年金月額=夫婦2人の国民年金(65,008円×2)+夫の厚生年金90,250円=220,266円

分からないと不安が増すばかりですが、数字の根拠が分かり、少し安堵しました。今回は少し専門的なものでしたが、日常生活においてちょっと変だな?と気付く感覚が大切だと実感した次第です。

厚生年金に加入した標準的(モデル)世帯・年金月額のイメージ~2020年度~

国民年金のみの世帯

実際の(老齢)年金受給額の平均

では実際に厚生年金に加入した人の年金額がいくらくらいなのか気になるところです。モデル世帯の夫と比較しやすいよう65歳以降の金額を以下に載せました。(老齢基礎年金含)。男性に比べ加入期間が短く、報酬等も低い女性では約6万円の差です。ちなみに国民年金受給権者の平均年金額は5.6万円、30年度中に受給の人は5.4万円※です

厚生年金(第1号)老齢年金受給権者※の平均年金月額~65歳以上~
男性 女性
172,742円 108,736円

厚生労働省 年金局 平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況より抜粋

※受給権者とは、年金受給の権利があり年金請求により裁定された者。全額停止者含。受給者とは、全額停止されていない者。

私たちは受け入れやすい言葉(表現)に安堵しがちです。今回で言えば、前年度より年金額2%増と書かれていると安堵してしまいます。公的年金の話題にピリピリしている割に、シビアな内容を見逃しているのも私たちです。金額の修正は確かに間違いではないけど、一方でどこか割り切れない私がいます。長くなる老後だからこそ、厳しい環境と公的年金の重みを認識し、年齢を言い訳にせず情報を前向きに捉えて行動できたら最高ですね。