マンション購入に際して共有名義にするとローンの借り入れは1人で? それとも2人で?税務署からのお尋ねってどう対応したらいいのですか?


市田 雅良先生 (いちだ まさよし) プロフィール
  • キャッシュフロー上で問題点をチェック
  • 住宅取得時に来るお尋ね書とは
  • 共有名義とは

萩原 愛さん(仮名)のご相談

今年5月に第二子出産予定です。今の賃貸アパートでは手狭になるので、3000万程度の新築マンションの購入を考えています。住宅用資金としては、頭金に主人が250万、私が550万程度を負担し、ローンはフラット35の利用を考えています。

出産後も当分は共働きの予定ですが、そのうち私の収入がなくなることも考えられます。そこでローン借り入れは、「主人のみ」か「夫婦二人」かのどちらがいいのか迷っています。また、共有名義の場合の割合、ローンの割合はどのようにしたらいいのでしょうか? さらに、住宅を購入すると税務署からのお尋ねがあると聞きましたが、資産内容まで調べられてしまうのでしょうか。

私の貯蓄の一部には、親が私名義で貯蓄したものがあります。通帳等処分してしまったものもあり、不安です。結婚後に共同で貯蓄したもので私の名義のものもありますが、実質的には2人の資産です。このあたりはどう判断すればいいのでしょうか?

萩原さん(仮名)のプロフィール
31歳、会社員。30歳の旦那様(会社員)、5歳のご長男と今年5月に第二子出産予定。現在は賃貸アパート住まい。年収は約430万円ほど。
くわしい家計内容等はこちら

将来の赤字家計回避のためには、使途不明金を無くし、 貯蓄にまわす事 マンション購入に際しては、共有比率の設定に注意

1.キャッシュフローから見えてきた問題点

※現状のキャッシュフロー表(資料1)

  1. 2007年から年間収支はマイナスになり、お子様の大学進学時の2020年には貯蓄が底をつき、家計が破綻状態になります。
  2. 60才から無年金時代が4年程ありますが、ローン返済はそれでも続き、貯蓄残高の赤字に拍車がかかります。

問題点の対応策

1.支出の見直し
プロフィールで<収入と支出の内訳>のバランス不一致点として出てきた「使途不明金」40万円、この原因の究明をする必要があります。共働きではよくある問題ですが、どこで何に使ったのか「お金が迷路に入ってしまう」ということがしばしばおこるようです。そこで、3ヶ月間をメドに、領収書やメモ書きを残して究明する必要があります。

使途不明金の正体を明らかにし、その支出が必要なものかチェックして無駄をはぶいていきましょう。そうすれば、可処分所得の貯蓄は185万円から225万円以上できる可能性もでてきます。 マンション入居となれば、生活関連費をはじめ支出は若干かさむことが予測されますので、引き締めが大切となるでしょう。

また、基本生活費は対策後キャッシュフロー表(※資料2)にあるように年間303万円以内として予算を組んでください。貯蓄を子ども教育資金や繰り上げ返済用等の目的別に行い、家計を画的に運営されることをおすすめします。

2.対策後のキャッシュフローの注意点
2027年(ご主人52才)極端に貯蓄が少なくなります。また2041年(ご主人66才)貯蓄残高が赤字になります。この対策は上記1の原因究明と貯蓄努力にかかってきますので引き続き注意しておいてください。

※ 対策後のキャッシュフロー表(資料2)

2.住宅取得時のお尋ねとは

住宅を購入した場合、「土地建物購入についてのお尋ね」が税務署から送付されてきます。購入資金の内容を細かく記述するようになっているので、どういった趣旨なのか、提出しなければならないものなのかと、受けとった方は不安になるようです。

「買い入れられた不動産についてのお尋ね」の記載内容
(各国税局により内容の違いはあります)

  1. 不動産の所在地、当局が把握している登記上の所在地、不動産の種類、面積
  2. 購入者側の把握している所在地、種類、面積
  3. 購入先 住所、氏名、
  4. 売買契約日
  5. 売買契約書の有無、作成されたかどうか?
  6. 購入価額  支払い回数、支払い年月日、支払い金額
  7. 仲介手数料  住所、氏名、支払回数、支払い年月日、支払い金額
  8. 仲介手数料以外に支払った費用の明細
  9. 売買以外の場合の理由があればその旨、例:贈与、交換、代物弁済など

○情報収集としての「お尋ね」の意味合い

1.なぜお尋ねを出すのか
資金の出所とその流れを把握しているか、また整理はなされているか。つまり、自己資金、ローン状況、贈与の有無などを把握し、所得に合わせた課税の公平をはかるためで、その目的は3つに分けられているようです。

  • 不動産取引が正常に行われているか
    その不動産に係わった当事者の申告を、適正に行われるようにするため。 つまり、それぞれの立場の裏付けをし、一方の当事者の資料をもとに相手方の税金上の問題を調べるという意味合いを兼ねており、正しい取引の判断材料にするために必要性があると考えられています。
  • 所得の課税漏れがないか
    所得がないと見られる者が所有者になってはいないか、その判断材料となります。 過去に所得のない者が仮に預貯金を持っていた場合において、所得の課税漏れがあったのかどうかを発見する機会にできると考えられています。
  • 実質的所有者か
    形式的に整っているかということはあまり問題ではなく、実質的な所有者をチェックするという見方があると同時に、所有者側も登記上の記載間違いをチェックすることができ、登記の訂正の必要の有無を再チェックできるという機能も果たしています。そして、これらの所有権の流れの中から贈与税の申告が必要であると判断されるのであれば、その申告の指導にも利用できると考えられています。

2.なにが知りたいのか
不動産を購入した場合、法務局で登記をします。税務署や市町村や都道府県税の事務所は、所有権が変わったことを、この法務局の登記所からの情報で知るということになります。そこで、税務局はその不動産について、売却先からの資料や不動産仲介会社からの資料、新築であれば建築会社会社の資料等といった、あらゆる角度からの情報を集めるために「お尋ね」ということになるわけです。

3.問題があるから送られてくるのか?
特に問題のない人であっても、「お尋ね」が送られてくることもあるようです
から、登記は細心の注意を払って行いましょう。特にお金の流れは、当初から把握しておく必要があります。

ライフプランにおける大きな買い物のひとつである不動産に関しては、

  • 取得する前の資金計画
  • 購入する際の資金計画
  • 取得後のアフターマネーの計画

を立てておく必要があります。そうすることで「タックスコスト」を含めた資金繰りが検討できることになります。

3. 住宅取得の共有名義とは

夫婦共有名義で住宅を購入する場合のポイントを整理してみましょう。

1.資金計画について

  • 借入可能限度額の確認。
    住宅融資は、それぞれが借りる場合と連帯債務として二人が共同して借りる場合があります。もし、ご夫婦それぞれが別々の金融機関に借入可能限度額の確認をして申し込んだ場合、名義や借入額は明確になりますが、抵当権の設定などにかかる費用がかさむことや、抵当権の順位の問題もあるので、メリット面は少ないといえそうです。やはり、債務を連帯して同一の金融機関に申し込むのが一般的な住宅ローンです。 
  • 妻の収入を合算するポイント。
    夫の収入のみで融資の審査基準をクリアできない場合などは、妻の収入(勤労収入やパートやアルバイト、事業所得も含む)を夫の収入と合算して融資を申し込むことができます。ただし、収入合算には収入を証明する書類が必要で、収入証明書と勤務先が発行する給与証明書等が必要となります。
  • 収入合算し、購入物件の名義を共有にした場合。
    夫と妻の収入割合と名義の持分比率は、正確なものでなくてはなりません。もし実際の収入と異なる持分であった場合、贈与と見なされることもあるので、注意が必要です。

また、双方が継続的に働き、順調にローン返済がなされるのであれば問題はないのですが、このご時勢、様々な状況を想定しておくべきといえるでしょう。例えば、出産といった喜ばしいイベントでの一時的な退職、失業や倒産といった想像したくもない状況などにおちいり所得がなくなってしまった場合、一方が双方のローン返済することは、夫(妻)から妻(夫)への贈与とみなされ、贈与税の対象となってしまいます。

とはいえ、まだ見ぬ未来に怯えてばかりでは何も出来ません。そこで、出産や子育てなどといった予測可能なライフイベントなどにそって、購入後の退職の可能性を充分に検討しておく必要があります。例えば、出産で妻が退職する可能性があるならば、妻のローンは控えめにしておくなどといった注意が必要です。

2.住宅ローン控除について
住宅ローン控除は、その年の「年末のローン残高」の一定割合を控除する制度です。夫婦の共有名義で住宅を購入した場合は、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けることになります。でも、もし後に一方が退職により所得がなくなり住宅ローンを負うことができなくなった場合、当然その分の住宅ローン控除は受けることができなくなります。また、ローン控除の適用を受ける権利があったとしても、源泉税の範囲が対象となります。例えば、源泉税が0円であればローン控除として差し引くものがなく、還付を受けることは出来ません。

3.ローン返済について
連帯債務の設定は「主たる債務者を夫」「従たる債務者を妻」といったパターンが多く見受けられます。その場合、夫名義の通帳によってローン返済する形となります。返済額の負担割合を夫婦の収入比率によって決めておく必要がありますが、あまり硬く考える必要はなく、アバウトな返済割合でいいでしょう。

例えば夫2/3、妻1/3とした場合、妻が夫の預金口座に妻が負担すべきローン返済額を毎月振り込むといった形で対応できます。融資実行の際に、「妻の通帳から夫の通帳へと自動振替」の手続きをしておけば簡単ですし、これによって「お金の流れ」も明確にできます。このように手続きは簡単なのですが、ローンの負担割合を決める際は、まず将来のライフプランをよく検討し、それを見込んだ負担割合の決定とその割合による持分登記に「充分な注意」が必要です。

4.ライフプランの検討事項
夫婦仲良く協力してローン返済計画を立てると、税金の優遇措置の恩恵も受けることができます。また収入合算すると、名義が単独でも共有でも、夫と妻はお互い連帯債務者になります。でも、不幸にもその仲に亀裂が生じた場合、それこそ「とても不幸なこと」が訪れるかもしれません。もし離婚ということになり、購入した住宅に住まなかったとしても、返済の義務がなくなるわけはありません。もし一方のローン返済が滞れば、連帯債務者として返済しなければならないからです。

夫婦仲良くライフプランに前向きであれば、いろいろな恩恵が利用できます。ネガティブ面をも想定し、抜き差しならない状態などに陥らないように夫婦がお互いに心がけておくことも、共有名義の住宅ローンを考えるうえでの重大な注意点といえるのではないでしょうか。