いまの家をリフォームして住み続けるか、 思い切って新築住宅を買うべきか悩んでいます


いまの家をリフォームして住み続けるか、
思い切って新築住宅を買うべきか悩んでいます

臼井 悦子先生 (うすい えつこ) プロフィール
  • 住宅購入は、物件価格の3割を自己資金で用意するのが鉄則
  • リフォームした場合の将来の貯蓄高を確認する
  • 家計を見直して、ラクに貯蓄できるようにする
 

岩淵 亜由美さん(仮名 40歳 パート勤務)のご相談

15年ほど前に新築マンションを購入し、ずっと住んでいます。子どもの学校は近いし、環境もよく気に入っているのですが、駅から遠いのが難点です。これから子どもも成長し、もっと便利な所に移り住んだ方がよいかと思っています。買うなら、できれば一戸建てが希望です。いまの友人関係を大切にしたいので、この近辺で探すと5,000万円程度です。私立高校生の長男の教育費もかかりますし、長女は公立中学に進学する予定ですが、これから教育費はますますかかると思います。そんななか、住宅ローンを抱えるのも気が重く悩んでいます。
それとも、便利さはあきらめ、いろいろ直したいところもでてきた自宅をリフォームして住み続けた方がいいのでしょうか。子どもたちは引っ越さず、今のところに住み続けたいと言っています。

岩淵さんのプロフィール

世帯年収 (税込) : 900万円
家族構成 : 夫 44歳 会社員、長男 16歳 高1、長女 12歳 小6、4人暮らし
住まい : マンション (住宅ローンは完済)

●毎月の収支
税引き後収入
450,000円
30,000円
合計 480,000円
支出
費目 金額
食費 120,000円
住居費 25,000円
教養娯楽費 20,000円
交際費 5,000円
水道光熱費 30,000円
通信費・交通費 20,000円
教育費 30,000円
こづかい 100,000円
その他 15,000円
保険料 25,000円
合計 425,000円
貯蓄
金融商品名 金額
普通預金 35,000円
財形 20,000円
合計 55,000円
●ボーナスの収支(年間合計)
税引き後収入
2,100,000円
0円
合計 2,100,000円
支出
費目 金額
教育費 720,000円
固定資産税 120,000円
帰省・家族旅行等 600,000円
衣服費 300,000円
こづかい 50,000円
その他 50,000円
合計 1,840,000円
貯蓄
金融商品名 金額
定期預金 260,000円
合計 260,000円
●貯蓄・金融資産 残高(円)
金融商品名 金額
普通預金 2,000,000円
定期預金 5,000,000円
一般財形 3,500,000円
学資保険 3,000,000円
合計 13,500,000円

いま、住宅購入は負担が大きすぎ リフォームして住み続けることをお勧めします

 

1.住宅購入を優先するなら、希望価格を見直すことも視野に入れて

お子様がまだ小さいうちに住宅を購入された岩淵さん。暮らしやすい環境のなか、お子様が成長する大切な時期を過ごすことができてよかったですね。そして、現在は中学・高校と進み、お子様の活動範囲も徐々に広がってきているところで、ご家族にとって住みよい条件が変わってきていることがご相談内容から伺えます。
現在のお住まいの住宅ローンは完済されたとのこと。これからあらたに住宅ローンを背負うのは気が重い、というのもうなずけます。

さて、住宅を購入するときは、一般的に住宅購入金額の2割を頭金として、さらに諸費用分として5~10%程度を自己資金で準備する必要があるといわれています。つまり、住宅購入金額の25~30%を現金で用意することになります。5,000万円のお住まいをご希望の岩淵様の場合、自己資金は1,250~1,500万円となります。現在の貯蓄高は1,350万円ですが、これを全部頭金に充てるわけにはいきません。
病気や事故などでご主人が働けなくなり収入が減ったときなどのために生活費の半年分程度、250万円はいつでも引き出せるようにしておく必要があるからです。貯蓄の1350万円から250万円を取り除くと1100万円なので、5000万円の住宅購入はちょっと難しいかもしれません。少しくらいなんとかなるのでは、と思って自己資金不足のまま購入すると、住宅ローンの負担が重くなってしまいます。下の表は、自己資金が20%の場合と30%の場合の住宅ローンの返済額の違いを比較したものです。比べてみてください。

●自己資金割合による返済額の違い

住宅購入金額5000万円、諸費用500万円、
金利3%の住宅ローンを利用した場合

自己資金割合
(住宅ローン金額)
20%
(4500万円)
30%
(4000万円)
返済期間
(完済時の夫年齢)
16年
(夫・60歳)
毎月 216,623円 196,930円
ボーナス 474,925円 395,770円>
21年
(夫・65歳)
毎月 176,663円 160,603円
ボーナス 387,171円 322,642円
26年
(夫・70歳)
毎月 152,453円 138,594円
ボーナス 333,994円 278,328円

毎月の返済額では、1万4,000円~2万円程度の違いでわずかに感じるかもしれませんが、これを10年、20年と負担し続けるのは想像以上に大変です。途中で返済できなくなってしまうと、最悪の場合、住宅を手放さなければなりません。ですから、無理なく返済し続けられる住宅ローンにするためにも、十分な頭金を用意してから購入することが大切です。

岩淵様の場合、いま5000万円の住宅を購入するのは無理があると思われます。現在の貯蓄額から購入できるのは3500万円程度が適当でしょう。その場合、諸費用350万円、自己資金1100万円、金利3%とすると、返済期間16年で毎月返済額は13万1,943円、ボーナス分は29万2,870円となります。住宅の購入を優先するなら、希望価格を下げることをお勧めします。

2.まずはリフォームで暮らしやすくし、貯蓄を大きく減らすことを避ける

住宅の頭金を捻出できても、住宅ローンを払い続けられるかどうかは別の問題です。当初の住宅ローンを完済された岩淵様ですが、その後支出が膨らんでしまったのでしょうか。家計を拝見すると、住宅ローンを支払う余裕はいまのところ見当たりません。いまの家計のまま住宅ローンを返済するのは、貯蓄を取り崩すことになってしまいます。

一方、いまの住まいをリフォームしながら暮らすことにすると、貯蓄残高はどのようになるでしょうか。今年300万円のリフォームをして、その後10年ごとに300万円のリフォームを行ったとすると、ご主人が退職するであろう60歳時には約3,000万円の貯蓄が準備できています。試算では、いまの生活レベルを維持しつつ、ご長男は私立大学文系に、ご長女は公立中学、私立高校、私立大学文系にそれぞれ進学したと仮定しています。

上のグラフでお分かりのように、いまの家計の支出では住宅ローンを返済する余裕はないのです。住宅ローンを利用するなら、家計を見直し、返済額を確実に返せるように体質改善をするのが先決です。リフォームなら、貯蓄を増やしていき、ご夫婦の老後に備えることも充分可能です。
ところで、岩淵様のご家族が今後どのようなイベントがあるかを一覧表にしたのが下表です。

●岩淵家のライフイベント表

西暦(年) 経過年数 年齢(歳) イベント
長男 長女
2009 0 44 40 16 12
2010 1 45 41 17 13 長女・中学入学
2011 2 46 42 18 14
2012 3 47 43 19 15 長男・大学入学
2013 4 48 44 20 16 長女・高校入学
2014 5 49 45 21 17
2015 6 50 46 22 18
2016 7 51 47 23 19 長男・社会人
長女・大学入学
2017 8 52 48 24 20
2018 9 53 49 25 21
2019 10 54 50 26 22
2020 11 55 51 27 23 長女・社会人
2021 12 56 52 28 24
2022 13 57 53 29 25
2023 14 58 54 30 26
2024 15 59 55 31 27
2025 16 60 56 32 28 夫・いったん退職?

ご覧になってわかりますように、ふたりのお子様ともが大学を卒業して社会人になるまでは、あと10年余りです。その後は、お仕事の都合で転勤などになるかもしれません。もしかしたら大学入学後に自宅を離れて下宿することになるかもしれません。意外と早く、ご夫婦おふたりになるかもしれない可能性も考えて、住宅購入するべきかどうかを検討されることをお勧めします。

3.家計を見直して、貯蓄額を増やす

収入が多い家庭にみられるのが、家計がドンブリ勘定で意外と貯蓄できていないこと。そんなときは貯蓄目標額を決めたり、強制的に給与から先取り貯蓄をして、貯蓄を優先することをお勧めします。たとえば、毎月5万5000円の貯蓄額を1万円、2万円程度増やすと決めて、どの費目を削ってその分を絞りだすか考えてみるのもいいかもしれません。食費、教養娯楽費、こづかい、その他の費目はまだまだ検討の余地があるかもしれませんね。切り詰めるというよりは、制限〇万円でどうやって暮らすかを考えた方が、いろいろなアイディアがでてくるかもしれませんね。その分は財形貯蓄や、自動積立定期などで確実に貯蓄していきましょう。

住宅を購入するにしろ、お子様の進学にしろ、お金がどのくらい必要かを見積もっておくと、目標額を貯めやすくなります。先の2.のようなライフイベント表をつくっておくと、いつ、どのくらいのお金が必要になるかの見通しがつきます。ちょっと先のことだけでなく、もう少し先の目標までもが見えやすくなりますよ。

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