第5回:日本の金利は上がるのか!

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日本政府は6月24日夕方、首相官邸で臨時閣議を開き、新しい成長戦略と、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)を決めました。
その中で、人口減少や少子高齢化による労働力不足を踏まえ、50年後に人口1億人程度を維持する目標を政府として初めて掲げています。第3子以降の出産・育児を重点支援するなど20年までに税制や社会保障で政策を総動員して人口減少に一定の歯止めをかけ持続的成長をめざすとしています。
 
この記事を見ただけでも人口減少が日本にとって大変だと言う事が分かりますが、今回は、人口減少とGDP・長期金利の関係を見ていきたいと思います。
さて、先月号で長期金利とGDPの関係を書きました。

長期金利は
名目GDP予想(期待)成長率 + リスクプレミアム (=経済成長率+リスクプレミアム)
となります。

つまり長期金利は、リスクプレミアムを考えないと経済が大きくなるスピード(名目GDPが大きくなるスピード)といえます。(実は、日本の場合はリスクプレミアムが心配です)

 国内総生産(GDP=GrossDomesticProduction)とは、「一定期間の間に国内で生み出された付加価値の合計金額」という意味です。難しいですね!

潜在成長率とGDPの関係

潜在成長率は、生産活動に必要な全要素を使った場合に、GDP(国内総生産)を生み出すのに必要な供給能力を毎年どれだけ増やせるかを示す指標をいいます。これは、国や地域が中長期的にどれだけの経済成長が達成できるかを表す指標であります。

一般にGDP伸び率が個人消費や企業の設備投資といった需要サイドから見た増加率なのに対し、潜在成長率は資本・労働・生産性の供給サイドの3要素から算定されるものです。
また、GDPと異なり、短期的な景気循環は直接反映されず中長期的に持続可能な経済成長率を示します。なお、現実の成長率は様々な要因により変動しますが中長期的には潜在成長率と同様の動きになると言われています。

日本経済の巡航速度にあたる潜在成長率は設備投資などの「資本投入」、技術進歩などによる「生産性」、そして労働力人口に左右される「労働投入」の3要素で決まっています。とくに労働人口は潜在成長率に大きな影響を与え、労働人口が増えないとGDPも伸びないことになるのです。 事項のような阿部首相の今回の提言も大きくうなずけます。

労働人口が増えないとGDPも伸びない

日本の人口推移

日本の人口は江戸幕府が成立した1603年に1,227万人。江戸時代を通じて緩やかに増加し、
明治時代以降、増加のペースが急激になっています。明治維新のころの1868年に3,330万人だった人口は、第2次世界大戦が終わった1945年に7,199万人と100年弱で倍増しています。

戦後2度のベビーブームなどを経て2008年に1億2,808万人のピークを迎えました。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、人口は48年に1億人を割り
込み、60年には8,674万人まで落ち込みます。

全体の人口が減る中で少子高齢化が進み、65歳以上が人口に占める割合は10年の23%
から60年には40%弱まで上昇します。一方で、働き手となる15~64歳の生産年齢人口は10年の8,173万人から60年には4,418万人とほぼ半減してしまいます。

高度成長期には労働投入の増加が経済成長をけん引して来ましたが、足元では労働力人口の減少が成長を下押ししています。少子高齢化が進んだ結果、現役世代との助け合いを前提とする現在の社会保障制度の維持も難しくなってきています。

【日本の総人口は、2004年をピークに、今後100年間で100年前(明治時代後半)の水準に戻っていく可能性。この変化は千年単位でみても類を見ない、極めて急激な減少】

日本の総人口は、2004年をピークに、今後100年間で100年前(明治時代後半)の水準に戻っていく可能性。この変化は千年単位でみても類を見ない、極めて急激な減少

(出典)総務省「国勢調査報告」、同「人口推計年報」、同「平成12年及び17年国勢調査結果による補間推計人口」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」、国土庁「日本列島における人口分布の長期時系列分析」(1974年)をもとに、国土交通省国土計画局作成

※出典:国土交通省「『国土の長期展望』中間とりまとめ」(平成23年2月21日)

人口、50年後に1億人維持 政府が少子化対応で初目標

政府が「50年後(2060年代)に人口1億人程度を維持する」との中長期の国家目標を設けることが3日明らかになった(2014年5月4日 日経新聞より)。日本の人口はこのままでは60年に約8,600万人まで減る見通しのため、20年ごろまでに集中的に対策を進め、人口減少に歯止めをかける。高齢者に手厚い予算配分を現役の子育て世代に移し、経済・社会改革を進められるかが課題になる。
政府が人口維持の明確な目標を打ち出すのは初めて。

人口減は成長や財政、社会保障の持続に多大な悪影響を与えると判断。国を挙げて抜本対策をとるため、目標の提示に踏み切る。提言は日本経済の課題に「人口急減と超高齢化」を挙げ、50年後に人口1億人を維持することを目標に掲げる。1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は12年で1.41。60年に同2.07以上に引き上げ、人口1億545万人程度にすることを目指す。

労働力人口の減少に備え「年齢、性別に関わらず働ける制度を構築する」として女性や高齢者の労働参加も進める。出産・育児と仕事を両立させ、働く高齢者を後押しする政策を今後検討する。
提言は13年に1億2,730万人の人口がこのままでは60年に8,674万人になると推計。経済・社会の抜本改革をしなければ、国際的な地位や国民生活の水準が低下し、財政破綻を招くと警鐘を鳴らしている。

以上のように、国も人口減を恐れ、色々な対策をしていることは良いことだと思われる。
ただ、運用を指南する立場では、人口減少の進む国には投資は進めにくい。
なぜならば、人口減=GDPの低下=長期金利の低下 と考えられるからである。
しかし、長期金利の上昇は経済成長のみで起こるわけではなく、リスクプレミアムが上がることでも起こる。 実は、日本はここが非常に気がかりです。

次回は長期金利の上昇について書きたいと思います。

50年後に人口1億人程度を維持する

執筆:チームM 代表 松井信夫(ファイナンシャルプランナー)CFP®
株式会社ウィム 代表取締役。NHK文化センターをはじめ、全国各地で年100回以上のセミナーを行う人気ファイナンシャルプランナー。
“プロのノウハウを分かりやすく”をモットーに、ジェスチャーを混じえて説明するセミナーは、笑いあり、涙あり、飽きさせない語りが評判です。
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著書に、『金融時事用語辞典』(共著、金融ジャーナル刊)、『銀行では絶対に 聞けない資産運用の話』(書肆侃侃房刊)がある。
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