老年期は定年60歳から40年続く ~日々の生き方が問われる時代に・・・~

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「人生100年時代」がマスコミで盛んに発信され、長生きの視点で見た人生を整理する方向の話題に事欠きません。例えば、介護や医療でお世話になったときの高齢者施設入居(入所)の問題、亡くなったときの相続対策はどうしたら良いのかなど。一方で、人生100年時代(長生き時代)を、自分のこととして「わたしらしく生きる」の視点から深く考えている人は少ない気がします。

私も高齢になり友人の多くは高齢者です。なおかつ成年後見人等として高齢者を支援する身として感じるのは、若い時は見えなかった個人差が「高齢期」に顕著に現れる現実です。若い時からの生き方が高齢期に表面化するのですが、知ったときは既に高齢で対処できません。
そこで今回は最期まで真に「自分らしく生きる」ため、そして行動してもらうための知識として、私たちの周りの社会はどう変わりつつあるのかをまとめました。知って、調べて、実践すれば、人生100年を上手に生き抜くことも可能でしょう。

人生100年時代、自分のこととして「わたしらしく生きる」視点が必須

人生100年時代の到来は何となく分かっていても、自分のこととして想像できず未来から目を背けて暮らしがちです。特に高齢期になると自分の能力低下を認めたくないというプライドもありその傾向が強まります。今以上に長寿化が予想される今後、人生100年時代の現実をしかと受け止めた生き方が求められます。人生80年時代から100年時代になるのも気がつけばあっと言うまでした。

「わたしらしく生きる」を支援するアドバンス・ケア・プランニング

最近、アドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)のことが話題になっています。私も看護師さんや社会医療法人の方のお話を聞く機会があり、その必要性を実感しています。医療の進歩により長生きになりましたが、どんな人も老年期の最期(亡くなるとき)は必ず誰かのお世話になります。だからこそ、「私らしく生きる」を支えるアドバンス・ケア・プラン意思決定支援のこと知っておきましょう。

ACP(愛称・人生会議)とは
人生の最終段階における医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセス

※出典:厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方にかんする検討会 2017年

ACPが注目される背景には、以下の事情があります。
①人口の高齢化により、認知症や慢性疾患を抱えている人が増加
②多死社会の時代になり、看取り先確保が困難
③単身世帯・核家族化の増加により、支援する人不足

話しあいによって、もしもの時に望んだ治療・ケアを受けられる可能性が高くなります。
ただし、あまり早すぎると内容が曖昧になり、遅いと既に伝える能力・体力がなくなっていることも。人の心は変わるので、時期が難しいのですが、家族間ではある年齢になったら話題にあげることが大切かも知れません。絶対に譲れないこと、して欲しくないこと、して欲しいことなど、頼りになる人と気軽に話しあいを重ねておくといいでしょう。

ACPの進め方

事例1
私の母の場合、50代でがんの手術をしたこともあり、最期のときの対処をいつも娘の私に伝えていました。お陰ですべて母の意思に沿った最期の対応ができました。母の介護で悔いはありません。

事例2
成年後見人として支援したAさんの場合、受任したとき既に認知症で要介護3でした。高齢者施設から病院に入院したとき、病院側で倫理委員会(医師・事務局長・医院長・看護師・後見人など10名以上参加)を開催してくれましたが、Aさんの意思が確認できず、点滴治療で1年後に亡くなりました。認知症本人の意思確認ができず、親族がいない場合、Aさんのように本人の意思に添ったものになりません。

なお、話し合いのタイミングは、以下の病気の経過の特徴を知っておくと参考になります。
私の母の場合、ほぼ最期まで意識がありました。認知症の場合、徐々に衰えていきますので、様子がおかしいと気がついたときに早めに話し合っておくのがコツです。いずれにしても、具合が悪いときは本人も精神的にきついので、元気で笑って話せるうちから雑談でいいので話しあいを重ねておくとベストでしょう。

※出典:「要介護度の改善に基づく報酬の課題」土屋瑠見子氏

地域で楽しく生きるために ~積み重ねた人間力が試される~

お金があり、健康ならすべてよしにならないのが高齢期。医療や介護のお世話になる可能性が高く、そのとき使えるお金やサービスを自分で選択する力が試されます。そして同時に、何が大切かを判断できる能力も試されます。時間と情報は多すぎても使いこなせないのが高齢期。人のミスを何でもチェックせず、高飛車な言葉などはそっと隠す位の心意気で人づきあいができると長生きも捨てたものではない心境になりそうです。
ウーン。意外と難しいですね。まずは、身近で人生のお手本になりそうな人を見つけて真似してみるのが近道かもしれません。長くなる人生を最期まで楽しく暮らすには、これまで以上にいろんな気づきと人間力が試されるのですね。