ちょっと気になる年金のこと ~妻が65歳からの年金を繰り下げるとお得?~


妻が65歳からの年金を繰り下げるとお得?

総務省が10月の全国消費者物価指数が前年比1.4%上昇と発表、賃金も上昇する中、公的年金の支給額が調整されるしくみ(マクロ経済スライド)が2019年度発動される見通しとなりました。簡単に言うと、本来の年金額からマクロ経済スライドによる調整率を控除するので年金額が減るということです。なお、30年度の年金額は29年度が据え置かれ、マクロ経済スライド調整率0.3%は発動せず、31年度に繰り越されます。高齢者にとっては厳しい現実が待っています。

ほとんどの人が少子高齢化による年金財政の厳しさを理解しつつも、イザ我が身に置き換えると何か対策があるのではないかと情報探しに余念がありません。今回は、巷に広まる「妻が65歳から年金を繰り下げるとお得?」についてお話しします。
繰下げた場合、ひと月繰下げるに付き0.7%年金額が増えます。仮に65歳からの年金を5年間遅く受け取ると年金額は、42%(0.7%×60月)増えるしくみです。しかし、夫婦の働き方、生年月日などで増え方は異なります。そこまで理解している人は少ないでしょう。

老齢年金の受給開始を70歳以降でも選択可能に

国は、人生100年時代を見据えてすべての世代が満ち足りた人生を送れる環境をつくることを目的とする「高齢社会政策大綱 」を閣議決定(2018年2月16日)し、年金の受給開始時期の選択肢の拡大(70歳以降)も盛り込まれました。
現在は70歳まで繰下げて受給できますが、75歳まで繰下げが可能になります。70歳以降の増額率は今後政令で決まります。そこで、長生きの女性は繰り下げるとお得になる訳です。

但し、夫婦の公的年金の加入状況、生年月日などでお得感は以下のように微妙に異なります。妻という立場は同じでも、受給年金額は異なることを知っておくといいでしょう。
(※なお、事例は60歳退職の場合で試算。60歳以降(65歳以降)働く場合は在職老齢年金も関係してきます。65歳前に、年金事務所等でしくみや見込み額の相談をするとよいでしょう)。

65歳以降70歳まで繰下げの主なケースのイメージ(年金額は平成30年度)

事例1 夫婦とも国民年金 妻のみ国民年金(老齢基礎年金)を繰り下げ

夫65歳(昭和28年4月2日生)
妻63歳(昭和30年4月2日生)

事例2 片働き世帯 妻は国民年金 (老齢基礎年金) を繰り下げ

夫65歳 (昭和28年4月2日生・民間会社40年勤務・60歳で退職と仮定) 
妻63歳 (昭和30年4月2日生・国民年金40年加入)  ※夫婦は生計維持関係にあるとする

事例3 共働き世帯 妻は国民年金(老齢基礎年金)のみ繰り下げ

夫65歳 (昭和28年4月2日生・民間会社40年勤務 60歳で退職と仮定)
妻63歳 (昭和30年4月2日生・民間会社30年勤務+国民年金10年と仮定)

繰り下げの選択のポイント

繰り下げを選択する場合、受給年金総額と何歳まで生存すればお得なのか(損益分岐点)が気になります。但し、年金だけで損得の判断をするのは禁物です。
事例は、70歳までの増額率で試算しましたが、今後は70歳から75歳までの受給年齢の選択も可能になります。そこで知っておきたいのが、以下の繰り下げの選択のポイントです。

繰り下げ選択のポイント
夢プランを描きながら、わが家の収支と資産の内容を書き出してみる
老後の生き方や暮らし方を、改めて考えてみる
平均寿命の伸びも予想されているが、個人の寿命は一般的な統計に当てはまらない
長生き家系でも事故で亡くなるケースもある
元気なうちに自分の年金を自由に有効に使え楽しめる期間は限られていることも知る
夫婦の加算(加給年金額と振替加算)のしくみを、わが家の場合で知る
税金や介護・医療の保険料、サービスや治療を受けたときの負担割合も考慮する

見落としがちですが、繰り下げ期間中の年金は受給できません。
高齢期の家計で年金が占めている割合を考えれば、年金収入がなくても暮らせる人はかなり家計にゆとりがある人です。年金制度が変わっても、繰り下げを選択できる人は限られるでしょう。尚、繰り下げ請求の待機中に気が変わった場合、過去の年金を一時金で受給することも可能です。

今回はイメージを掴んでもらうために、60歳で退職した場合で示しています。しかし、夫婦の働き方は様々。基礎を知った上で自分の場合はどうなるの?を考え、不明なときは年金事務所や街角の年金相談センターに気軽に相談していただけると嬉しいです。

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