最期まで自宅で過ごせると考えている人は約2割 ~制度上可能と自分が可能かは別の話し~


制度上可能と自分が可能かは別の話し

年齢を重ねれば重ねるほど資産額は勿論ですが、健康状態や本人の判断能力、家族の状況などで、医療や介護が必要になるイザというときの対応力に大きく差が出るのが一般的です。従って高齢期に関する統計値は、傾向を知る参考になるものの、必ずしも実現可能なものではありません。何故なら、はるかずっと先の高齢期について、実態もあまり知らない若い人の認識での答えや、目前に迫っているそのときに気がついていない高齢者の答えが含まれていることもあるからです。

国は、病院での入院を減らし在宅で療養、またはその先の介護を地域(在宅)で包括して取り組む方向に進めています。但し、施設見学や高齢者支援をする現場を知る身だからこそ感じることがあります。それは在宅(地域) で最期まで暮らせる人は、それなりのお金、家庭環境、本人の状況、協力的な医師と福祉関係者などが整ったごく一部の恵まれた人だと言うことです。
単身者も今後増えると推測されており、誰もが現実の厳しさを見据えた準備が求められています。 長寿化でますます前途多難な高齢期ですが、今回はその現実をお話してみたいと思います。

終末期、自分自身が自宅で最期を迎えることが可能と答えた人が約2割

実際に、現在の自らの住まい環境や家族などを考えた場合、自宅で最期を迎えることが可能かどうかの質問に、可能が23.2%、不可能が24.8%、わからないが52.0%と結果がでました。

日本医療政策機構 2017年 日本の医療に関する調査

(注)調査は、全国20歳以上の男女1,000人を対象にして、2017年インターネットによる世論調査。回答者がインターネットを使用できる人に限定、インターネットリテラシーと教育水準に相関があることから、一定のサンプリングパイアスが生じることもあるので、本調査の解釈についての限界に留意要。

日本医療政策機構 2017年 日本の医療に関する世論調査

自分自身が自宅で最期を迎えることが可能かどうかについて「分からない」と答えた人の年代別の割合は、親の介護に直面し始める50代が6割と多くなっています。

日本医療政策機構 2017年 日本の医療に関する世論調査

高齢単身者の独居増が予想される

統計によれば、今後50歳未満の未婚率の上昇幅は小さいと見られていますが、未婚化が進んだ影響により高齢者の未婚率は今後大幅な上昇が予想されているようです。65歳以上の未婚率は2015年で男性5.9%、女性4.5%が、2040年には男性14.9%、女性9.9%に増加が見込まれています。
高齢者の未婚率が高くなれば当然、高齢者の独居率も上がり、65歳以上の男性は2015年の14.0%から2040年の20.8%に、女性は2015年の21.8%から2040年の24.5%まで上昇が見込まれています。平均寿命は延び続けており医療・介護のお世話になる期間も延び続ける中、高齢独居世帯が増えれば、最期まで自宅で暮らせる人の数はますます減少が予想できます。

65歳以上の未婚率(%)の推移
  2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年
男性 5.9 7.6 9.0 10.8 13.0 14.9
女性 4.5 4.7 5.2 6.3 7.9 9.9

2018年推計  国立社会保障・人口問題研究所

65歳以上の独居率(%)の推移
  2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年
男性 14.0 15.5 16.8 18.2 19.7 20.8
女性 21.8 22.4 23.2 23.9 24.3 24.5

2018年推計  国立社会保障・人口問題研究所

実態を知れば知るほど不安は増す

自宅(地域)で医療と介護を包括して支援する制度が稼働し始めれば何とかなるかも知れません。ただ、家族の負担は増えます。終末期における延命治療に対する自分の意思、どんな介護をして欲しいのかを決めておきましょう。イザ医療と介護が必要になったときの財政面の準備もせず、家族がいるから当たり前的意識では、自分の期待通りの最期は望めないでしょう。
介護される身と介護する身、どちらも資産・体力・気力などの減少により長寿リスク(介護期間の長期化)が顕著になるからこそ、各々ができる準備の必要性に気づき、話しあっておく必要があります。日々の生活の延長上にプラスして発生する介護や看護だからこそ、親族などとの日頃からのコミュニケーションの有無が高齢期の豊かさに関係してきます。

最近お会いした80代後半の男性も、最期は自宅で迎えたいと言う一方で、楽しい高齢者施設なら入居(利用含む) したいとは語りますが、その先のイザ最期のときの延命治療等に対する想いや必要なお金に関心がありませんでした。家庭でも一方通行の発信で終始していそうなお話で不安を感じました。

人生50歳からが勝負

現在、成年後見人等として複数受任している身から一言。本人の状態が悪くなったとき、医師は延命治療の説明をします。ですが、親族もおらず、親族がいらっしゃっても関わりがない、本人の判断能力が不十分、本人の意思が残されていない場合などは、医師のお話を理解するだけで、何も対応できず、何とも言えない複雑な気持ちです。成年後見人等は医療同意ができないのです。
是非、相続対策などの終活のためだけでなく、これからの未来を最期まで前向きに生きるために残す覚え書きとしてエンディングノートなどを活用していただけたらと思います。人生100年時代の折り返し地点の50歳からが快適な未来づくりのための勝負の年と言えそうです。

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