子ども3人の教育費&住宅頭金の準備法は?

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伊藤 美和先生 プロフィール
貯蓄や投資を始めてしばらくすると、誰の頭にも思い浮かぶのが1000万円という夢の数字。「1000万円お金を貯める」ということはハードル走に似ています。100万円、300万円とハードルをクリアするごとに貯まるスピードはどんどん加速していきます。この「貯める・殖やす」のコーナーでは、皆さんがハードルを楽に越え、早くゴールにたどりつけるよう、お手伝いができればと思います。何でもお気軽にご相談ください。

岡本 聡美さん(仮名)のご相談

長女が生まれてすぐ、主人の会社の業績が悪化し、それ以来やり繰りで努力してきました。大きくなる子ども達のためにもマイホームをできるだけ早く買いたいので、我が家なりに節約も頑張っているのですが、中々貯金が増えません。「子どもが小さいうちがお金の貯め時」という記事をよく見かけますが、11歳・9歳・2歳と年齢差が大きい3姉妹のいる我が家では、食費や教育費等かかる費用が違い参考になりません。今後も子ども費が膨らむ一方の我が家ですが、教育費と住宅の頭金を貯めるにはどうしたらいいでしょうか?

岡本さん(仮名)のプロフィール
40歳・専業主婦。会社員のご主人(37歳)と11歳、9歳、2歳の3人のお嬢さんとの5人家族。

収支の状況

1.収入(税込み年収280万円)
 月収(夫/手取り) 322,000 円  ボーナス(夫/手取り) 46万円×年2回
2.月間支出費用
 家賃 85,000 円  駐車場代 8,400 円
 食費 36,000 円  外食 5,000 円
 水道・光熱費 20,000 円  通信費(携帯代を除く) 5,800 円
 携帯電話代 6,500 円  子ども費 22,000 円
 医療費(矯正歯科) 10,000 円  夫こづかい 43,000 円
 新聞・雑誌代 4,000 円  被服費 5,000 円
 交際費 3,00、? 円  貯蓄 10,000 円
 学資保険 28,940 円  生命保険 13,621 円
3.生活費以外の出費(年間)
 レジャー 100,000円  帰省 3,000 円

現在の貯蓄等

   毎月の積立額 満期(満期金額)・その他
 学資保険(郵便局) 10,100 円  長女分(18歳満期200万円)
 学資保険(郵便局) 12,040 円  次女分(18歳満期200万円)
 学資保険(郵便局) 6,800 円  三女分(18歳満期100万円)

※それぞれ保険金額と同額の災害・疾病障害・入院&健康祝金付き
※学資保険以外は‘引越し代’ほどしか貯まっていない

毎月&ボーナスの支出について

  • 被服費や交際費など不定期の支出については、基本は毎月の家計費から、多いときはボーナスから出している。
  • 夫のこづかい(4万3000円)の内訳は、こづかい(2万5000円)+定期代(1万8280円)。
  • やり繰りで困っていることは‘少し貯まると出費することが起こる’ことと、‘どこを削っていいのかわからない’こと。子どもの習い事を減らしたいが子どもが承諾しないし、長く続けているので辞めさせるのはかわいそうな気もする。
  • 自動車保険(年払い保険料3万円)、自動車税(年4万5000円)、車検、アパートの更新代、交際費、レジャー費でボーナスがなくなってしまう。

今後の予定&ライフプラン

  • 来年4月、三女幼稚園入園後にパートに出る予定(月収5万円を希望)。でも幼稚園は預かってくれる時間が短いので長い時間働けないので、月収は予定を下回るかも。
    延長保育はある(3~5時で500円)が、毎日となると金額がかさんで大変。
  • 自家用車をできるだけ早く買い換えたい(現在の車は10年以上乗っている)。
  • 2年後にマイホームを手に入れたい。

優先度の高い順にマネープランを考えることが必要です!

アドバイス1:毎月&ボーナスの支出を見直します

食べ盛りのお子さんを抱えながら食費を毎月3万6000円に抑えているなど、やり繰りはよく努力されていると思います。工夫する余地があるのは被服費・交際費・レジャー費・お子さんのおこづかいなどです。被服費や交際費は年間の予算を決めて、毎月とボーナスで分けて積み立てていき、そこから支出するようにします。家族でお祝い事などに呼ばれた場合は、できるだけ夫・妻1人、もしくは夫婦で出席するなど割り切った対応を考えましょう。義理を果たしていくことも大切です。でも私が岡本さんの立場なら、自分達の日常生活の質を削ってまで全てにお付き合いすることはないと思いますが、いかがでしょうか?

お子さん達のおこづかいを決めていないというのも問題です。今は欲しい時に100円、200円とあげているので総額は少ないかと思います。でも今のやり方のままでは、お子さんが中学生・高校生になった時、子ども費が果てしなく膨らんでいきかねません。思春期のお子さんを持つ親御さんは教育費や塾代に加えて、携帯電話代や洋服代等をどう捻出するかで、皆さん頭を痛めているのです。今後子ども費を抑えていくためには、思春期を迎えるまでに、毎月決められた収入の中でやり繰りする習慣をお子さんに身につけさせることが必要です。

アドバイス2:ライフプランの優先順位をご家族とよく話し合いましょう。

やり繰りの様子を拝見すると、岡本さんが「頑張り屋さん」だということが伝わってきます。でもだからこそ、アドバイス1の工夫を実行しても、節約できる金額は残念ながらあまり多くはありません。もし岡本さんが現状の収支のまま(パート収入が加わっても)「2年以内にマイホームを買い、車も買い換える」と、経済的に破綻するリスクがかなり高くなります。

「マイホームを購入し、車も買い換える一方で教育費を貯めていく」には、奥様がフルタイムの勤務を始めるしかないと思います。保育園に入るのが難しいという事情があるようですが、夢をかなえたいなら努力と工夫が必要です。最初は費用の高い無認可の保育園に入れて(公立保育園に入るまではママの月収が全て保育園代に消えてしまっても)順番待ちをしてから、やっと公立の保育園に入園できたという方も多いのです。「無認可では保育の質は大丈夫?」という不安もあるかもしれませんが、そういうことも含めて「ライフプランを優先させるか、夢を諦めるか」という選択を皆さんしているのです。

「フルタイム勤務は、やはり無理」ということでしたら、ライフプランで実現したいことの優先順位を考え、順位の高いものから順番にマネープランを立てていくことになります。すると優先順位の高いものを実現するために「諦めなければならないこと」が出てきます。例えば(1)マイカーを手放す(買い替えは諦める)、(2)習い事を減らす(あるいは全て止める)、(3)マイホームの購入を諦める、(4)進学は公立高校までとする、等です。

アドバイス3:ライフプランの具体策を考える

奥様が来年からパート勤務を始めるという前提でライフプランの実現策を考えてみます。

マイホームの購入を実現したいなら

マイホームを購入するには、物件価格の他に諸費用がかかります。諸費用とはローン手数料や税金、インテリア(カーテンや家具)、リフォーム費用(中古の場合)、引越し代のトータル費用のことです。新築で物件価格の5~7%、中古で同7~10%が目安となります。一般的な住宅ローンの場合、諸費用分は貸してくれないので、必ず現金で用意する必要があります。「諸費用ローン」という商品もありますが、金利が一般の住宅ローンよりかなり高いし、返済の安全性を考えても利用はお勧めできません。

住宅ローン破産を招かずにローンを返済していくには、頭金として物件価格の2~3割(諸費用込み)を用意するのが安全策でサラリーマンの場合、住宅ローンの返済は定年までに終えるのが理想なので、ご主人の年齢(37歳)を考えると、あと2~3年以内に頭金を貯める努力が必要です。2000万円の物件を買うとしたら400~600万円ほどを3年以内に貯めることになります。岡本さんの場合、マイホームを買うにはここ2~3年は頭金の貯蓄に全力投球が必要です。

400万円を3年で貯める方法を考えてみましょう。パートに出たら1時間でも多く働き、月収8万円を目指します。保育料+教育費の増加分の予算は4万円とし、あとは頭金の貯蓄に回します。車は即刻手放します。そうすれば毎年30~40万円は節約できます。ボーナスから30万円ずつを貯蓄し、残りのお金で交際費・被服費・レジャー費をまかないます。毎月外食をするならレジャーを諦めるor毎月の外食を諦めて年に1度はディズニーランドに行くなど、更にメリハリをつけたやり繰りが必要になります。

一方、子ども達の進学資金の準備が十分とはいえないので、大学や専門学校へ進学するなら、教育ローンの利用が必要かもしれません。「進学するなら、初年度納入金以外はかなりの部分を自助努力(新聞奨学生になる・奨学金をとる・社会人になってからローンの返済をしてもらうetc)してもらうことになる。それも考慮に入れて進学について考えてね」と折にふれお子さんに話しながら、一緒に将来を考えていきましょう。

クルマを購入するなら

マイホームの購入は見送ります。自動車ローンは金利が高いので、お金を貯めてから現金で買うよう計画しましょう。パートでの月収は8万円を目指し、そのうち4万円を自動車購入のための貯金に回します。1年で48万円貯まるので、2~3年後には中古車なら買い替えができそうです。

車を買い換える頃には末のお嬢さんも小学校に入学されますね。三女の保育料がなくなる分、次は教育費を重点的に貯めていきます。貯蓄商品は郵便局の「教育積立貯金」がお勧めです。教育積立貯金は教育資金を貯めることを目的とした商品で、積立終了後4年以内なら積立額と同額の低利融資を国民生活金融公庫で受けることができます。つまり積立額の2倍まで教育資金を準備できるのです。また積立期間は1年以上5年以内なので、それぞれの高校進学までには積みたてを終了できます。高校入学後は、積み立てていた金額分を高校の授業料に充てましょう。もし私立高校に入学することになり、入学金等が足りない場合は、さっそく国民金融公庫で低利融資を受けることもできます。

三女の小学校入学後は、パート収入の8万円のうち、長女・次女名義で2万円ずつ、三女名義で1万円ずつ教育積立貯金で貯めていきます。1万円は長女・次女の教育費の増加分に充て、残り2万円は夫婦の老後資金用に貯めていきます。塾の費用などで教育費の増加分が1万円におさまらない場合は、高校受験まで習い事を中断して調節します。老後用の貯蓄が必要なのは、家を購入しないからです。「子ども達の独立後は2人で住むマンションを買おうか」など、ご夫婦で老後の夢やお金の使い道等について話し合いながら貯めていくといいでしょう。