消費税が10%となりました。住宅購入すると、大きな買い物だけに負担も大きくなるのでしょうか?


今回、回答いただく先生は…
村井 英一先生(むらい えいいち) プロフィール
  • 住宅購入のための優遇策が拡充されています。状況次第では負担減にもなります。
  • 建物部分の割合が少なければ、消費税は少なくなります。
  • 中古物件であれば、そもそも消費税がかかりません。

  佐々木 和也さん(仮名 42歳 会社員)のご相談

転勤が多く、今までは自宅を購入する機会がありませんでした。ようやく腰を落ち着ける状況になったのですが、消費税が引き上げられてしまいました。もう今から自宅を購入するのは遅いのでしょうか? それほど負担を増やさずに購入する方法はないでしょうか?

佐々木 和也さんのプロフィール

家族構成
家族 年齢 年間収入
ご相談者 佐々木 和也さん 42歳(会社員) 年収530万円
典子さん 38歳(パート主婦) 年収100万円
長男 翔さん 16歳(高校生)
長女 美羽さん 14歳(中学生)
金融資産 普通預金 350万円
定期預金 600万円

住宅ローン減税や給付金などで、負担が増えない購入の方法もあります。

1.増税を機に拡充される優遇策

佐々木様、こんにちは。延期が続いていた消費税の引上げが、とうとう10月に実施されました。不動産はもともとの金額が高いだけに、2%の引上げでも、負担の増加は小さくありません。2,000万円の2%は40万円です。単純に考えても、同じ家を買うのに9月までと比べて、10月以降は40万円も負担が増えているわけです。「もっと早く動いていればよかった」と後悔する気持ちもわかります。しかし、そう悲観的に考える必要はありません。条件次第ではそれほど負担が増えないどころか、かえって負担が減る場合もあるからです。

住宅投資は金額が大きく、景気に与える影響が小さくありません。自宅の購入を促進するために、以前からいろいろな優遇策が設けられていました。そして、消費税の増税で住宅投資が冷え込まないように、この優遇策が拡充されています。

大きなものとして、「住宅ローン減税」があります。住宅ローン減税は、住宅ローンを組んで自宅を購入した場合に、年末のローン残高の1%に相当する金額の所得税が減税となる制度です。ここでは詳細について触れませんが、所得税がゼロとなることも少なくないほど、税制面のメリットが大きい制度です。この制度が利用できるのは、通常は購入後10年間ですが、消費税10%となった物件については、13年間が適用されます。限度はありますが、収入が多い人ほど、ローンを大きく組むほど、減税額が大きくなる傾向があります。条件によっては、3年間延長されることで、消費税増税分よりも減税額が大きくなる場合があり、あえて消費税引き上げまで購入を待つ人もいたほどです。

一方、収入がそれほど多くない人には「すまい給付金」という優遇策が用意されています。自宅を購入すると、その人の収入によって(正確には都道府県民税の所得割額による)、10~50万円の給付金がもらえる、という制度です。税金が安くなるのではなく、国から〝お金をもらえる〟という、恩恵がはっきりと実感できる優遇策です。今までは最大でも30万円だったのが、50万円までに拡大され、対象となる人の年収基準も引き上げられました。ご質問の佐々木様も、増税後の基準で適用されるようになりました。

2.購入金額のうち、土地については消費税がかからない

ところで、不動産の売買のうち、建物の購入については消費税がかかりますが、土地の購入についてはかかりません。土地は消費されるものではないからです。これは、戸建てでも、マンションでも同じです。戸建てであれば、土地と建物を一緒に購入しますが、それぞれに金額がついていますので、建物の金額だけに消費税がかかっています。

マンションはどうでしょうか? マンションの販売価格は、共有部分も含めた1戸の金額で表示されています。マンションも、共有部分を含めた建物と、土地の所有権を購入することになります。実際には土地は分けられませんので、入居者全員で按分した「区分所有権」という形になり、この金額には消費税はかかりません
建物と土地または土地の区分所有権の両方を合わせた金額が販売価格として表示されていますが、そのうち建物の割合が高いほど消費税が高くなっています。マンションであれば、土地の割合が多いのは、低層マンションです。最近は、高層のタワーマンションの人気が高いのですが、消費税のことだけを考えると、低層マンションの方が有利です。時間の経過とともに建物の価値が下落することを考えると、将来の売却の点でも低層マンションの方が有利かもしれません。

3.消費税がかからない住宅もある

建物を購入しても、消費税がかからない場合もあります。個人から中古住宅を購入した場合です。事業者ではない人が売るものには消費税がかからないからです。不動産会社が保有している場合には消費税がかかりますが、中古住宅はほとんどが持ち主からの売却で、不動産会社は仲介です。建物価格の1割が消費税となるわけですから、それがないだけでも大きな違いです。

その代わり、先にご紹介した、消費税が10%になったことによる優遇策の拡大は適用されません。しかし、拡大される部分はなくとも、消費増税前からの優遇策は適用されます。住宅ローン減税は10年間適用されます。収入が400万円程度までであれば、すまい給付金の対象となります(詳細はご確認ください)。

〝中古住宅〟というと、印象が良くないかもしれませんが、今後は中古住宅の売買が増えていくでしょう。長期的には人口が減少しているにも関わらず、新築住宅の供給は続いています。いずれ、これらが住宅市場にあふれてくるかもしれません。住宅の質は向上しており、築年数が経過していても魅力的な物件は増えています。消費税がかからないこともあわせて、中古住宅の売買が盛んになることが考えられます。すると、中古住宅のイメージも今とは違ったものになるのではないでしょうか。

消費税は10%になりましたが、工夫さえすればそれほど負担は増えません。けっして今からでも遅くはありません。ご自宅購入のベストタイミングは、ご家族の環境が整った時です。


来年4月からの消費税増税が本決まりのようです。 増税とインフレは、どのくらい家計に影響するのでしょうか?
消費税アップに際し、家計管理で注意すべきことはありますか?
住宅購入予算を当初の予算よりアップさせたいのですが。