ターゲットは家族の支援を受けることが困難な高齢者 ~「身元保証等高齢者サポート事業」トラブル増


高齢化の進展や核家族化に伴い、高齢者単独世帯・高齢夫婦のみ世帯増で、家族による支援が困難な高齢者対象「身元保証等高齢者サポート事業(以下・事業)トラブルが増加しています。総務省は、事業の実態について初の全国調査を実施、消費者保護・事業の健全な発展のために検討要請を各省庁(厚生労働省・消費者庁・法務省)に通知しました(令和5年8月7日)。

長寿を健やかに全うできる高齢者になるのも大変な時代になってきました。誰もが家族による支援が困難な高齢者になる可能性がある認識は持っておきましょう。他人ごとではありません。
離婚・死別、子がいても死は順番にこない、親族がいても関わりがないなど、高齢になればなるほど若いときは見逃していた状況になり老後に不安を持つ人は増えます。まずは、事業の実態を知ることから始めましょう。

今回は、身元保証等高齢者サポート事業に関する初の全国調査結果・課題などお伝えします。いずれは誰もが高齢者、トラブルを避ける意味でも、今から生活者としての知識と知恵を身につけて対策しておくことは必須です。

事業全てが悪いわけではないが、判断能力が衰えがちな高齢者の被害増は見逃せない。高齢者への啓蒙不足と事業者の倫理感の欠如が招くトラブル支援を各省庁に早急に期待したい!

身元保証等高齢者サポート事業とは

身元保証等高齢者ポート事業は、親族の支援を受けられない高齢者等を対象に、①入院・施設等入所時の身元保証や②日常生活支援③死後事務等のサービスを行うもの。①②③のサービスを一体として提供する事業者が171(83.8%)を占めています。事業のイメージは以下のとおり。

身元保証等高齢者サポート事業/関連サービス(イメージ)

※参照(2023年10月12日時点):総務省 身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査(概要)

事業の調査の背景 ~高齢単独世帯・高齢夫婦世帯増への危機感

人口減が進む中、高齢者世帯は増え続け、65歳以上の者のいる世帯のうち、高齢者世帯の世帯構造をみると、「単独世帯」が873万世帯(高齢者世帯の51.6%)、「夫婦のみの世帯」が756万世帯(同44.7%)と(令和4年)増えており、特に長寿の女性支援が急がれます。

高齢者世帯の世帯構造の推移 高齢者世帯の世帯構造、65 歳以上の単独世帯の性・年齢構成のグラフ

※参照(2023年10月12日時点):厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況より抜粋

事業の利用者像 ~親族との関係

相談事例から判明した利用者像は、単に1人暮らしの高齢者ではなく、親族はいるが様々な事情から事業の利用や検討になったことが分かります。

1人暮らしで、身寄りがいない(38件) 1人暮らしで、親族はいるが疎遠で頼れない(41件) 1人暮らしで親族はいるが、遠方に住み頼れない(17件)
兄弟・姉妹はいるが、高齢なので頼れない(14件) 親族はいるが、その親族に障害があり頼れない(13件) 高齢の夫婦だけで住んでおり、他に頼れる親族がいない(15件)
判断能力が不十分になり、自分では保証人の確保が難しい(24件) 他の事例いずれかに該当し、かつ、差し迫った状況(37件) 将来の備えとして事業者と契約したい(39件)

インターネット検索等による412業者のうち調査に協力を得られた204業者が対象。重複有で計179ではない。

※参照(2023年10月12日時点):総務省 身元保証等高齢者サポート事業における 消費者保護の推進に関する調査

調査対象事業者204の実態 ~規模は小さいがジワジワと参入者増 ~高齢者対象(就業・入学にともなうもの及び賃貸住宅への居住支援のみ実施は除く)

①法人形態別の事業者数

4割以上の事業者数が一般社団法人

(単位:事業者)

法人形態別の事業者数

②事業継続年数の階層別の事業者

1年以上5年以下の事業者が一番多い

(単位:事業者)

事業継続年数の階層別の事業者数

③従事職員数の階層別の事業者数

従事職員が10人未満の事業者が全体の8割

(単位:事業者)

従事職員数の階層別の事業者数

④契約者数の階層別の事業者数

契約者数が10人未満の事業者が一番多い

(単位:事業者)

契約者数の階層別の事業者数
  • ①~④
  • (注)1 総務省の調査による。
  • (注)2 「その他団体」とは、合同会社、中小企業組合をいう。
  • (注)3 割合は、事業者調査を実施した 204 事業者に対するものであり、小数第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100%にならない。

⑤ 事業開始年別の事業者数

平成26年から令和3年まで、毎年10事業者以上が新たにサービスを開始し事業所が増えている。

事業開始年別の事業者数

契約期間が長期になる事業で、参入の垣根が低い・信用度の見極めの不透明が気になります。

※参照(2023年10月12日時点):総務省 身元保証等高齢者サポート事業を行う事業者の取組の実態

現状と事業の課題 ~受け入れ側の主な事情(リスク)

医師法は、「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」。②厚生労働省は、省令により介護保険施設について、正当な事由なくサービスの提供を拒んではならないとしています。
しかし、アンケート調査(高齢者の身元保証に関する調査~入院、入所の支援事例を中心として~結果報告書 令和4年3月 関東管区行政評価局)では、「入院・入所の希望者に身元保証人を求めているか」に対し、回答のあった病院・施設の9割以上が「求めている」としています。治療・入所費の未払い、退院・退所時の受け入れ先の対応・死亡時の対応等で苦慮が主な理由です。

事業の主な課題

約8割の事業者が、利用者が主に死後事務のサービスを利用する際の費用を事業者に預ける「預託金」ありとしているが、自社の専用口座で管理が68.8%、信託口座で管理は18.5%。
過去に預託金の保全措置がなく破綻した例(公益社団法人日本ライフ協会)もあり不安。

②利用者からの寄付・遺贈の受取について、依頼し受け取るが3.9%、申し出があれば受け取る66.2%、受け取らない29.9%。約7割が受け取る方針。時間の経過で判断能力不十分になることも想定される高齢者を考慮すると今後も予想されるトラブル増。

③事業を直接規律・監督する法令・制度等がない。家裁が監督の成年後見制度との違い。

④契約時の重要事項説明書の作成約2割(21.2%)と低く、利用者以外の親族・ケアマネジャー・弁護士等の第3者の立ち合いを求める事業者は約7割(68.2%)だが、トラブル発生も。

相談先 ~保証人を求められたときなど困った時には、自分だけで抱え込まず以下に相談

どこに相談すれば分からないとき・・・住まいの地域の地域包括支援センターへ
契約のことでわからないとき・・・お近くの消費生活センターへ

まとめ

関連する成年後見制度(法定後見制度)でも、親族の支援が受けられない人の市区町村長申立が増えています。平成12年度0.5% → 令和4年23.3%。
事業以外の選択肢の1つの任意後見制度(老い支度)も、高齢期になってからでは理解が難しい制度です。自分ごととして日頃から興味を持って情報を集めておくとよいでしょう。
人生の最期を全て他人に丸投げは勿体ないと思いませんか!