高齢期の豊かさは、誰と関わるかで決まることも ~1人暮らしの本人が気づかない怖さ~


1人暮らしの本人が気づかない怖さ

昨年は、仕事で支援する高齢者のために必要に迫られて、かつ自分の老後の暮らしの参考も兼ねて、介護付有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅(以下サ高住)などをかなり見学しました。そこで改めて気づいたことは、私が支援している人は1人を除いてすべて1人暮らしだったことです。
暇を見つけての施設見学もさることながら、要介護度の重度化、軽度化によりその人に合う施設探しと転居による市役所などへの手続きや本人の資金を考慮した管理も大変でした。 それでも、お会いすると、新しい施設でお元気に暮らしている様子にほっと安堵する一方で、誰にも関わらずに、不便な暮らしを続けている高齢者も相当数いるのではと気になりました。
また、高齢者でも判断能力が十分有るのに、単に年齢が高いからという理由で本人を無視して話が進むケースに遭遇しました。今回は近年話題になっている単独高齢者世帯の増加など、誰にも訪れる老後の怖さを身近な例からお話しします。



65歳以上人口の6人に1人が一人暮らし

我が国の人口は1億2,709万4,745人(国勢調査 平成27年10月1日現在) 、大正9年調査開始以来、初めての減少です。単独世帯は1,841万8千世帯(一般世帯の34.6%)と世帯全体の3分の1を超えました。65歳以上の人口3,346万5千人のうち単独世帯の人口は592万8千人と、65歳以上の人口の17.7%を占めており、6人に1人が1人暮らし。男女別にみると、男性が192万4千人、女性が400万3千人、65歳以上の8人に1人が男性、5人に1人が女性です。

事例1  高齢者施設入居時、身元引受人を求める施設も

高齢者施設の入居時の契約時、一般的に身元引受人の署名を求められます。親族があれば親族の名前を書きます。成年後見人等の場合、施設、病院などの契約の代理権が付いている場合に、成年後見人等が身元引受人と書いてあるのを二重線で消し、成年後見人等として氏名を書き押印をします。
しかし、最近、介護付有料老人ホームでも運営企業により、身元引受人は親族でないと認められないところもあります。親族で適当な人がいない、または親族がいない人のケースでは、本人たちに成年後見人等がついているにも関わらず、契約できないこともあります。
なお、サ高住は基本的に賃貸住宅なので、契約時身元保証人を求められ、現役世代などの収入証明を求められることが一般的です。サ高住は入居時本人がお元気で判断能力があるときに利用の申し込みをするのですが、いくら本人に資産や年金があっても、単身の場合、誰もが入居できるとは限りません。身元保証人になることなどをメインにした法人などに、お金を払って身元保証人になってもらう契約をすることも可能です。

事例2  いつ入居するか判断に迷う

若いときの住宅は、日当たりの良さ、通勤や通学に便利なところなど条件さえクリアーすれば、あとはお金に相談で購入が決まります。しかし、高齢期の施設の入居の判断は意外と難しいものです。特に1人暮らしが長い人は要注意です。親族や周りの人からの援助やアドバイスが期待できない、または本人のプライドより頑なな拒否、判断能力が不十分などで、誰がみても在宅が難しい状況なのに認識不足により施設入居が遅れることもあります。誰もが一生に1~2度の高齢者施設入居なので無理はありませんが、若いうちから入居のタイミングの時期 ( ▲▲の状態になったら●●に入居等 ) をある程度自分でイメージしてメモまたは人に伝えておくといいですね。勿論各施設の特徴調査・施設見学・費用の準備もお忘れなく。

事例3  孤独との付き合いは覚悟  ~  自分だけが頼り  ~

重い症状の人が多い大きな病院に行くと分かりますが、殆どの患者には医師の診察時同席したり、車イスを押したりする親族の付き添い者がいます。単身者ならすべて自分1人で医師の診断を受け止め、通院や入院をすることになります。医療費などもかさむ高齢期、人によりお金の心配も募ります。親族が助けてくれない分、自分だけが頼りです。
体が弱ると年金・介護・医療関係の書類が届いても手続きさえできなくなり、様々な社会保障の恩恵すら受けられません。1人暮らしは自由が嬉しいけど、体の自由が効かない高齢期は何ごとも億劫になります。なぜなら人間関係がますます希薄になり、相談する人さえいない状況になるからです。孤独の隙間を詐欺に狙われるのも高齢者の特徴です。

事例4  交通事故・当事者に話を聞かずに状況判断された

歩道の左を自転車で走っていたAさん(70歳代)は、角を曲がって前方から縦に並んで走ってきた学生3人の一番前の人と正面衝突。顔面に相手の頭があたり前歯3から4本損傷し一瞬気絶状況で救急車に乗り病院に運ばれました。すぐに意識は戻ったものの、後で、警察からもらった事故証明には単に正面衝突、過失割合は5分5分とありました。Aさんは高齢ではあるけれど、現役時代空間能力を求められる仕事をしており、前後の状況確認能力は事故後に書いてもらった詳細な図からも今でも人並み以上です。
Aさんの不満は、当事者のことばを何も聞かず相手方のことばのみで警察が判断したこと。確かに高齢になればいろんな面で若いときより衰えが目立ちますが、高齢者も個人によって様々です。
しかし、社会は高齢者を一括りにしがちなのも現実です。さらに、判断能力が不十分かつ関わる人がいない(単身)場合、より不利な立場になる可能性もありますね。



事例5  生活保護を受けている高齢単身者が増加

人は、若いころから老後のために預貯金や国民年金等の保険料を納付していると思うのですが、残念なことに近年高齢単身者の生活保護受給が増えています。20歳から60歳になるまで40年国民年金の保険料を納付して受給できる満額年金額約78万円。生活保護受給は老後までの経過努力でなく、現在の困窮度で判断のため、生活扶助や住宅扶助などの合計額の方が国民年金額より多くなる矛盾が課題。但し、得だから≒心の満足感に繋がるとは限りません。

ちなみに、生活保護を受けている人は214万6,143人 (保護停止中含・対前年比1万7,213人減) 、生活保護を受けている世帯は163万6,636世帯 (保護停止中含・対前年比7,912世帯増)。高齢者世帯は83万4,621世帯 (対前年比3万5,518世帯増)、特に高齢単身世帯は75万6,320世帯 (対前年比3万4,591世帯増) が目立ちます。
生き方は人それぞれですが、単身で生きていくと覚悟したら、「金銭」と「人脈の蓄え」、人生の荒波をしなやかに乗り越える「人間力」を身につけておくことも大切ですね。