若い世代もセカンドライフのイメージをしておこう! ~年俸制導入・パート拡大など雇用環境の変化で変わる受給年金額~


年俸制導入・パート拡大など雇用環境の変化で変わる受給年金額

年金財政が厳しい情報は巷に溢れていますが、働く環境の変化が負担と給付にどう影響するかの説明は意外と知らされていません。これからは将来が不安だからできるだけ長く働きたい人も増えるでしょう。しかし、制度のしくみを知らないまま本当のセカンドライフを迎えたとき、あんなに長いこと働き保険料を負担したのにと驚き嘆く人も増えそうです。
今回は、昨今話題になっている「管理職の年俸制」と「パート拡大」などが年金・健康保険などの負担と給付がどう変わるか改めてお話します。

長く勤めれば収入もそれなりに増える「年功序列制度」から仕事の内容や成果に応じた賃金制度「年俸制」の導入が、日立の管理職対象に平成26年10月から導入される報道がありました。日立は今後一般職にも検討しているとのことです。なお、大企業では既に日立以外に年俸制を採用している企業はあり、管理職の方が、一般職より将来の年金額が少ない逆転をも起こっています!ますます制度のしくみの理解が大切になりそうです。


高齢期の負担増はやむを得ないが約3割だが・・・

少子高齢化が進み高齢者と現役世代の負担水準について、年金や医療を維持するため「高齢期の負担増はやむを得ない」とする人が30.4%の統計結果がでました(平成24年)。前回調査(平成18年)より7.8%増と国民の危機感は相当なものです。但し、そうは言いながら、高齢者の負担が今より重くなるのはやむを得ないとする人の34.0%が50歳代、現役世代が負担すべきとする人の27.3%が70歳以上を占めています。セカンドライフが間近の人の危機感と既に恩恵を受けている高齢者の相反する思いが伝わってきます。

<少子高齢化が進行する状況における高齢者と現役世代の負担水準の考え方について>

少子高齢化が進行する状況における高齢者と現役世代の負担水準の考え方について

厚生労働省 高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書 平成24年

<年齢階級別にみた少子高齢化が進行する状況における高齢者と現役世代の負担水準の考え方について>

年齢階級別にみた少子高齢化が進行する状況における高齢者と現役世代の負担水準について

厚生労働省 高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書 平成24年


年棒制で変わる保険料と年金額 (平成26年度)

一般的に我が国の賃金は、勤続・年齢・学齢・家族・性別など個人的理由による年功序列により決まるのが基本で定期的に昇給します。一方、物価・世間相場・生産性の向上等に対応して全体の賃金の底上げをするのをベースアップといいます。合わせて企業の利益を配分する意味と賃金の後払い的性格を持つ賞与が支給されます。 一方仕事的理由による賃金の年報制には賞与はありません。

<厚生年金の保険料と年金額の計算の基本>

では、年俸制により厚生年金の保険料と将来の年金額、健康保険の保険料はどう変わるのでしょうか。事例で簡単に試算してみます。

厚生年金の保険料は、月々の報酬を30等級に区分した標準報酬月額と年3回以下の標準賞与額(1回上限150万円)に保険料率(17.474% 平成26年9月~27年8月)を乗じた額を収めます(事業主と本人の折半)。健康保険の保険料は、協会けんぽの場合、月々の報酬を47等級に区分した標準報酬月額と標準賞与額(総額540万円)に保険料率(医療 全国平均10%・介護1.72%・平成26年3月~)を乗じた額を収めます(事業主と本人の折半)。なお、組合健康保険組合の保険料率は規約で決まります。

【事例】一般職のAさんと、管理職のBさんの場合

  Aさん  一般職  年収 780万円 Bさん  年俸制 960万円
収入内訳 報酬50万(月)、賞与90万×2回 80万円 (月換算の報酬) ※
厚生年金 標準報酬月額の上限62万円  標準賞与額の1回の上限150万円
健康保険 標準報酬月額の上限120万円  標準賞与額の総額の上限540万円

※年俸制でも事業所との契約により、必ずしも年収÷12月=月額としてないところがあります。

厚生年金・健康保険の標準報酬月額一覧表 (単位 : 円)

厚生年金・健康保険の標準報酬月額一覧表

上記を参考にして厚生年金で比べると、年俸制のBは年収が多いのに標準報酬月額62万円の上限があるため、保険料が少ない分、年金額も少ないことが分かりますね。一方、健康保険の標準報酬月額の上限は121万円と高いので保険料も高くなります。但し、健康保険料などは収めた保険料に比例して治療内容がよくなる訳でもありません。 こうしたしくみを知った上で、保険料の差額分を個人年金づくりに今から投資し、セカンドライフ時の年金の不足分を補っておくのもいいでしょう。

1年分の保険料と年金額           単位 : 円

  A B AとBの差額 (年)
年収 780 960 Bの年収が180万円多い
厚生年金の保険料 681,486 650,028 Aの保険料が31,458円多い
65歳からの 厚年+国年 60,880 58,962 Aの年金額が1,918円多い
健康保険の保険料(介護含) 457,080 555,528 Bの保険料が98,448円多い

※便宜上、数字は平成26年10月現在で概算として試算

年金・医療・介護など社会保険や税制は変わる。一番金銭的にトクする働き方を追い続けるのもいいけど、自分が一番ありたい働き方ができるよう、今から準備していくのも選択肢の1つかも知れないね!

パートで厚生年金加入の方が、保険料が安くなることも!

女性の就業意欲を後押しする 国の政策もあり、今後は短時間労働者が社会保険に加入する人も増えそうです(下図表)。短時間労働者に対する社会保険の適用拡大ですから、当然加入要件は緩やかになります。 例えば、標準報酬月額の場合、最低98,000円が88,000円になるため、低い給与で厚生年金に加入すると、厚生年金の保険料が国民年金の保険料よりさらに低くなります。今後の検討課題とされています。ちなみに国民年金の保険料は月額15,250円(平成26年度)です。事例でみてみましょう。 

働き方を変更するか

※労動政策研究・研究機構  社会保険の適用拡大が短時間労働者に与える影響調査  2013年



標準報酬月額


【事例】給与9万円の会社員の妻の場合

給与9万円の会社員の妻の場合

※便宜上、数字は平成26年10月現在で概算として試算


現在、会社員に扶養されていた妻の年収が108万円の場合、国民年金の第3号被保険者なので、国民年金の保険料を自身で納付せず、第3号期間が年金額に反映されます。改正後、厚生年金と健康保険に加入した場合、厚生年金と健康保険の保険料は約15.4万円、国民年金の第1号被保険者の年保険料(年18.3万円)より低額で将来の年金額は国民年金加入のみより多くなります。

働き方の選択は人によりさまざまです。以上は加入年金で異なる保険料と年金額の比較ですが、遺族年金が絡めばまた事情が異なります。つまり、全てオトクな働き方はありません。 年金の改正が増えた今、ますます、自身の生き方が問われる時代になりつつあると言えそうです。

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