知らなかったでは済まされないリスク ~夫婦が離婚したときの年金の改定請求の期限~


夫婦が離婚したときの年金の改定請求の期限

平成15年から6年連続で減少していた離婚件数が平成21年に増加、平成22年はまた減少したと厚生労働省(平成22年 人口動態統計 )から発表されました。ただ、離婚件数の減少イコール離婚に伴う年金分割の請求件数ではありません。年金分割の請求は、離婚した翌日から原則2年を超えると請求できません。逆にいえば、何らかの事情で離婚後しばらくしてから請求する人も多く、離婚件数と年金分割の請求件数には時間差があるのです。
今回は、最近増えつつある、離婚は成立したけど離婚分割の請求期限に間に合わず年金が受給できないケースについてお話しましょう。請求手続きが済み受給権が確定してこそ意味があるのが年金です。改めて、「公的年金は請求主義」を肝に銘じておきたいものです。

離婚と離婚分割の実態

5年ごとの同居期間別から見た離婚件数の実態は下図の通りです。
同居期間によって、離婚件数の割合が違うことが分かります。(ただし、前述のとおり、この離婚件数が年金分割の請求件数に直結するというわけではありません。)

次に、年金分割を請求する人(分割改定者)について、婚姻期間別に見てみると、分割対象(婚姻)期間は10年~20年の方々が多く全体の48.2%を占めており、年金の按分割合のほとんどが2分の1(94.0%)です。この場合、分割後の平均年金月額は、分割する人が115,625円、分割を受ける人が80,523円となっています。夫婦のままなら家族手当的な加算もあり世帯での年金額も多くなりますが、離婚すれば加算もなくなり、年金分割する人と年金分割を受ける人共に老後の生活を支えるには十分な額ではないことがよく分かりますね。


年金分割の改定請求は、原則離婚後2年以内ですが・・


公的年金は受給権ができたあと請求が遅れても5年以内の分は受給ができます(時効は5年)。しかし、年金分割の請求の時効は原則2年です。離婚などの翌日から原則2年を超えると分割年金の請求はできません。離婚などとは、夫婦が離婚、または第3号被保険者である事実婚の人が事実婚を解消も含みます。
平成19年4月以降、夫婦が離婚などをして按分割合を決めますが、その按分割合が話し合いで決まらないとき、裁判所が按分割合を決めてくれます。調停の申し立てなどの手続きが遅れると、調停の成立が離婚後2年を過ぎることも予想されます。そんなときこそ、以下の手続きの流れを知っておくとよいでしょう。

夫婦の話し合いで按分割合が決まらないとき

ポイントは、2点です。

  1. 離婚2年の間に裁判等の申立をしておくこと。申し立てには「年金分割のための情報通知書」が必要です。
    これをしておくことで、仮に調停成立まで2年以上かかったとしても、年金受給の手続きが行えます。
  2. 調停成立などの翌日から1カ月の間に年金事務所で年金分割の改定請求をします。

離婚をする人の事情も様々。精神的に弱っている人も多くすぐに請求手続きに移れない人もいます。請求には期限があることすら知らない人もいます。家庭裁判所で請求時期をはっきり聞かず確認していないケースもあります。結果、せっかく調停が成立、審判が確定などしたのに、改定請求遅れになるケースがあるのです。


年金分割のチラシ等見たことがありますか?

年金の相談を多く受けて感じるのは、自分が受給する年金なのに何も調べようとしない人が多くいることに驚きです。ましてや離婚という人生の一大事に直面しても年金分割のチラシすら見たことがない、見ようとしない人もいます。何も知らされなかったら、疑問を持って自分から聞ける知識を事前につけておくことも大切です。老後の生活のベースを支える年金額は少しでも多い方が嬉しいからです。

離婚理由は人さまざまで立ち入ることはできませんが、人生は1回限り、自分の老後の暮らしを守るために、当然の権利を得ようと貪欲になっても恥じることはありません。離婚時の年金分割制度を確実に利用していただくことを願って止みません。

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