介護で離職しないために~介護を続けながら働く選択肢もあることを知っておきたい~

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長寿化、少子化が進む中、少しずつ仕事を続けながら介護をしている人も増えているようです。最近は、親の介護をされている方がマスコミを通じて積極的に情報発信する機会が増えてきたことは嬉しい限りです。当事者にとっては、介護の大変さを共有できるだけでも違います。
昨年、地域で所属している「介護準備の会」主催で若年性アルツハイマーの母を介護する30代の女性のお話を聞く機会がありました。ブログで情報発信されているようで、当日の会場にも若い賛同者が沢山きてくれていました。私が黙々と1人で母の介護をした30年ほど前とは、介護と向き合っている人の意識も環境も変わりつつあります。
今や、誰もが直面する「介護」、いつから始まるのか、いつ終わるのかわからない親や配偶者等の介護だからこそ、いろんな人を巻き込んで少しでもゆとりを持って介護できればいいですね。国の「働き方改革」の1つ、「介護離職」をなくそうが少しずつ浸透してきたようです。
今回は、今後ますます長くなる人生を見据え、介護する人の人生も大切にして欲しいと言う気持ちを込めてお話します。

働き方改革とは

働き方改革とは、働く人がそれぞれの事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できる社会の実現に向けて国が取り組んでいる改革です。少子高齢化が進む中、働く人一人ひとりが将来の展望を持てるように「ワークライフバランスの実現」を目指しています。
働き方改革で取り上げられているテーマの1つに、病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者の就労があります。

介護をしながら働く環境も整いつつある

我が国の65歳以上人口は、1950年には総人口の5%弱でしたが、平成30(2018)年10月1日に28.1%に(2019年は28.4%)になりました。また15~64歳人口は平成7(1995)年に8,716万人でピークを迎えましたが、平成30(2018)年に総人口の59.7%に減少しています。一方、総人口は減り続けており令和47(2065)年には8,808万人になると推計されています。社会の活性化のためにも、働く意欲がある人が働きやすい環境整備も徐々に進んでいます。介護をする人の意識次第で働き続けられる環境も整いつつあります。

高齢化の推移と将来推計
(令和元年版 高齢者白書)

過去1年間に介護・看護等のために離職した人は9.9万人(離職者の1.8%)。男性は2.4万人、女性は7.5万人と、女性が約8割を占めています。前回の調査時より離職者は減少していますが、未だに女性の介護負担が重いのがわかりますね。また、15歳以上で介護をしている女性の有業率は増加していますが、パート・アルバイトが多いのが実情です。働き方による収入差でもって、介護等の担い手を選択しているのかも知れません。

就業状態別介護・看護のために過去1年間に前職を離職した者及び割合

男女 年齢階級別介護をしている者の有業率
就業構造基本調査 平成29年 総務省統計局

未婚者は男女ともに7割が自分で親を介護

今までに介護が必要な親がいた40~64歳の男女に、主に介護をしている親の人数を問う統計では、男女とも未婚者の割合が高くなっており、全体的男性より女性の方が、自分で親の介護をする人の割合が多い結果がでています。

自分自身が主に介護(身体介助)している(したことがある)親の人数
(40~64歳の男女・未既婚別・介助が必要な親がいた人のみ)

仕事と介護の両立の6つのポイント~職場復帰を前提に動く

私が母の介護をしたときは、介護保険制度もなく、まだ若くて介護の知識もなく、ひたすら母を思う気持ちだけで乗り切りました。しかし、今はその気になれば役にたつ情報を調べることが簡単に出来ます。介護に向き合うとき、以下の6ポイントも参考にしてください

  1. 職場に介護していることを伝え、必要に応じて勤務先の仕事と介護の両立支援制度を利用する
  2. 介護サービスを利用し、自分で「介護しすぎない」
  3. 介護保険の申請は早めに行い、介護認定前から調整を開始する
  4. ケアマネジャーを信頼し、「何でも相談する」
  5. 日頃から「家族や要介護者宅の近所の方々等と良好な関係」を築いておく
  6. 介護を深刻に捉えず「自分の時間を確保」する

※厚生労働省 平成29年度 仕事と介護の両立支援ガイド、仕事と介護の両立セミナー など参考

「介護休業や介護休暇」は、要介護等の認定やケアマネジャーを決める、施設見学など仕事と介護の両立のための準備をする介護体制づくりに使うといいでしょう。要は仕事に復帰できる体制を作っておき、介護が終わったとき自分の「居場所」を確保しておくことです。

今後の課題~自身の人生も大切に

諸事情から親の介護を引き受けざるを得ないときでも、親族がいる場合は、介護に必要なお金のこと、介護の方針、役割分担などを事前に話し合い共通の認識を確認しておきましょう。気がついたらつきあう世界が狭くなっていたり、公的年金の加入内容次第では自身の老後破綻の不安もでてきます。よくあるのが、介護していた母が亡くなったとき、母親が受給していた父の遺族厚生年金の重みに気づく例です。遺族厚生年金は成人した子に引きつがれません。だからこそ、いろんな人と関わる場と、自身の年金を増やしておく働き方が必要なのです。

介護保険の環境も変わりつつあります。2025年には団塊世代が75歳になり介護が必要な人の増加が予想され、若い世代の負担も心配されています。現在、慢性的な介護職員不足や財政問題で、特別養護老人ホーム(特養)などの入所条件も原則要介護3以上と厳しくなっています。認知症で徘徊などが頻繁でも、身体の状況次第で入所が困難なこともあります。

分からないことは地域包括支援センターに相談しましょう。誰もが直面する介護の時代だからこそ、介護保険料を払う40歳から職場や介護の専門家、親族もまきこんで「ひとりで抱え込まない」生き方を身につける準備をしておくといいですね。