第18回:リフォームの建築請負契約書のチェックポイント(1)


数十万円単位のリフォームでも必ず契約書を作成

以前にも触れたように、リフォームを巡るトラブルの要因の一つとしてあげられるのが、契約書の不備という点です。口約束だけで工事に入ると、工事途上や終了後に「話が違う」「いったいわない」の問題が発生することが多いのです。契約書があったとしても、内容が不備なものであれば同様です。必ず必要な項目がキチンと記載されているかどうかを確認しておく必要があるのです。

一千万円単位の住宅そのものと違い、やや金額が小さくなることもあって、契約書を軽く考えがちですが、数十万円単位の簡単なリフォームであっても、必ず契約書を作成するようにしたいものです。
もしも依頼しようとする先が契約書の作成をしぶるようなことがあれば、そんな会社には依頼しないのが無難です

契約書にはどんな内容が盛り込まれているのか

リフォームを依頼する注文主と、工事を行う施工業者との間に交わされるのが、「工事請負契約書」で、そこには、次のような項目が盛り込まれているのがふつうです。一つでも欠けている部分があれば、必ず署名・捺印する前に確認をとっておきましょう。口頭だけでは不安なときには、文書化してもらうようにしておいたほうがいいでしょう。

以下、順を追って各項目と、そのポイントを整理しておきましょう。

1.工事内容
工事全体の名称とともに、工事箇所が複数にわたる場合には、工事内訳とその代金の明細が記載されます。明細に関しては、たとえば、キッチンの壁タイル工事であれば、数量2m2、単価2万円、金額4万円――などと記載されます。念のため、ヨコとタテを検算してみて、計算に間違いがないかどうかも確認しておきましょう。
もちろん、依頼する工事がすべて記載されているのが大前提です。ここに記載されている工事が依頼するすべての工事になります。あとで、あれもしてもらうはずだったということは通用しません。
2.請負金額
工事内容とそれぞれの金額の合計に、消費税を加算したものが工事請負金額になります。必ず実際に注文主が支払う金額である税込みの価格を確認しておきます。

代金の支払い方法にも注意が必要

3.着工の時期と完成の時期
契約書では、「工期」としていつからいつまでと記載されます。その期間を確認すると同時に、終了後にすぐに使えるようになるのかも念のために確認しておきましょう。コンクリートの工事など、工事終了後も完全に乾燥するまでその部分が実際には使えないこともあるので注意が必要です。
4.工事代金の支払い方法
通常は、契約時に頭金として一部を支払い、工事に着工するときに着手金を、そして終了後に残金を支払う形になります。いつ、どれくらい支払うのかは地域による慣習や、業者の内規などもあるので契約の前に確認しておき、その通りになっているかどうかをチェックしておきます。また、ローンを利用するときには、融資が実行されて資金を受け取る日に合わせて支払い時期を設定しておく必要があるのはいうまでもありません。

次回は「5.設計変更や工事中止の場合の損害負担をどうするか」以下の項目について解説します。

<<請負契約者の必須項目>>

  1. 工事内容
  2. 請負金額
  3. 着工の時期と完成の時期
  4. 代金の支払い方法
  5. 設計変更や工事中止の場合の損害負担をどうするか
  6. 火災などの不可抗力による損害の負担をどうするか
  7. 工事中の火災保険に関する定め
  8. 竣工検査と引渡時期
  9. 履行遅滞など、債務不履行の場合の延滞利息や違約金の定め
  10. 区分所有に関する定め
  11. 契約に関する紛争を解決する方法
  12. 瑕疵の保証に関する定め

住宅リフォーム推進協議会の請負契約書(pdfダウンロード:371Kb)