マイナンバー導入で、私たちに影響はあるのでしょうか?


マイナンバー導入で、私たちに影響はあるのでしょうか?

今回、回答いただく先生は…

村井 英一先生
(むらい えいいち)
プロフィール
  • 社会保障の手続きが効率的になり、負担が少なくなります。
  • 所得がより正確に把握され、税務署から指摘を受ける可能性があります。
  • 自分や家族の所得によって、申告漏れとならないように注意が必要です。

小林俊夫さん(仮名 55歳 団体職員)のご相談

個人番号の通知カードが届きました。これが「マイナンバー」というものですね。いろいろとマスコミで報道されていますが、これによってどう変わるのかが、今ひとつピンときません。なにか注意しておく必要はありますか?

小林俊夫さん(仮名)のプロフィール

家族構成: 小林俊夫さん:(55歳 団体役員)
妻 まゆみさん:(51歳 パート)
長男23歳(大学院生)、長女19歳(大学生)

諸手続が簡単になる反面、副業や家族のパート・アルバイトの収入も把握され 所得税だけでなく扶養家族控除にまで影響する可能性も

1.社会保障関連の申請が楽になるなどのメリットがあります。

マイナンバー(個人番号)の通知カードが届いたものの、実際にどのような場面で使うのか、私たちの生活にどのような影響があるのかが、わかりにくいですね。 マイナンバーは、「行政の効率化」「国民の利便性の向上」「公平・公正な社会の実現」を目的に導入されました。具体的には、社会保障関係の手続きで添付書類が減るなど、手続きが簡単になることが考えられます。

申請手続きなどに所得などの証明書が必要となることがあります。今までは役所ごとに個人の情報を把握していましたので、手続きが面倒でした。例えば、引っ越し先で児童手当を受ける場合には、前住所地で所得証明を発行してもらい、添付する必要があります。また、退職して国民健康保険に加入する場合には、それまで加入していた健康保険組合が発行した資格喪失証明書が必要です。
マイナンバーが導入されると、申請を受けた役所や関係機関は必要に応じて他の役所からの情報が得やすくなります。その結果、添付書類の必要がなくなり、申請する人の負担が減ることになります。さらに、申請の審査にかかる時間が短縮されることにもつながります。

また、申請すれば優遇を受けられるのに、制度を知らないためにその恩恵を受けていない人も少なくありません。例えば、国民年金の保険料は所得に応じて保険料が減免される制度があります。しかし、そのことを知らずに「未納」となっている人は少なくありません。また、医療費が一定額以上になると、申請によって高額療養費というものが支給されますが、これも該当することを知らずに申請をしていない人がいます。そのような人に対して、役所や関係機関が通知をすることも増えてくるでしょう。ただ、マイナンバーが社会保障関連に利用されるのは平成29年からで、実際にどの程度便利になるのかは、まだはっきりしていません。
申請すると発行される「個人番号カード」は、写真付きの本人確認証となります。今まで本人確認が必要だった場面で、個人番号カードを利用することができます。将来的には、健康保険証としての利用も可能となる予定です、いずれは民間での活用も期待されています。

今すぐにメリットを感じる機会はほとんどありませんが、将来的にはいろいろな場面で便利に利用されるでしょう、ということのようです。

2.税金の申告漏れに注意しなければなりません。

当面、マイナンバーが必要になるのは、税金に関する手続きの時です。マイナンバーの目的の1つに「公平・公正な社会の実現」がありますが、これは脱税や不正受給を見逃さないようにする、ということです。税金の面では、一人ひとりの所得を正確に把握し、きちんと所得税を徴収するために利用されます。
もちろん、今までも脱税などの不正が許されていたわけではありません。しかし、収入の把握が難しかったり、手間がかかるなどのため、見逃されている部分も少なからずありました。住所と名前だけで名寄せを行うのは人手がかかり、正確性にも欠けていたからです。税務調査は、大きな金額が動くケースや無作為に抽出されたものだけに限られていました。

今後は、税金にかかわる、あらゆる書類にマイナンバーが記載されるようになります。すると、一人に一つの番号で情報が管理されるため、オンラインで名寄せができるようになります。作業が効率的になれば、より多くの指摘をするようになることが考えられます。「これぐらいの金額ならわからないだろう」というわけにはいかなくなるでしょう。 意識的に申告しなかった、ごまかしていた、というケースだけでなく、「うっかりしていた」「知らなかった」という場合でも、税務署から指摘が入る可能性があり、今後はくれぐれも注意が必要です。

3.ご自身の副業と家族のアルバイト、パート収入には注意しましょう。

お勤めの人は基本的に給料から源泉徴収されていますから、あまり税金というものを意識することはなかったかもしれません。それだけに、うっかり「申告漏れ」とならないように注意したいものです。 副業などで勤務先以外から年間20万円以上の所得がある場合は、確定申告が必要ですが、無申告の人も少なくありませんでした。今後は、マイナンバーで名寄せが簡単になるため、小さな金額でも税務署から指摘を受ける可能性があります。申告をすると、勤務先に副業していたことがわかってしまう場合もあります。給料から徴収する住民税の金額が多くなるからです。講演料や原稿料、単発のアルバイトなどが重なり、年間20万を超えてしまうことはあります。隠すつもりがなく、ついうっかりという場合でも、申告漏れには変わりありません。

妻のパート、子どものアルバイトによる所得などは、知らないことが多いのではないでしょうか。これによる問題も増えそうです。妻や子どもを「扶養親族」として勤務先に届け出ていたのに、年収が103万円を超えていた場合、税務署から指摘が入る可能性があります。それぞれ「配偶者控除」「扶養控除」が適用され、所得税・住民税が少なくなっていたからです。もちろん、今までも制度は同じですので、指摘を受ける可能性はありました。しかし、所得の把握が難しく、見過ごされていた面があります。今後は、マイナンバーで管理されますので、税務署は家族間の所得の把握が簡単にできるようになるでしょう。学生でも、バイトにのめり込めば「扶養控除」の範囲を超えてしまいます。本人が正確に答えないようなら、扶養の対象にしないことも考えなければなりません。
マイナンバーの制度の導入により、税金の制度が変わるわけではありません。しかし、国や自治体からすると、所得の把握が容易になります。今までよりも小さな申告漏れや申告のミスに対しても修正を求められる可能性があります。

このように見ていくと、マイナンバーにメリットよりもデメリットを感じてしまうかもしれません。しかし、安易な申告漏れができるようでは、まじめに納税している人が損をしてしまいます。誰もが適正な納税をしなければならない制度になれば、まじめに税金を払っている多くの人にとって納得がいくようになります。またその結果、税収が増えれば、財政赤字の縮小にもつながり、将来の国民の負担が少なくなります。このことは、私たち納税者にとってメリットであるといえるでしょう。

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