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森田 和子先生 (もりた かずこ) プロフィール |
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石塚舞依さん(仮名 33歳 パート勤務)のご相談
毎月の給料から5万円、ボーナスからは20万円の貯蓄をしていますが、生活費が足りなくなるとそこから使ってしまい、なかなか貯蓄が増えません。教育費も心配ですし、いつかは家も買いたいです。どうすればもっと貯蓄を増やすことができるでしょうか。
石塚舞依さんのプロフィール
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家計簿をつけてお金の流れを掴むことから始めましょう。
支出の見直しは、節約効果の高い固定費4項目から。
支出の見直しは、節約効果の高い固定費4項目から。
こんにちは、石塚さん。ご相談ありがとうございます。「お金を貯めたいと思っているのに貯まらない」悩みを多くの方が抱えていると感じます。レジャーや外食の回数を減らす、衣服の購入は控えめにするといった節約を石塚さんもすでに心掛けているのではないでしょうか。
家計の見直しは家計簿を利用して今の家計を知ることから始め、貯められる家計に変えていきます。一緒に考えていきましょう。
家計簿をつけ始める前に予算を立てましょう
毎月の手取り収入は2人合わせて31万円、そのうち5万円を貯蓄にまわすとすれば残りは26万円ですね。「毎月26万円あれば生活できる」と考えていても、実際にはそれ以上の金額が出て行っているのが現在の状況です。
まずは「毎月いくら使っているのか」を明らかにするところから始めてみましょう。銀行の通帳を見て、口座から引き落とされている支出と、口座から引き出して使っている現金の金額を確かめます。おそらく、引き落としと現金の合計は手取り収入の31万円以上ではないでしょうか。
家計を見直すためには家計簿が必要です。家計簿をつけ始める前に予算を立ててみましょう。家計の平均データも参考にしてみてください。
食料 | 65,505円 |
住居 | 16,418円 |
光熱・水道 | 20,044円 |
家具・家事用品 | 9,049円 |
被服及び履物 | 9,913円 |
保健医療 | 9,630円 |
交通・通信 | 40,034円 |
教育 | 10,604円 |
教養娯楽 | 23,206円 |
その他 | 47,969円 |
消費支出合計 | 252,371円 |
※総務省「家計調査報告 平成29年『世帯収入が455~592万円の家計収支 月平均額(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)』」より作成
家計簿は詳細につける必要はありません。「にんじん198円、シャンプー480円」と記録しなくても、食材や日用品などをほとんどAスーパーとB商店で購入しているなら「Aスーパー2,646円、B商店410円」でもよいのです。何にいくら使っているか、お金がどこに流れているのかを明らかにするのが目的ですから、「細かくしっかり」よりも、「とにかく続けられる」ようにしてください。家計簿アプリを利用するのもよいでしょう。
家計簿は平均よりも多いから無駄遣いをしているので「ダメ」、少ないからよく節約できているので「素晴らしい」ということではありません。わが家と他の家庭では家族の事情も家風も違いますから、家計簿の数字を平均に近づけることが目的ではありません。とはいえ、平均とわが家の家計簿を比べてみることで、節約できそうな部分に自分達で気づくのではないでしょうか。
固定費の見直しを検討しましょう
家計簿を利用した家計の見直しと同時並行で取り組みたいのが固定費の見直しです。毎月決まって出ていくお金を減らすことができれば、それだけで家計は改善されます。
見直すことによって効果が高い固定費は下記の4つです。
- 家賃
- 自動車の費用
- 保険料
- 携帯料金
- 家賃
石塚さんの家賃は毎月10万円とのこと。支出に占める割合は大きなものです。仮に家賃が8万円であれば、毎月の支出が2万円カットできることになります。引っ越すとなれば、一時的にはその費用も必要になりますが、賃貸物件に住む期間が長くなるほど住居費節約の効果は高くなります。
少なくとも、現在よりも家賃の高い物件への引っ越しは考えない方が良いですね。 - 自動車の費用
小さなお子さんがいると何かと重宝する自動車ですが、マイカーを保有するとガソリン代、自動車税、車検代などがかかり、年間数十万円の支出になるはずです。通勤は電車、車に乗るのは週に数回という程度ならば、本当に車が必要かを考えてみましょう。近所でカーシェアリングが利用できるかもチェックしてみるとよいですね。思い切って車を手放せば、年間数十万円、月あたり数万円の節約効果が期待できます。 - 保険料
生命保険や損害保険の保険料がいくらなのかは今すぐ確認することをおすすめします。保険証券、引き落とし口座の通帳などがあれば金額がわかりますね。勧められるままに加入して内容がよくわからないのであれば、この機会に見直すのもよいでしょう。保険は必要なものですから「見直す=解約する」ではありません。加入している保険の担当者、来店型保険ショップ、ファイナンシャル・プランナーへの相談も検討してみてください。勤務先が斡旋する団体保険の内容も必ずチェックしてみましょう。割安な保険料で加入できる場合があります。 - 携帯料金
機種変更前に利用したアプリの料金を延々と支払っている場合もあるので、料金の内訳をしっかりチェックしてみましょう。格安スマホへの変更や、思い切って1台減らすことができるのであれば節約効果は大きいです。
「なかなか貯められない」と言いながら、全く貯められていないわけではなく、児童手当も貯蓄できています。「毎月の収入から積み立てる」というのは貯蓄の王道であり、石塚さんの考え方が間違っていたわけではありません。ここでしっかり見直せば、貯められる家計になっていくと思います。頑張ってください。