離婚後、娘と2人暮らしです。 生活がかなり苦しく、毎月貯金の取り崩しとなっています。


離婚後、娘と2人暮らしです。
生活がかなり苦しく、毎月貯金の取り崩しとなっています。

鈴木 暁子先生 (すずき あきこ) プロフィール
  • できる限り美智子さんが収入を増やしましょう
  • 土地と家屋は売却も視野に入れたほうがよいでしょう
  • いろいろな制度をしっかり活用しましょう

田島 美智子さん(仮名 50歳・パート)のご相談

50代パートです。今年離婚し、娘と2人暮らしをしていますが、生活が苦しく、毎月貯金から赤字補てんしている状態です。このままでは生活が立ち行きません。
財産分与で古い土地付き家屋をもらいました。息子夫婦もマイホームを持ちたいようなので、ここに住まわせ(リフォーム費用などは息子夫婦が支出)将来同居するか、娘がローンを組んで自分たちがリフォームして住もうかと思っています。

田島 美智子さん(仮名 50歳・パート)のプロフィール

家族構成 : 本人
長女 (23歳 会社員 同居)
長男 (27歳 会社員 既婚 別居)
美智子さん : パート収入 (90万円)
預貯金 (300万円)
お嬢様 : 給与収入 (280万円)

収入を増やして経済的に自立することが第一
できなければ娘さんの扶養家族になるという選択も

1.まずは家計管理習慣から課題点を見つけましょう

田島さん、こんにちは。
離婚、パートのリストラなどさまざまなことが続きご苦労も多いと思います。でも、新しいパートを見つけるなど前向きに行動しておられ、早く生活が落ち着かれると良いですね。

ただし、現在の田島さんの家計は相当厳しいものです。

【田島家の収支状況】(単位:円)

【収入(税引き後手取り)】
毎月 ボーナス時、臨時
田島さん 75,000
お嬢様から 50,000
収入合計 125,000 0
【支出〈固定費)】
毎月 ボーナス時、臨時
住居維持費 70,000
住宅ローン 10,000
保険料 15,000
小遣い 10,000
固定費合計 105,000 0
【支出(やりくり)】
食費 50,000
水道・光熱費 10,000
通信費 6,000
交際費 0
教養娯楽費 4,000
雑費 2,000
やりくり費合計 72,000 0
支出合計 177,000 0
年間収支 -642,000

【田島さんの貯蓄状況】

【貯蓄残高】
商品名 合計
預貯金 3,000,000
貯蓄残高合計 3,000,000

現在はお嬢様からの生活費分5万円を含めても毎月約5万円の赤字となっています。このままでは6年後に家計が破綻することになります。

とはいうものの、生活も慎ましやかだと思いますので、これ以上節約というのも難しいかもしれません。ただ、2人暮らしで朝夕食の2食(昼食はそれぞれ外で済ませるので)で5万円の食費はちょっと多いような気がします。食材を使い切るようにメニューを工夫したり、ちょっとした無駄を減らすことで、1万円程度の節約は不可能ではありません

根本的には田島さんの収入アップを図りたいところです。このご時世ですし、年齢的なこともありますので決して簡単ではないと思いますが、いずれお嬢様がご結婚されても経済的に自立できていることは大きな安心です。
仕事をしながらにはなりますが、現在の職場でのステップアップ、あるいは好条件の勤め先を探すなどしばらく頑張ってみましょう。できればフルタイムで月13万円くらいは目指したいところです。

2.土地や家屋は自分の命綱と思って有効活用しましょう

家屋は基礎部分が傷んでおり、そのまま住むには危険とのこと。息子さんご夫婦に使わせ、将来同居する、あるいはお嬢様がローンを組んでリフォームし自分たちが住むなどの選択肢を検討されていますが、現状ではどちらも見合わせるべきと考えます。

まず、お嬢様はいつかはご結婚されて家を出ることになります。その際、実家のためにローンを抱えていては、お嬢様の新しい家計に重大な影響を及ぼします。たとえ今、同居をしていても、そこの線引きは明確にしておかなければなりません。
息子さんご夫婦にとっては新居を購入するよりリフォームしたほうが安く上がり、渡りに船かもしれません。ただし、田島さんが「将来は同居」と考えていても、息子さんご夫婦がそれを受け入れるかどうかは別問題。もちろん、当初は同居でもなんでもする覚悟でいるかもしれません。しかし息子さんご夫婦も子どもができて、徐々に自分たちの生活スタイルを作っていくうちに、同居に難色を示す可能性もないとはいえません
その場合、同居しないからと追い出すわけにもいかないでしょう。そうなると実質この資産をご自身のために使うことができなくなります。

田島さんに必要なものは貯蓄です。持ち家を持つことで、その後のランニングコスト(固定資産税、定期的な修繕など)がかかるのは、より家計を圧迫する要因となります。収入がアップできず、貯蓄の取り崩しが続くことも視野にいれ、また今後お一人になられた際、医療費、介護費、施設入居などの費用や老後資金準備も兼ねて、自宅を売却して貯蓄を増やすということも選択肢に入れておくことをお勧めします。

3.さまざまな制度を活用することも検討してみましょう

これまで田島さんはご主人様の扶養家族となっていました。ところが離婚によって、その恩恵を余儀なく、剥奪されることとなってしまったわけです。もちろん、田島さんご自身は働き口を探し、自立への努力をされています。しかし現状の収支状況が改善しない限り、家計の破綻は免れません。
そこで、お嬢さんの扶養親族になることを検討してみてはいかがでしょうか。

扶養親族には、税法上の扶養親族と健康保険上の扶養親族があり、条件が異なります。 税法上の扶養親族とは、その年の12月31日の現況で、次の四つの要件のすべてに当てはまる人です。

  1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
  2. 納税者と生計を一にしていること。
  3. 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて、一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

次に健康保険上の要件です。こちらはかなり多くの要件が必要となります。

  1. その家族は健康保険法に定める被扶養者の範囲であること。
  2. 後期高齢者に該当していないこと。
  3. 被保険者がその家族を扶養せざるを得ない理由があること。
  4. 被保険者がその家族を経済的に主として扶養している事実があること(=その家族の 生活費を主として負担していること)。
  5. 被保険者には継続的にその家族を養う経済的扶養能力があること。
  6. その家族の年収は被保険者の年収の1/2未満であること。
  7. その家族の収入は年間130万円未満(60歳以上又は59歳以下の障害年金受給者は年間180万円未満)であること。

もし、税法上の扶養親族として認められれば、38万円の扶養控除を計上できるため、お嬢さんの源泉所得税がこれまでより3万8千円少なくなり、その分を生活費に入れてもらうことができます。

また、健康保険上の扶養親族と認められた場合は、現在田島さんが払っている国民健康保険料(約6万円くらいでしょうか)が不要になります。
これらにより年間約10万円、食費の節約が実現できれば合わせて年間約22万円程度の家計改善が期待できます。
田島さんの場合は、客観的にはいずれも該当するのではないかと考えられます。
ただし、健康保険の場合は、最終的には健保組合の総合的かつ厳正な審査での判断となります。いずれにしてもとりあえずは申請をしてみてはいかがでしょう。

4.最後に

これまで、少なくとも生活費の心配をしなくてよかった生活から一転、経済的な不安を抱えることとなってしまいました。
お嬢様と仲が良いのが喜ばしいことですが、家計管理はなし崩しにならないように意識してください。また、自分で管理できないので、お嬢様に管理をさせていらっしゃるとのことですが、今後、ご自身の家計はご自身で管理するようにしましょう。それも経済的な自立につながります。

前向きで、慎ましい生活でもギスギスしていない田島さん。ぜひ収入アップが図れるお仕事が見つかりますよう、心から応援しております。