優待に注目した株式投資はお得なのでしょうか?


伊藤 美和先生 プロフィール
貯蓄や投資を始めてしばらくすると、誰の頭にも思い浮かぶのが1000万円という夢の数字。「1000万円お金を貯める」ということはハードル走に似ています。100万円、300万円とハードルをクリアするごとに貯まるスピードはどんどん加速していきます。この「貯める・殖やす」のコーナーでは、皆さんがハードルを楽に越え、早くゴールにたどりつけるよう、お手伝いができればと思います。何でもお気軽にご相談ください。

石井 英樹さん(仮名)のご相談

自分たちが老後を迎える頃には「年金だけでは生活費が足りないかも…」という思いから、株で資産運用を始めることにしました。株価に一喜一憂するのは避けたいので、「株主優待」を楽しみながら株投資してはどうかと思っています。でも株投資の経験がないので一抹の不安がありますし、教育費の貯蓄や住宅ローンの繰り上げ返済とのバランスはどのように考えていけばいいのかという疑問もあります。アドバイスをお願いします。

石井さん(仮名)のプロフィール
41歳地方公務員。39歳の奥様(会社員)、長男(10歳)、次男(6歳)長女(5歳)の5人家族

収支の状況

1.収入
 月収(夫/手取り) 347,000 円    
2.月間支出費用
 住宅ローン 86,000 円  食費 62,000 円
 外食 6,500 円  水道・光熱費 17,000 円
 通信費(携帯代を除く) 6,400 円  携帯電話代 4,300 円
 子ども費 37,000 円  夫こづかい 30,000 円
 新聞・雑誌代 6,000 円  被服費 10,000 円
 交際費 10,000 円  貯蓄 30,000 円
 学資保険 14,700 円  生命保険 23,621 円
3.ボーナス収入(手取り)
 ボーナス(夫/手取り) 83万円×年2回    
4.ボーナスからの支出
 住宅ローン 24万円  税金・保険料・車検 32万円
 レジャー費 12万円  家電費
 (液晶TVとDVD購入)
55万円
 被服・その他 13万円  貯金 30万円

現在の貯蓄等

   毎月の積立額 総額 備考
 学資保険 9,610 円 長男分
(15・18歳100万円ずつ)
 学資保険 5,090 円 次男分(18歳満期100万円)
 普通預金 20万円
 定額貯金 350万円
 ニュー定期 150万円
 豪ドルMMF 65万円 評価益 約+15万円

毎月&ボーナスの支出について

  • 被服費や交際費は毎月1万円ずつ積み立てた中から支出。スーツ代はボーナスから出している。
  • 毎月3万円は貯めているが赤字スレスレ。来年4月、末っ子が小学校に入学したら妻がパートに出る予定。それまでは何とかガマン。
  • ボーナスは半分を貯金に回してきたが、昨年は液晶テレビとDVDを買った分(55万円)、貯蓄するお金が減った。

今後のマネープラン

  • 学資保険で用意できている教育費は、長男200万円、次男100万円のみ。来年4月に妻が働き出したらペースを上げて「もっと貯めないと…」と思っている。
  • 今年から3年間、入学が続くので、厳しい家計運営が続きそう。(今年→次男が小学校入学、来年→長女が小学校入学、再来年→長男が中学校入学)
  • 住宅ローンは60歳で完済予定だが、無理のない範囲で繰り上げ返済したい。

株投資について

  • 最初は1銘柄からスタートして、異なる決算月の株を徐々に増やしていき、いずれは毎月のように配当や優待をもらえるようになれれば、と考えているが、うまくいくか…。

株は「成長する」と思える会社に投資することが基本です!

アドバイス1:「株主優待」は、あくまで「オマケ」と心得ましょう

株式投資の基本は「成長の見込める会社に投資。株価が上がったら売却して利益を得る」ことにあります。また投資している会社が発展する過程では株式分割(既に発行されている株式が一定比率に分割されて、株数が増えること)も期待できます。例えば1979年10月15日に上場した「セブンイレブン」の場合、上場時(初値1800円)に1000株購入して現在(1/11終値3220円)まで持っていれば、3万8070株に増加している計算になります。180万円(1800円×1000株)が、1億2258万円(3220円×38070株)に増えた計算となります!

低金利の今は「配当に株主優待のメリットをプラスすると‘預金よりもトク’!」と思ってしまう人が多いのも無理はありません。でも「株」は会社が倒産したら、紙クズになるリスクがあります。配当に株主優待のメリットをプラスしても、倒産リスクにペイできる銘柄は実はあまりないということを覚えておきましょう。

アドバイス2:「株主優待」に注目した投資にもメリットがある場合も…

でも実際問題として、株投資の初心者が「成長の見込める会社を探す」というのは難しいでしょう。ですから「株デビュー」の方が、株を始めるきっかけとして「株主優待に注目して銘柄選びをする」という場合は、それなりのメリットがあると思います。また株投資に慣れてからでも「成長の見込める会社の株に投資した上で、資金に余裕があれば‘お楽しみ’として優待狙い銘柄を1~2つ買う」というスタンスならいいでしょう。

アドバイス3:株主優待に注目するなら、銘柄選びは次のステップを経て!

  1. 優待が魅力的な会社を20~30ほどピックアップする。
  2. ピックアップした会社の業績を調べる→増収・増益の会社がベスト。1株益の伸びている会社の株は特に有望です。一方、負債を多く抱えている会社への投資は避けます。
  3. できれば投資金額が20~30万円ぐらいまでの銘柄を選ぶ→リスク分散のために投資金額を抑えます。

アドバイス4:目標設定は抑え目に。値上がりしたら欲張らずに売る!

‘株初心者’の場合や、投資金額が100~300万ぐらいの人は、買う前に「1割上がったら売る」など(抑え気味な)目標設定をして、実際に値上がりしたら欲張らずに売って利益を積み重ねて行くことが大切です。買ってすぐに値上がりすると、慎重な人は「もう少し様子を見て」などと思いがちですが、当初の目標価格になったら、ためらわずに売りましょう

ちなみに筆者の唯一の「塩漬け株」は日本マクドナルドです。上場直後に1割ほど値上がりした時に、一度「売ろう」と思いました。でも「子どもがマクドナルドのファンだし、どんな優待をやるか見てみたい」という思いもあって、そのまま持ち続けました。現在は投資金額の半値ほどの20万円前後を行ったり来たりしています。教訓として持ち続ける予定です。

アドバイス5:「マイ・バランスシート」を作成して、資産の点検を!

貯金・住宅ローンの繰上げ返済・投資のバランスをどうとっていくかお悩みの石井さんには「マイ・バランスシート」の作成をお勧めします。まずは手元に預金通帳や保険証書など、マイ・バランスシートを完成させる資料を揃えます。そして「バランスシート表」の空欄に金額を記入していきます。正確な値段や時価がわからない場合は、およその金額でOKです。石井家のバランスシートは下記の通りとなりました。

【石井家のバランスシート】

石井家の正味財産(資産から負債を差し引いた金額)は1028万円(黒字)です。ここがマイナスになるようなら、投資よりも住宅ローンの繰上げ返済を優先にするべきですが、今のところは黒字に余裕があります。石井さんの場合、株式投資に50~60万円、繰上げ返済に100万円ほど回してみてはいかがでしょうか。教育費の貯蓄は奥様が再就職されてから貯め始めても間に合うでしょう。

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